2019年11月3日日曜日

51. QRP運用テスト

朝8時過ぎに14MHz/FT4でVR2XYL(Hong Kong)が「+15dB」で強力に入感。このレベルの強さであれば、こちら側の送信出力をどの程度まで下げることができるのか.. と疑問に思い、試しに無線機のPWRボリュームを最小側に回し切ってコールしたところ、思いがけず一回でピックアップされ且つ「-05dB」のリポートを受領した。これをきっかけにFT8(FT4)においてQRP運用がどの程度実践できるのか検証してみた。


<送信出力>
無線機の機能として設定(調整)できる送信出力のミニマム値は5W。これに電源を落としたリニアアンプ(アンテナチューナー回路)とコモンモードフイルター(2箇所)を通過させ、約30mの同軸ケーブル(8D-2V)によりアンテナに給電しているため、それぞれの挿入損出の合計をざっくり「-1dB」と見積もると電力比0.8換算で、4W程度がアンテナに供給されていると想定する。


<交信状況>
JAを含む近隣諸国はなるべく避けて、SNが比較的良好で且つ遠方にある局を中心にコールすることにして、次第にハードル上げていった。
結果として半日かけて30局ほどコールして16局と交信。QSOできた局のうち、SNが±0dB以上の局については数回のコールでリターンを得られる場合が多く、-05dB〜-10dB辺りの局はケースバイケースといったところ。-15dBを下回る局については、数十回コールするもリターンを得ることはできなかった。
SNの差異は最大で21dB、最小が3dBであり、一桁台に留まったものが半分であった。また受領したリポートが-20dBを下回ることは無かった。交信状況は以下のとおり;

OG55W(Finland)は、こちらのSNの方が上回り(+02dB)思わず送信出力が5W以上出ていないか確認した。
ES8DH(Estonia)は、ショートパスで一回目のコールでリターンがあり「-10」に対して「-15」を受領した。


<最長到達距離>
40m/20m/15mそれぞれバンドがオープンしている時間帯に5W出力で送信(交信)し、pskreporter で確認。結果としてアフリカ大陸を除く全地域に信号が届いてることが分かった。最長距離は7MHzでBrazil局の約1.8万km、14MHzではFrance局の約1万kmであった。


FT8でのQRP運用は、インターフェア発生の懸念や無線機・リニアアンプへの過負荷もなく、また相手にピックアップされた時の喜びもひとしおではあるが、こちらの微弱な信号をデコードできる相手局の受信性能の良さやQRM状況次第であり、QSBのピークでピックアップされたものの、その後、沈んでしまい相手局に何度もシーケンスを繰り返させる虞もあるため注意が必要。先方のSNが極めて良好、例えば+10dB以上でない限り、敢えて極端なSN差を生じさせることは控えるべきかも知れない。