2022年8月28日日曜日

217. QRP(0.5W)DXing

HFは既に秋のコンディションに移り変っているようで、夜間のハイバンドでヨーロッパ方面が強力に入感している。
この時期、大きなDXペディションもなく、Band NEWのWkdも停滞気味ではあるが、せっかくのコンディションなので趣向を凝らして、送信出力を0.5Wに絞ってどの程度、DX QSOができるのか試してみた。

出力の調整は、5Wレンジのあるパワーメーターにダミーロードを接続し、TS990のPWRボリュームを回し切って(=5W)送信。その上でJTDXのTransmit digital gain(Pwr)のレベルを下げて0.5Wに調整。
その状態からTS990本体のアンテナセレクターで通常運用のアンテナ系に切替えて運用を行うスタイル。そのため既設のリニアアンプ・LPF・CMF・パワーメーターを経由し30メートル先のアンテナに繋いでいるので、挿入&ケーブル損失(≒1dB)により実際には0.4W程度がアンテナに給電されていると考える

20時過ぎに21MHz FT8をワッチするとヨーロッパを中心に1シーケンスで50局ほどが入感している。DFを高めに設定して”CQ DX”を送信。3年前にも同じような試みを5Wで行ったが、今回、こちらから呼びに回る運用は控えた。

CQを出し始めて5分後にイタリアとポーランドからコール。途中、被りを避けるため何度かDFを変えて30分間で6局からコールがあり4局とQSOできた。
4局とも送受したSNRに大きな差異はなく、最長到達距離は1万キロを超えた。

 Callsign   Sent  Rcvd     Entity          Distance  
 IZ2FOS    -02     -06      Italy              9,682km
 F4FSY     -13   -10     France          9,935km
 EA3EDU  -01      -10     Spain       10,446km 
 RW9AD   -12      -13     AS Russia     6,157km

PSKReporterをチェックすると、こちらの信号(CQシーケンス)を計153局がデコードしており、SNRはさすがに一桁台は殆どないが、それほど悪い値とも思えない。
0.5Wでこの結果であれば、10Wも出していればデコード局数的には、ハイパワー運用時との差異は殆どないのかも知れない。
実際のところ、先方のSNRが低い場合や激しいパイルアップでは、送信出力の多寡がQSO成功のチャンスを高める要素ではあるが、CQ中心の運用スタイルであれば、200W機を10~20W程度で長時間に亘り送信し続けてもRIGへの負担やインターフェア発生の可能性も低く、より安全で効率的な運用と言える。



2022年8月18日木曜日

216. IC-PW1 バックライトの交換

IC-PW1のMETER-2のバックライトが切れたので、これを機に左右ともLEDライトに交換した。

アイコムHFサポートセンターに部品交換について問い合わせたところ、純正品は既になく代替品を補修部品として販売しているとのこと。価格は左右のセットで3,960円、且つ発送は代引きのみで合計5,280円。経済合理性の観点から自己調達とした。

バックライトの定格は12V/60mA。コントローラーを開けて切れたバックライトを取り外してみると、ゴム製ソケットに直接ムギ球が埋め込まれている造りであり、これまで汎用品では見たことがない。価格が高いのはそのせいかも知れない。

取付箇所の外径は11mm、内径が8mmのため、口金サイズT5の12V LEDランプ(直径5mm)をバルブソケット(直径10mm)に差して設置することにした。ムギ球を外したゴム製ソケットを再利用することもできなくはない。

オリジナルのバックライトは黄色味がかかった暖色であったが、他のメーター類のバックライトが白色のためLEDランプはホワイトを選択。LEDランプ、ソケットともネットで検索し最低ロット(各4個)を計1,400円で購入。

↓オリジナルのバックライトを引き抜いたところ(左側)

↓左がオリジナル部品。右が交換部品
↓バルブソケットと取付穴の隙間に自己融着テープを少し巻いて固定

↓照明の比較



2022年8月14日日曜日

215. 50MHz DXシーズン振り返り

FT8によるDXingとしては、3回目となる夏のDXシーズンを迎えたが、実際のところ3月初旬からのオセアニアのオープンが5月を過ぎても続く中、遠方のアジア、インド洋辺りまで入感し始め、そのままヨーロッパ方面のオープンに繋がった感がある。
伝搬の違いはあるにせよ、昨年との比較の観点で5月1日から8月10日までの期間で纏めておく。

<サマリー>
Wkdしたエンティティは53、QSO総数は274となり、両者とも昨年を下回る結果となった。やはり3年目となると”QSO B4”局が多いため、オープンしてもコールできるエンティティ/局ともに限られたこととコンディション(頻度と規模)が昨年ほどは良好ではなかったことが原因と考える。


<月別状況>
5月は3B8CWとのQSO(5/1)の後、インド洋辺りが連日入感しており、5/24には初のヨーロッパとなるPA2JとQSO。その後、散発的にヨーロッパ、中近東および北米のオープンが続いた。
6月に入りようやく”Big Open”が何度かありQSO数を伸ばすことができた。マルチホップEsのピークと言われている夏至(6/21)前後は2021年と同様、コンディションは優れず、その後も精彩を欠く状況が続いた。
7月初旬に再び大きなオープンがあるも、その後は散発的もしくは短時間での入感が多く、少ないチャンスを十分に活かすことはできなかった。
8月に入っても比較的規模の大きいオープンが続き、最終QSOは8/9のLZ1GUであった。


<エンティティ>
この期間でWkdできた”Band NEW”は8エンティティ。昨年同期と比べ半数に留まったが、今期のコンディションからすれば妥当なところ。3年目でようやくQSOできたウェールズ(GW7SMV)などは感慨深い。
コールするもQSOを逃したエンティティは、昨年に引き続いてガーンジー島(GU8FBO)、ケイマン諸島(ZF1EJ)そして今期初めて入感したマン島(2局)の3エンティティであった。ZFを除いてカリブ海や南米は今年も入感することはなかった。
一方、こちらでは入感しなかった若しくはワッチできなかったが、他のJA局がコール/QSOされていたエンティティは数多くあった。記録を取った中で一例を挙げると以下のとおり;
・5/24
 PY5EK
・6/4
 CO2XN,P43A
・6/9
 HK6G,PJ2BR,9Y4D,WP3R,FG8OJ,HH2AA
・6/11
 V31AE,PJ4MM,SU1SK,LX1JX,D4L,HB0CC
・6/15
 CT3IQ,TT8SN
・6/17
 D44EO,ZB2GI,CN8LI
・6/29
 7O/DL7ZM
・7/7
 GJ0KYZ,OX3LX,HV0A
・7/9
 TF2MSN
・7/28
 HC2FG

上記において一定数の1エリア局がコールされているにも関わらず、こちらではデコードできないケースが少なからずあった。カリブなど伝搬的に難易度の高い地域は、現行設備では厳しいかも知れない。

<QSO数 Top15>
QSO数はアメリカ本土が79QSOと最多となったものの昨対比で4割以上減少した。ヨーロッパは総数としては約15%減少に留まり、多いところは相変わらずイタリア、ドイツなどQRV局数の多いエンティティであり、スウェーデン、デンマークおよびノルウェイなどの北欧が伸びた。


<WAS>
LoTWベースで3つ伸ばして残すところ5州となった。この5州とも今期に入感を確認しているが、デコードできたのが1~2シーケンス限りの局もあり、年に数回且つ数分間のチャンスを捉えることの難しさを改めて実感。


今期のマルチホップEsよるDXingは思ったほどの成果は得られなかったものの、秋からのF2伝搬によるDX入感に期待したい。

2022年8月6日土曜日

214. PC置換・光デジタル化

これまで2台のPCを用いてFT8の運用とリモートワークを含めPC上での各種作業を行ってきたが、メインPCのiMAC(Retina 5K /2017)が設置から5年が経ち、レスポンス遅延やレインボーカーソルの頻発などが気になり始めたこともあり、新たにWindowsPCに置換することにした。これに伴い運用環境も一部変更したので纏めておく。

<仕様・発注>
JTDXの現行バージョン(v2.2.159)の最大スレッド数は24であり、これに対応する手頃なCPUとしては今のところAMDのRyzen9 5900XかIntelの Core i9 12900Kの二択となる。後者はGPU機能を有しておりターボブースト性能でも僅かに優れているのでこちらを選択。

マザーボードはCPUをオーバークロックしないことからB660チップセットを選択。メモリーはDDR4-3200規格の32GB、ストレージはm.2(Type2280) PCI-e Gen4 NVMe規格の1TB。この規格のSSDを採用したことで、シーケンシャルリードは7,000MB/s程度(現行PCの二倍)に向上した。

グラフィックカードは動画編集やゲームとは無縁なので、コストセーブするためにも搭載せずにCPUのGPU機能(Intel UHD Graphics 770)で代替。

発注は、前回同様、BTO(Build to Order)を利用した。理由はパーツ個々を購入し組み上げる時間と手間が省けること、BIOSおよびアプリケーションの設定等に関する問い合わせ(一元対応)が可能なことおよび不具合が発生した際にPC製品としての保証が受けられることなど。パーツを全て最安値で調達した場合との価格差はあるが許容範囲と考える。

BTOの場合、概ね基本PCのスペックからオプションを追加していく流れとなるため、PCケースなどは選択肢が限られるが、特段のこだわりはないのでシンプルなミドルタワーを選んだ。この大きさであればATX規格のマザーボード、簡易水冷式CPUクーラー、サウンドデバイスおよび電源ユニット等を組み込んだ場合、ケース内はガランとしており空調的には優れていると考える。

<光デジタル化>
今回、無線機とのインターフェースは光デジタルケーブルで繋ぐことにした。TS990には内部DSPからアナログ回路を介さずに光デジタル信号
(サンプリング周波数48kHz/24bit)を授受できる端子(Optical In/Out)が用意されており、相対するPCにPCI-e x1対応で入出力の2つの光端子を持つサウンドデバイスを組み込んだ。
これにより無線機とPC間の伝送路(4m)にノイズが乗る心配はなく、コモンモード電流による影響も回避できると考える


<出力レベル設定>
インターフェースを光デジタルに変更したことで出力レベルに係る3つのパラメーターを再設定。いつもどおり無線機のオシロスコープで送信時のAF波形をチェックし飽和しないレベルに調整。概ね以下の値とした。
①SPDIF-Out (PC) : 25/100
②Tx audio level (JTDX): -16.8dB
 ※可変範囲 : 0dB〜-45dB
③Optical Audio Input Level(TS990): 30/100
 ※メーカー初期値 : 50


<レイアウト変更>
PC置換に併せて、現在使っているモニター(32.1インチ)と同じものを購入。2台ともモニターアームで設置することで広いワークスペースを確保した。
TS990・SP990はデスク左に寄せて配置し、その上にパワーメーター(KP1)、ローテーターコントローラー、VERSA Beamコントローラー、ICPW1操作パネルの4つを設置。操作性を高めるとともに(少し手を伸ばせば届く)なるべくコンパクトに収まるよう工夫。

今回、CPUのスペックを上げ且つ光デジタル化したことで、どれほど効果があるのか定かではないが、取り合えずDecoder settingsに係るパラメータを全て最大(アグ
レッシブ)にしてSWL modeで30局ほどデコードした際、Lag値が大幅に改善していることは確認できた。今後、デコード率(デコード数)の向上に期待したい。