2018年11月5日月曜日

22. ハイパワー変更申請の落成検査・免許状交付

登録点検事業者による変更検査(落成検査)を受審。
当初、国による検査を受ける予定で、検査内容等に関して関東総通局にメールで問い合わせた際、臨検の場合は、近隣住宅(一軒)で電波障害調査を行いたいので、事前に調整してほしいとの事であった。
検査官が、年末年始の平日にご近所のご家庭(リビング)に上がって、電波障害の調査を行っているシーンを想像すると、普段から円満な近所付き合いができていても、さすがにこれは回避したいと考えて登録点検事業者による検査(総通局では「書面検査」と表現)に変更した。

登録点検事業者は、総務省のホームページ上のリストに多く掲載されているが、それぞれの企業のホームページを見ても実際にこの調査を生業にしているかどうかはよく判らず、その中で明確にアマチュア局の200W超の変更検査を行うことを謳っている個人経営の事業者を見つけてメールで見積りを依頼。

結果、国による検査と比べて費用は3〜4万円ほど割高になるが、上記、如何ともし難い理由と土日に検査が受けられることおよび免許状の交付が2ヶ月ほど早まるので、その対価として割り切ることにした。
点検事業者と何度かメールでやり取りし、
以下の資料を事前に送付した;
・委任状
・無線局指定変更・変更許可通知書*
・工事設計書及び事項書 ※電子申請書を印刷したもの
・送信機系統図*
・無線従事者免許証*
・理由書(50MHz/1kw)*
・誓約書(28MHz/500W)*
・アマチュア局検査事前点検表
・電波障害調査依頼書*
・電波障害調査回答書(8軒)*
・障害調査宅との位置関係を示す図*
・電波障害調査報告書(行政防災無線局用)*
・電波防護指針に基づく基準値に適合している事の証明書
 →電界強度確認表(3通)*
・その他総合通信局からの連絡、指示等の文書
 →空中線の道路越境に係る確認書*

(*は写し)
最後の作成資料となった「アマチュア局検査事前点検表」
 

検査日を10月27日(土)に決めて、当日、0930時頃に車で来宅。直ぐに検査が開始された。検査工程と内容は以下のとおり;
・庭から変更申請書に記載した空中線を目視確認し撮影
・シャックににて検査機材を設営
 ※こちらで用意したものは同軸ケーブル(5D-2V/MP-MP/3m)のみ。
・事前提出した書類の原本確認を含め一通りの書面審査
・送信機系統図に沿って、エキサイター・リニアアンプのシリアル番号等とコモンモードフィルター 等の電波障害対策状況を確認し撮影
・持参されたダミーロードを用い、申請した全ての周波数帯(7/14/21/28/50MHz)において、送信電力を測定(CWモードのみ)
・アンテナに接続して、実際の交信を行い(7MHz/SSB)、シャック内のTVを用いてインターフェアが出ていないことを目視確認

なお、今回申請した送信機の構成(TS990+ICPW1)では、スプリアス測定は行わない旨、関東総通局から連絡があり、事業者検査の際も対象外であったが、念のため電力測定に用いられたスペクトラム・アナライザー(U3751)で7MHzのスプリアス(第2-4高調波)を測定した。
 

結果、特段の不備・指摘はなく、約1時間程度で検査は終了。
その日のうちに、点検事業者から関東総通局に電子申請により「変更工事完了届」を提出していただき、週明けに関東総通局に直接出向いて、以下の書類を提出した。
・電波障害調査依頼書
・電波障害調査回答書(8軒)の原本
・障害調査対象住宅との位置関係
・電波障害調査報告書(行政防災無線局用)
・返信用封筒(角形3号)

電波障害調査表/回答書の様式を一部変えたことで、何か指摘を受けるかもしれないと憂慮したが、11月2日に点検事業者から関東総通局に審査状況を確認していただき、本日付けで免許されたとの連絡があり、後日、「無線局検査結果通知書」と「無線局免許状」が送付されてきた。

 

 

8月9日の電子申請から約3ヶ月でハイパワー免許を受けることができた。途中、補正依頼がなければ2ヶ月足らずで免許された計算になる。
免許を受けるまでに提出資料が30種以上に及んだこと、電波防御指針の基準値クリアに苦心したことおよびご近所への電波障害調査での気苦労も
、振り返れば貴重な体験となった。

1kWでの1st QSOは、14MHzのCWでのZ23MD。ZimbabweのDXペディションであった。


2018年11月4日日曜日

21. 電源ラインのインターフェア対策強化

リニアアンプの設置に伴い、大進無線製のコモンモードフィルター とTDK製のフェアライトコアを用いて、電源ラインのインターフェア対策を強化。送信側での対策を纏めると以下のとおり;

<エキサイター>
・機器側の電源コードの付け根にフェライトコア(ZCAT2032-0930)を8個クランプ
・アース端子にコモンモードチョーク(DCE-3)を挿入してリニアアンプのアース端子に接続
・AC100Vコンセント側にコモンモードフィルター( DCK-SRH)を挿入

<リニアアンプ>
・機器側の電源コードの付け根に付属品の大型フェライトコア2個を装着
・アース端子にコモンモードチョーク(DCE-3)を挿入し、先に工事した壁面のアース端子(端子から地面までの距離約4メートル)に接続
・AC200Vコンセント側にコモンモードフィルター (KIT-DCK-61W )とコモンモードチョーク(DCE-3)および200Vコンセント(WK3811)を多孔パネルに配置・結線して壁面に架設(下図)

 

<その他機器>
テーブルタップのAC100Vコンセント側にフェライトコア(ZCAT3035-1330)を3個を用いて2ターンした自作のチョークを挿入。

以下はデスクの下に設置したリニアアンプの背面。黒の筒状のもの2本が付属品のフェライトコア。クランプ式ではなく、AC200Vのプラグを結線する前に電源ケーブルに通してから結束バンドで落ちないように留める構造。
ちなみに左上のアンテナコネクタ(4番)に繋いでいるのはコモンモードフィルター(DCF-RF-QEA)。これを介して今年のハムフェアで購入した1.5kWダミーロード(MFJ264)に接続。※フィルターの耐圧は500Wだが、連続送信時間が数十秒のため許容。

 

コンセント周りの状況 
 

コモンモードチョークを挿入する位置をRF電流計(CQ20)を用いてコモンモード電流値が下がるポイントを探っていくと、リニアアンプのアース端子直下よりもアースコンセント側に付けた方が低い数値が出た。
ただし最も低い値を示したのは、リニア側から見てチョーク通過後ではなく、チョークの手前となったため、そもそもチョークの効果が無いのかと考え一旦取り外してアース線のみで接続すると大きなコモンモード電流が流れるため、低減効果があることは確認できた。この辺りは理屈ではなく実際に試してみるしかないようである。

2018年11月2日金曜日

20. インターホンの障害対策

7MHzと14MHzでの送信時、自宅のインターホン(パナソニック製/VL-SWN350KL)のモニター映像に電波障害が出ることが判明。
インターホンのインターフェアは、呼び出しチャイムが勝手に鳴り出す誤動作だけだと思っていたため、現象が発生しないので気に留めていなかったが、ふと思い立ち、試しにモニターをオンにして送信したところ、多数の横筋が入って画面が乱れるアナログTV時代のTVIと同じような障害が発生していた。
この障害はアンテナが北方向ビームで最大となり、東方向(90度)に廻すと、気づかない程度にまで落ち着くことや、送信出力が200W程度では、実用に耐えるレベルであるが、1kWで試験電波を発射した際は、映像がかすむほど乱れることが判明した。

平常時


1kW送信時


自宅ではあるがインターフェアを認知した以上、何とか止める手立てを講じるべく、また、ご近所で同じ障害が起きた時に備え、先ずはメーカーに相談した場合にどのような対策が講じられるのかを知っておくことにした。

メーカーのサービスセンター(パナソニックコンシューママーケティング社)に電話連絡し、状況を伝えて修理担当者の来訪をお願いした。
当日、実施された対策は、予想したとおり親機(本体側)から子機(カメラ側)に接続する端子にチョークコイル(ST-101)を接続することであり、残念ながら目に見える改善は図れなかった。次に障害の起点箇所を切り分けるため、門柱から子機を取り外して、部屋の中で親機と短いケーブルで接続したところ、障害発生は見られなかったことから、障害発生要因は、機器本体や電源ラインからの回り込みではなく、子機との接続に用いているケーブル(十数メートル)に起因することが判明。

結果、修理担当者からは、製品自体の瑕疵ではなく設置環境の問題である-との見解が示され(異論はあるが..)、その上で、このままST-101を取り付けた場合、1万円の作業費が発生するがどうするか−と聞かれ、当然、お断りして「修理中止」として作業完了。その場で、出張料・技術料として約4,000円を精算してお引き取りいただいた。ST-101(2,000円相当)も買い取ることはなく、お持ち帰りいただいた。

勉強代としては少し高くついたが、メーカー側の対応と障害起因箇所が特定できたので、後は、どの程度強力なチョークコイルを入れ且つ配線を見直すかを考えることとし、先ずは、富士無線で取り寄せた大進無線製のインターホン用チョークコイルDCF-50TEL-2Cを親機(本体)のケーブル端子に接続した。結果は、ST-101よりも効果はあるものの、障害解消と言うには、程遠いレベルであった。

 

 

配線の経路については、親機を設置したリビングの壁面内から玄関脇に設置した配線ボックスまで4芯ケーブルを引いており(宅内での経路や距離は不明)、そのうち2本の芯線を配線ボックス内でインターホン用のケーブル(ACコードの類)にジョイントして、そこから8メートルほど地中に埋設したCD管を通じて門柱(枕木)に設置した子機に接続している。

試しに宅内から配線ボックスまで引いたケーブルに子機を直接、繋いで試したところ、1kW送信でも殆ど判らないレベルまで障害が低減していることが確認できた。
結果、しっかりと対策を講じる必要があるのは配線ボックスから地中を経由して子機まで伸びている配線部分であり、ここはCD管自体が経年劣化で所々で亀裂があり雨水が浸入していることから、少し時間をかけて対処を練る予定でいたが、電気工事店の会長さんにAC200V工事の際にインターホンの電波障害の話をしていたため、工事の翌週に雑音耐性のあるシールドケーブル(FCPEV)をわざわざ持って来ていただいたので、CD管の亀裂を自己融着テープ、アクリルスプレーで塞いでシールドケーブルを再配線した。

結果、モニターに映る映像は、宅内配線に直接繋いだ時と変わらず、軽微なレベルに収まった。

 

 

これ以上の対策としては、親機を取り付けている壁面内でチョークコイルを多重化したり、屋内配線全てをシールドケーブルに取り替えることであるが、両者とも施工がちょっと厄介なので、とりあえずの対策はここまでとした。

なお、これまでに費やしたインターホンの障害対策費に上記の施工費用を加えれば、ワイヤレス式のモニターインターホン(多分、インターフェアとは無縁だと考える..)が買えることを後から気づいた。


2018年10月22日月曜日

19. 電波障害調査

試験電波発射届を提出後、近隣住宅に対する電波障害調査を実施。
関東総通局からの文書「電波障害調査等の提出について」に添付されてきた様式「電波障害調査依頼書/回答書」では、少し言葉が足りないと考え、文書を一読するだけで趣旨が伝わるよう、様式の記載内容を網羅しつつ丁寧で解り易い表現にした依頼書と回答書に分けて作成した。

「電波障害調査等の提出について」
 

作成した依頼書と回答書
 

 

調査対象は、アンテナを中心に半径30メートル内にある同じブロックの6世帯と道路を挟んだ2世帯および念のために70メートルほど離れた日頃から交流のある1世帯の合計9世帯とし、土日での在宅を見据えて手土産として千円程度の菓子(※あまり高価だと何事かと思われる..)を持参して一軒づつ訪問。趣旨を説明しご協力を仰いだ。

調査対象住宅との位置関係

ご近所には、6月のタワー建設時に案内文書をお配りしているため、アマチュア無線について最初から説明する必要はなく、玄関先でお話をさせていただいた方々(ご主人/奥様)は皆さん趣旨についてご理解いただけた。

試験電波の発射は、免許を受ける全ての周波数(7/14/21/28/50MHz)且つ4方向(東西南北)にビームを向けて実施。1バンド1方向で2〜3分間の送信(Phone/CW)を断続的に行った。

調査結果については、次の土曜日に回答書を取りに伺うことをお伝えしていたが、回答書に記載した自宅ポストへの投函を皆さん選ばれた。

結果として、8世帯から「異常なし」との回答書を受理。しかしながら、普段からあまり近所付き合いをされていない1軒のみ、白紙の回答書が自宅ポストに投函されており、これは、こうした調査には協力したくないーとの意思表示と捉えて、特にこちらからアクションは取ることは控えることにした。

調査に協力いただいた世帯から全て「異常なし」との回答を得たが、これで障害の可能性が全てゼロになったとは思えず、単に調査時にはお気づきにならなかったと考えることにし、改めて十分なインターフェア対策を講じることにする。

また、自宅から最も近い他の無線局(北東方向に290メートル)である小学校の敷地内に設置された市の防災無線スピーカー(子局)に電波障害が発生していないか、毎日1700時の一斉放送に合わせて試験電波を発射し、スピーカーから雑音や混信がないか実際に聴取する調査を行い、特に問題がないことを確認。

ちなみに変更申請時に提出した「他の無線局の設置状況を示す図面」を作成する際に調査した半径1Km圏内に設置された無線局は全部で11局あり、そのうち携帯電話基地局が6局、防災無線スピーカーが4局、鉄道無線局が1局であった。これらは全て目視により(探して)確認した。






2018年10月21日日曜日

18. AC200V電源およびアース工事

リニアアンプの購入に合わせて、AC200V(単相3線式)電源の引き込み工事とアース工事を実施。
一階の洗面所の壁面に設置している配電盤までは、既にエアコン室外機用にAC200Vを2回路引いており、ここを起点に二階のシャックまで新たに配線を追加、もしくは既存回路を流用して電圧を変更する案について、住宅メーカー経由で住宅建設時に電気工事を行った業者に相談(見積依頼)。

結果、既存の配管路(φ25mmのCD管)に新たな電線を通すことは物理的に困難であることや既存のAC100V回路をAC200Vに変更した場合、シャックと同じ経路で繋がっている他の部屋やコンセントを共有している他の家電製品が使えなくなるため不可であるとの回答。
代替案として、住宅の西側・南側の外壁に3箇所の屋外コンセントを引いており、この回路のいづれかを200Vに変更して、外側から壁に沿ってシャックのある北側まで回しこむことも考えたが、距離がありすぎることや見た目も良くないことから
断念。
結果として、シャックの直下に設置しているマルチエアコン室外機のコンセントボックスから分岐することとし、同じ配管を用いて、無線機専用の保安用アースを短い距離で取ることとした。

配電盤右下の「室外機200V」スイッチが北側壁面に設置したマルチエアコン室外機の専用回路であり、ここから分岐する。「屋外専用コンセント」スイッチがOFFになっている2回路は、これまで一度も使用していない西側壁面に設置した室外コンセント。住宅建設時、何のためにここに配線したのか、今となっては思い出せない..
 

電気工事の実施について、住宅メーカー、ホームセンターおよびネットで検索した近くの電気工事店からそれぞれ見積りを取り、最も早く工事いただける近所の電気工事店に依頼したが、工事日の4日ほど前に連絡があり、ご主人の体調不良により急遽キャンセルとなった。
急ぎネットで他の近隣工事店を調べて架電し相談したところ、その日のうちに下見に来ていただき翌週の工事となった。近所の工事店は、個人事業主の方が多く、そのためかフットワークが軽く且つ間接コストが無い分
、安くついた。

コンセントボックスの交換による分岐(右が工事後)
 

工事後の外壁の様子。窓枠や雨樋が白色なので違和感はあまりない。
 

保安用アースは、地面から外壁に沿って垂直に約3.5メートル立ち上げて、そこから水平に屋内に貫通させ専用のアースコンセントに接続。アースコンセントからリニアアンプまでの配線は1メートル弱。アース棒は、1メートルのものを3本打つことで、設置抵抗を可能な限り低く抑えることにした。
アース棒の打ち込み場所(点線内)
 

造成地の軟弱地盤且つ北側の湿った地質のため、アース棒は難なく打ち込むことが出来た。施工いただいたのは工事店の会長さん(名刺の肩書き)。代は息子さんに譲ったとのこと。手際の良さと丁寧な仕事ぶりに感服した。
 

接地抵抗の計測は、電気工事店から持参いただいた「自動式配電試験器」を用いて自宅の外周を取り囲むように10メートル位の間隔で2箇所に電極を埋め、それをアース棒に接続して計測。
1本目で約100オーム。1メートルほど離れた2本目で65オーム、更に50cmほど離して3本目を打って、50オームを少し下回った。300V以下の低圧用電力の基準である「D種接地」が100オーム以下であることからこれで十分であると考える。
会長さん曰く、個人からの電気工事依頼で、接地抵抗を低く出すことを求められたのは初めてとの事。
 

50オームの接地抵抗を確認
 

以下は、屋内側のコンセント。200V差込口の下にあるアース線差込口は、上部の200Vアース線(緑色)に接続されている構造であり、中で切り離すことは困難。※当初、別系統で絶縁されていると思い込んでいた。

左側の無線機用のアース専用コンセントは独立させており、200Vのアース線には接続していない。
 



2018年10月7日日曜日

17. ハイパワー変更許可通知書の受領


9月8日に補正後の変更申請を行い、9月28日に電子申請システムでステータスを確認したところ「審査終了」となっていた。申請者にはメールで通知されないようである..

週明けに総通局に電話連絡して、変更許可通知書等を受領するために返信封筒を同封して送るより、直接、取りに伺う方が早いので、その旨を打診し10月2日に訪省した。

受領した文書は、以下のとおり;
・無線局指定変更・変更許可通知書
・今後の手続きに関する連絡文書
・試験電波発射届(雛形)
・電波障害調査書等の提出について
・アマチュア局検査申込書(様式1)
・アマチュア局検査事前点検表(様式2)
・電波障害調査依頼書/回答書(様式3)



なお、連絡文書に記載されていた「工事完了届」の様式は添付されておらず、任意の様式で作成すべしーとのことであった。

「試験電波発射届」をその日のうちに作成。電波発射日時を10月6日から変更検査の日までとして、翌日に郵送した。

なお、国による点検(臨検という)の場合「工事完了届」の受領から二ヶ月はかかるとの事。理由は要員不足。※これまでに10回ほどこのセリフを聞いているが..

特に免許を急ぐ訳ではなく、事業者による登録点検は費用がかさむことから、臨検の予定で進める。



16. ハイパワー変更申請の補正対応


8月9日に無線局の変更届を電子申請システムで提出し、8月31日に補正依頼のメールが来着。電子申請システム上のステータスが「審査中」から「補正依頼中」に変更されていた。

同システムの「通知書照会」から指摘を受けた内容を確認すると、軽微な補正が二点(送信機系統図の一部修正等)の他に、主な指摘として「電波防御指針に基づく電界強度確認表」において、アンテナの俯角減衰量を多く計上しているので、俯角0度と30度〜60度あたりの三角関数で確認するようにとの文言であった。

俯角減衰量は、アンテナメーカーから取り寄せた各アンテナの垂直面指向特性図とアンテナの地上高と隣接道路との距離(ほぼ0メートル)で算出した俯角に基づき算定、すなわち同確認表の注3の記述に従って計算しているため、補正の指摘を受ける趣旨がよく解らず、総通局にメールで問い合わせた。

一週間ほど経って、担当官から電話で連絡があり「俯角が85-90度(ほぼアンテナ直下)を前提とした場合、結果として大きく減衰量を計上することになる。実態として30度〜60度あたりの俯角で電界強度の基準値をクリアしているならば、住宅密集地の全方向に対して問題はないであろう」との趣旨であった。また0度、要するにアンテナの水平方向に対して、最小安全距離内に反射物(3階建家屋など)は無いか確認して欲しいとの。

全ての方向に住宅が建っている訳でもなく、具体例を示して算定した方が解り易い(理屈が通る)と考え、アンテナから最も近い西側住宅の二階(地上高4.5m)と、次に近い南側道路を挟んだ南西側住宅を対象として、それぞれの実測距離に基づき俯角を計算して減衰量を算定した。

その結果、28MHzでは空中線利得の高さに比べて、俯角減衰量が少なく、1kWでは基準値を超えてしまうことが判明した。

善後策の選択肢として、電波型式をA1A、J3Eに限定することで平均電力率を0.5としてクリアすることもできたが、そもそも28MHzでの運用はあまり意識しておらず、アンテナが28MHz対応であるため(せっかくなので)申請した背景や、むしろRTTYやFMを用いる可能性が考えられるため、500Wでの申請に変更した。
なお、同一送信系統で異なる送信出力で免許を受けるためには、リニアアンプのALC調整では不可とのこと。そのため、代替案として、エキサイター側でバンド毎に最大出力を設定(制限)する機能があるので、この機能を用いた運用を厳格に守るとの誓約書を提出することで如何か−と打診し了解を得た。

結果、再計算した電界強度確認表4通、南西側住宅との位置関係を示す平面図、西側住宅との位置関係を示す立面図、28MHz/500W運用にかかる誓約書および今回の補正依頼に係る対応を纏めたword文書(※俯角0度では全方向の最小安全距離内に障害物は無いことを明記)を提出した。電子申請書を除き、通算21枚の添付資料を送ることとなった。

電界強度確認表の一例:
垂直面指向特性図の一例:


余談として、担当官との会話の中で、俯角減衰量の算定に関して、どの程度の正確性を求めるのかーという話になり、算定根拠となる垂直面指向特性図は、その製品自体の特性を示したものではなく、アンテナメーカーが提示した自社の代表的な八木アンテナのビームパターンを用いていることや(ブーム長や短縮型であることは考慮しない)、そもそも空中線利得もメーカーのカタログ値であることから、商業的に幾分「かさ上げ」した数値になっていることは否めないこと、従って、もし、補正により見直した結果、基準値がクリアできない場合は、MMANAなどのアンテナ設計ソフトウエアでの再算定を行うことを伝えた。
担当官からは明確な否定は無かったものの、できれば一般に公開されているメーカーの数値を用いてほしいとの仰せであった。実際の数値との差分、要するに免許した際に確認した電界強度よりも低い分は、行政としての「のりしろ」(量的余地)と捉えたい考えであると推察。


2018年8月12日日曜日

15.ハイパワー変更申請書の提出

お盆休みを利用してハイパワー変更申請(空中線電力200Wを超える指定変更)に必要となる各種資料を集中して作成し、関東総通局に申請書を提出。

今回の変更申請では、現在免許を受けているオールバンド(1.9〜430MHz)から、一旦、7/14/21/28/50MHzの周波数帯に限定し、それぞれの周波数帯で1kW(場合によっては500W)の変更を目指すことにする。
※無事に免許された後、移動する局として改めてオールバンドで50W免許を下ろす計画。

申請手続には、開局申請の際にユーザーIDを登録している「電波利用電子申請・届出システムlite」を用いることにした。電子申請の場合、現時点での処理の状態(例:受付処理中、審査終了等)が判ることや記載内容や資料に不備・不足があった場合、修正・追加をネットから簡易に行うことができる。
準備した資料等は以下のとおり;

1.変更申請書 ※電子申請システムで作成
2.無線局事項書及び工事設計書 ※電子申請システムで作成
3.必須添付資料

(1)送信機系統図
(2)他の無線局の設置状況を示す図面
(3)設置場所でのTV・ラジオ放送の受信状況一覧表
(4)50Mhz帯で500Wを超える空中線電力を希望する理由書
(5)電波防御指針に基づく基準値に適合していることの証明書
  ①電界強度計算表
  ②アンテナの垂直面指向特性図(俯角減衰量計算用)
  ③短縮アンテナの特性に関する資料
  ④給電線損失の計算に関する資料
  ⑤アンテナを中心とした平面図(広域図・詳細図)
  ⑥アンテナを中心とした立面図(南北面・東西面)
  ⑦アンテナの道路越境に係る確認書

添付資料は合計で13種類となった。全てExcelシート上で作成し、2ファイルに分けて電子申請書に添付して送信。※1ファイルあたり5MB以下の制限あり

申請書及び資料に不備・不足がなければ、約一ヶ月で変更申請の書面審査が終了して「変更許可通知」を受けることができる見込み。


関東総通局によると、局内の事情(審査に係る人員不足)により各種審査等に時間を要しており、実地による変更検査(=国による落成検査)は、変更許可通知後、二ヶ月程度は待つことになるとの事。費用と所要時間に鑑み「登録点検事業者制度」の利用も検討する。

なお、免許交付までの工程を纏めると以下のとおり;
・変更申請書の提出 ※済み
・変更許可通知書の受領
・試験電波発射届の提出
・電波障害調査(近隣)の実施
・工事完了届、アマチュア局検査申込書、無線設備等の点検実施報告書、
 電波障害調査依頼書・回答書の提出
・変更検査に向けた準備 ※無線点検簿等を用意
・変更検査の受審 ※国による落成検査
・無線局検査結果通知書の受領(合否判定)

 ※合格の場合、免許状交付




2018年8月11日土曜日

14.QSLカード類の額装

7月に実家に帰省した際、屋根裏部屋に保管してあった30年以上前のQSLカードや撮り溜めていた写真、海外放送局からベリカードとともに送られてきたペナントや切り絵など(小・中学生の頃に熱心に集めていた)を整理した。

高校生の頃を中心に交信した数千枚のカードを一枚一枚見ていると、すっかり忘れていた当時の記憶もよみがえり、感慨ひとしおであったが、おかげで丸一日を費やすことになった。

その中で、傷みが気になっていた50MHz/WACのアワードをそれぞれの大陸の代表的なQSLカードと一緒に額装することにした。

額縁はホームセンターで水彩用F8サイズを3つと、大圏図を飾るための同じシリーズのF4サイズ、そして無線局免許状を入れて掲出するための(電波法改正により免許状の掲出は不要となっているが)F6サイズの計5点を購入し、そのホームセンターの額装サービスを利用した。共通で用いた額装マット紙の規格はHB505。
以下、4つの額縁を書斎兼シャックに飾った写真。

 

大圏図(Great Circle Map)はローテーターでアンテナを廻す際、実際に見て参考にすることから、CQ誌に付いていた地図を原稿にして、カラーコピーと上質紙により大判の地図として仕上げた。

 

免許状の額縁に一緒に入れるアンテナの写真を急遽撮って、カラープリンタで印刷。下から見上げる構図は、実際の地上高(15mH)よりも高く見える気がする。

 

 

2018年7月15日日曜日

13. タワー基礎部分の整地

庭の一角に建てたタワーの基礎部分(地面)の見映えが良くなるように整地(整備)を実施。タワーの形に合わせて地面より10cmほど高く仕上げた三角形のコンクリート基礎の周りをウッドデッキの下に広く敷いている庭石(溶岩石)で覆うことにした。

準備として、タワー建設の際に伐採した庭木の根っ子が一部残っていたので、前日にシャベルで周囲を掘って電気ノコギリで切断。根の全てを取り除くには、かなり深掘りする必要があるため、庭との仕切用に埋設するレンガと干渉しない程度に留めた。

当日、コンクリート基礎の周り(南側と東側)を20cmほどシャベルで掘り、自作の水糸などを用いておおよその外周位置を定めた。その際、ウッドデッキ下のレンガを地下で固定しているモルタルをノミで削り、埋設する仕切用レンガと垂直面を合わせた。

その後、砂を入れ、仕切用レンガ(ハーフサイズ)で周囲を囲った。砂を入れレンガを並べる時にゴムハンマーなどでしっかりと叩いて固めることがポイント。モルタルを入れていないので、強度は保てないが、後からやり直しがきくことや、あくまで庭石を留め置くための敷居・境界用途として割り切ることにした。

<使用部材>
・ボルケーノチップス(10ℓ)6袋
・オーストラリアンレンガ(230X115X40)8個
・砂(20kg)2袋

タワー建設場所の移り変わりは以下のとおり;

①掘削場所を選定している頃(2018年3月28日)
 

②庭木を伐採した時点(2018年6月9日)
 

③基礎工事終了後(2018年6月19日)
 

④タワー建設時点(2018年6月29日)
 

⑤基礎部の整地(2018年7月15日)
 

   

2018年7月7日土曜日

12. 信号強度の比較

ベランダに約7メートルの高さ(給電点)に上げている7〜50MHzのグランドプレーン(CP5HS)と318-40との信号強度を比較。

14-28MHzおよび50MHzは八木アンテナのため、違いは歴然であるため対象外とし、ローターリーダイポールとして機能する7MHzで比較した。結果、国内は、S5→S9、S9→+20dBとなり感度は向上している。画像のとおり、バンドスコープでも著実にピーク値が高くなっていることが見て取れた。

CP5HS(7mH)

 

318-40(16mH)


 

ウォーターフォール機能で比較した画像。ブルーのラインがアンテを切り替えたタイミング。下段が318-40。GPでは、聞こえていない局が318-40では入感(暖色表示)している。



感度の違いは、地上高の差異(9メートル)、ダイポールアンテナのゲイン(カタログ値:1dBi)およびダイポールアンテナの16mHでの打ち上げ角が30〜60度の範囲でピークになることから、国内通信にマッチして信号強度が高まったと考える。なお、半波長(20メートル)以上の地上高があれば、打ち上げ角は20〜30度の範囲でピークとなり、国内局の信号が弱まりDX向けとなるが、マストトップでも18mHが限界のため諦めざるを得ない。

 

11. アンテナ地上高

各アンテナのタワートップからの取り付け位置(距離)は、現場裁量で調整したため地上高の正確な数値が不明であったので、工事前に近くのリサイクルショップで見つけて購入しておいたBOSCH製のレーザー距離計 ZamoⅡ型(未使用品が3K)で計測してみた。

 

結果は以下のとおり;
・318-40 (下段):15.85 mH
・CL6DX(上段):17.33 mH

但しエレベーターでもう少し巻き上げることができるため、おおよそ16mHと17.5mHというところである。ちなみにアンテナアームで取り付けたGP-5は給電点まで7.6mHであった。

自宅の周辺には高い建物がないことから、少し離れた場所からもアンテナがよく見える(目立つ)。200メートルほど離れた平地からの遠景は、写真のとおり。タワーの下部にわずかに自宅の妻切屋根の先端が見える。この高さが約8メートル。



620メートルほど離れた高台から見下ろすように望遠レンズで撮った一枚。これだけ離れていると流石に目立つことはない。

 

自宅のロケーションは高台ではないが(海抜6メートル)、360度どの方向にも開けている。アクティブだった学生の頃のロケーションは、南東から南回りで北西までが山に囲まれており、特にアジア大陸から中近東、アフリカ方向のショートパスが致命的であり、50MHzでQSOできなかった(聞こえさえしなかった)カントリー(エンティティとの呼び方は未だしっくりこない..)が思い出される。

アンテナは、通勤に使っている最寄駅(直線で約420メートル)の二階の改札やプラットフォームからも、意識さえすれば見る(見つける)ことができる。思えば、タワー計画を検討し始めてから、車でも電車でも、外出すれば、いつも何処かにアンテナが上がっていないか探しており、その癖は今でも変わらない。

2018年7月1日日曜日

10. SWR値

バンド毎のSWR値は、以下のとおり:
なお、SWRメータは無線機内の メータ目盛りの目視であるため、精緻な数値ではない。

 

318-40は、バンド毎にトラップコイルが挿入されており、バンド 内の帯域幅が狭くなる傾向にあるため(特に7MHzは急峻なカーブを描く)主な運用スタイルをCWかphoneを選ぶ仕様になっている。今回はCWを選択して輻射エレメントの長さ調整したが、7MHzのディップ点を少し高く設定してしまった。

CL6DXは、50.0-50.5まではフラットなSWR値を示したが、アンテナ 固有のSWR値(最良点1.2)が、コモンモードフィルターを挿入した結果、フィルター自体のSWR値(1.2)と位相がたまたま合っている(0度)ことから相乗してSWR:1.29となっている。

第一電波工業に対策について確認したところ、位相を反転(180度)するため、λ/4のケーブル長X波長短縮率(2Vケーブルで67%)の計算で約1mのケーブルをフィルターのアンテナ側に挿入すれば、整合比のバランスが取れて解消できるとの事であったので、試してみるとSWR値が1.21程度に下がった。

しかしながら、両端にMPコネクタを噛ます挿入損失を考えれば、SWR1.3での反射波による電力損失の方が少ない(約3%は誤差範囲)ことから、このままとする。
そもそも10D-2Vを33m引いたケーブル損失は1.06dBとなり(減衰量:0.32dB/10m)、アンテナから放出される電力は、約80%(電力比)に低減している。200Wで送信しても実質、160Wしか出ていないという事。

SWR値の悪化は電力損失には影響するが、アンテナチューナーでSWR値を強制的に1.1まで落とし、無線機の終段回路を保護している限り、アンテナのSWR値に関しては、あまり神経質になる必要はないという結論。



9. タワー建柱・アンテナ工事

基礎工事から10日。6月29日にタワー建柱とアンテナの設置工事を実施。晴天に恵まれたが、強風注意報が発令されており、何となく落ち着かない中で、9時過ぎから4名で作業を開始。なお、この日、関東地方では、記録的に早い梅雨明けとなった。
先ず、最後に残っていた最上部のセクション(1T)を組み立て、各セクションにエレベータキットのレールを取り付けた。



その後、鋼鉄製の「坊主」をタワーにくくり付け、滑車で一段づつ引き上げ、ジョイント部分をボルトで締める作業を繰り返し行った。

 

 

最後のセクションの積み上げ;

 

アンテナの組み立ては、現場での作業効率化のため事前にエレメントが組み立てられテナコートが塗られた状態で搬入。ブームへの取り付けは、脚立にアンテナブームの中心を縛り付けて各エレメントの水平を目視確認しながら進めていった。作業場所は、CL6DXは自宅前の車庫での作業となったが、318-40は、道路を挟んだ向かいの空き地を利用した。

 

 

各アンテナのタワーへの取り付けは、一旦、道路から車庫の屋根の上でアンテナを受け取り、タワー上の作業者に手渡す段取り。なお、318-40の輻射エレメントだけは、長さが11mを超えるため、タワーにアンテナ本体を取り付けた後とした。

 

CL6DXのバラン直後に12個フェライトコアを挟んで、自己融着テープを巻いて処理。フェライトコアの内径が同軸(10D-2V)の直径13mmと同じであるため、ケーブルがカーブする部分には取り付けられず4個と8個に分けた。

318-40は、バラン直後に50cmの同軸ケーブルを介してコモンモードフィルタ(CMF-2000)をブーム下部に巻いて取付けた。フィルタ本体は、両端のコネクタ部分に留まらず、全てに自己融着テープを巻いて雨と紫外線から保護することとした。

 

 

下段のアンテナ(318-40)をエレベータキットで降下させて屋根から50cm位の位置が最下段と決め、ウインチのところでマーキング。この状態から下方にあるタワーセクションのジョイント部分にアンテナアーム(AM26B)を取り付け(右側を50cmほど長くして)、その先端にGP-5を取り付けた。



同軸ケーブルの引き込みは、束ねたケーブルを垂直方向に垂らし一旦アンテナアームで受けた後、少したるませてタワーから家屋の北東の角にヒンジを打って、ステンレス製の補助ワイヤーを張り、それに同軸ケーブルを沿わせてシャックまで延ばした。ケーブルの長さはタワー最上部のCL6DX(17.5mH)から無線機まで33m(部屋の中で4m)となった。



シャック外側のベランダに内径50mmのエアコンダクトを開けて、ここから同軸ケーブル3本とローテータケーブルを引き込んだ。2枚目の写真の下は、既存のベランダアンテナ2本とBSアンテナそれぞれのケーブル引き込み口。





アンテナアナライザーで同調点を確認し、7MHzと14MHzがバンド幅を超えて下がり過ぎていたので、繰り返し調整。同調点を上げるには、輻射エレメントを短くする必要があるため、一旦、エレメントをブームから緩め垂直に立て、タワーを登り降りして左右のエレメントを調整し、また水平に戻してから計測する作業の繰り返しとなった。

こうして完成したタワーの全景。2枚目はアンテナを最下部まで下ろした状態。

 

 

3月に着手したルーフタワー計画から約4ヶ月でようやく完成。基礎工事を含め全ての工事を終えて思うことは、自らが緻密に計画を練って試行錯誤を繰り返しても、実際の工事は、現場裁量で知識と経験が豊かな専門業者の判断に委ねることが確実。この会社にタワー建設の引き合いが絶えない理由はそこにあると考える。