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2025年9月23日火曜日

312. 受信用アンテナ(SA7000)の設置

2階のベランダに立てている風速計用のマストに受信用アンテナ「AOR SA7000」を併設した。

現在、受信用アンテナとして第一電波工業製のD303(0.5~200MHz)をベランダの北側に設置しているが、二台ある受信機、SDRレシーバー(RSPdx)とFRG-7の切り替えが面倒なためベランダの南側に設置している風速計のマストに別のアンテナを取り付ることを考えていたが、この
アンテナの基台であれば風速計と一緒にしてもファンがエレメントに干渉しないことが判り、ネットオークションで出品されているものを見つけて入手。

取扱説明書には30kHz~2GHzで使用できるホイップアンテナとの記載があり、30MHzまでの中短波用エレメント(1.8m)とそれ以上の周波数をカバー
するエレメントの2本を樹脂ケース内部で混合し同軸に送る構成になっている。

広帯域で同調を取るためにローディングコイルが入っているようだがゲインは最大で0dBであり、高い周波数帯ではあまり期待できないが、試しに他のアンテナと聞き比べてみた。

先ずFRG-7に繋いでAFN(810KHz)を受信するとD303ではSメータで59のところ、SA7000に切り替えると+15dBまで振れる。
そのまま7MHz/CWをワッチするとD303ではRST419~519の局が559程度まで上昇。感度はこちらの方が優れているようであり、ミクロネシアのDXペディション局も辛うじて聞こえた。

7MHz以上のHF帯では特に差異は見られないため、今後はTS-990に繋いで
14.074MHz/FT8をワッチしてみる。KA1-404Lで20局程度デコードしている状態からSA7000に切り替えると5局以下に減少したが-6dBで入感していたウルグアイ局が-18dBでデコードできた。

次にSDRレシーバーに繋いでFM放送を聴き比べると、多くの放送局では大差がなかったがI
nterFM(89.7MHz/東京タワー)はD303の方よりも感度が落ちてノイズが絡むようになった。

エアバンド,145MHzの比較でもD303の方が感度が勝っていたが、VHF以上はディスコーンアンテナ(DS150S)の方が優れているので、こちらも置換した。

タワー中段に設置しているコメット製のGP-5(145/430MHz)を含め、3種類のアンテナ(GP/ディスコーン/ホイップ)で439.14MHzのレピータ局(箱根町/110km)を受信したところ、GP-5ではRS52程度、DS150SではRS41程度、SA7000では入感しなかった。

暫くはこのアンテナを中・短波帯で用いて更に感度の良さそうなものがあれば置換してみたいが、やはり実際に使ってみないとその優劣は解らないようである。

2025年8月27日水曜日

310. ベランダアンテナの変遷

当地に自宅を建てた2000年から2階のベランダには、何かしらの無線用アンテナを設置している。そもそも施工時にその目的で壁面に3ヵ所CD管を通しておいた。
2018年にタワーを建設した後も状況は変わらず、現在は受信用アンテナ(D303)と風力計を上げているが、過去からの変遷を整理しておく。

<VC-3>
周波数:7/21/28MHz
設置時期:2000年頃
既に廃業した北辰産業(Maldol)製のトライバンドV型短縮ダイポール。実家から持ってきたHF機(IC-750S)に繋ぐために設置するも、結局、ワッチのみで電波を出すことはなかった。当時ネットショップで購入したと思うが履歴などは残っておらず詳細は不明。数年後に撤去した際、エレメント接合部が固着して分解できずそのまま屋外で保管。2019年2月にジャンクとしてネットオークションで売却している。

<DS150S>
周波数:25MHz~1500MHz
設置時期:2003年頃
コメット製のディスコーンアンテナ。2003年に現YAESUの受信機VR-5000を購入したタイミングで設置したと考えるが、会社帰りに秋葉原の富士無線に立ち寄って購入したこと以外は忘れてしまった.. これまでに何度もベランダでの設置と撤去を繰り返しており、現在は保管中。

<MK-5>
周波数:長波~UHF帯
設置時期:2010年2月
Field_ant製の受信専用シールドループアンテナ。ノイズが少ないとの評判を踏まえネットオークションで購入して設置。DS150Sと併設して聞き比べると長波~短波帯でもS/Nに変化は感じられず暫くして撤去し保管。大きさ故に保管スペースを取るので2011年1月にネットオークションで売却した。

<D303>
周波数:0.5~200MHz
設置時期:2011年2月
第一電波工業 (DIAMOND) 製の受信専用アンテナ。MK-5の後継としてネットオークションで中古品を購入後、DS150Sとの併用/置換を繰り替えしながら現在も稼働中。

<CP-5HS>
周波数:7/14/21/28/50MHz
設置時期:2015年5月
第一電波工業 (DIAMOND) 製の5バンドグランドプレーン。アマチュア無線の復帰に向けてネットショップで購入し設置。全長が3.6Mあることから給電部分で3方向にステーを張った。
ラジアルも最長1.8Mあり隣地に少しはみ出していたことから、住宅建設が始まったのを機に2018年内で撤去・保管し、2019年1月にネットオークションで売却。
このアンテナを用いて初めて当地からQRV開始。無線局免許状の交付から12年後となった。

<UHV-9>
周波数:3.5/7/14/18/21/28/50/144/430MHz
設置時期:2023年5月
コメット製の9バンド短縮ホイップアンテナ。サブ機(FT-991AM)導入を機にネットショップでカウンタポイズと併せて購入し設置。
実運用に用いることはなく、風力計設置のためマストを譲る形で2025年2月に撤去して現在保管中。


このほかにFM放送用の4エレ八木や衛星放送用パラボラアンテナを設置した時期もあったが、現在は至ってシンプルな構成になっている。
サイズの制限はあるものの気軽に様々なアンテナを試せるのはベランダアンテナの醍醐味であろう。

2024年5月4日土曜日

289. ローテーターの交換 ②

4/15にメーカーに故障対応を依頼したローター(本体)が修理を終えて戻ってきた。故障原因は、ローター内部のボリュームの経年劣化によるとの事。

ローテーター(RC5A-3)は2018年6月にのタワー建柱時に設置しており、約6年で故障したことになるが、メーカーによると機械構造部ではなく電子部品なので、使用頻度にも因るがもっと早く故障する場合もあるとの見解であった。


修理内容は、ボリューム(品番:RA25Y-20S B506)の交換のみであったが、併せてオーバーホールを依頼して、グリスアップ・クリーニングと幾つかの部材を交換。


費用は技術工料(2.5hと記載)と部品代、送料等で1.8万円ほど。インジケータおよび他の部材と共にこのまま保管し、何年か先に起こりえる次の故障に備えることにする。



2024年4月22日月曜日

286. ローテーターの交換 ①

3月末にローテーターが突然動かなくなり、結果、ローター本体を交換したので経緯を纏めておく。

<事象>
アンテナ(ローター本体)が340度(北北西)の方向で停止。PCリモートでインジケーターを操作しても動かなくなる。
インジケーターを手動(MAIN側)にして、CWレバーを1回押下すると指針が時計方向に高速で回転(通常の3倍程度)し廻し切った状態で停止。
上記からCCWレバーを1回押すと、指針が反時計方向に高速で回転し廻し切った状態で停止。
何回か試していると指針が廻転途中で止まり、その左右(30度程度)で大きくふらつく事象も発生。その状態から再度CW/CCWレバーを押下すると左右に廻し切れる。

<障害切り分け>
インジケーターは、2023年7月にリモートタイプ(RC5A-3P)を購入し置換しており、試しに以前のインジケーターに接続しても上記事象は同じであったことから、故障箇所はローター本体かリモートケーブル(7芯)の断線が考えられる。

取扱説明書に記載されているインジケーターとローター本体それぞれの内部抵抗値を測定すると、インジケーターとローター駆動の電源供給部は規定値どおりであったが、方向制御に係る区間の抵抗値が大きい。
但しインジケーターで左右に廻し切った状態で何度か測定すると抵抗値の変化はあるため、ケーブル断線は考え難い。

不具合内容と測定値をメーカーに伝えたところ、ローター本体の故障の可能性が高い(ケーブル起因もゼロとは言えない)が、いずれにせよローター本体をメーカー側で点検させていただくとの見解。

ローター本体をタワーから一旦外してメーカーに送付・修理した後、再度設置となると二度手間になることから、新たにローター本体を購入し置換して、修理したローターは予備として保管しておくことにした。

<交換作業>
ローター本体は部材としてメーカーから直接購入できないため、工事業者にローター本体の調達を含め交換作業を依頼。工事日はスケジュールを調整した結果4/12夕方からとした。

当日は18時前から作業を開始し1時間ほどで終了。ローター本体交換後、インジケーターを接続し正常動作を確認。併せて磁北寄りであったアンテナの向きを真北(+7.5度)に調整した。


<ジャンクションボックス>
ローターの置換に併せてリモートケーブルの延長と発雷時に直ぐにケーブルを切り離せるようジャンクションボックスを設置。

ケーブル延長用のコネクタはメーカーから頒布されているようであるが、現行のY型圧着端子を切断せずにそのまま活かすことにし、ハム
ショップでリモートケーブルと同じもの(VCTF 0.75mm 7芯)を2m買い求め、7Pinコネクタセット、端子板などの部材はamazonおよびホームセンターで調達。ケースは100円ショップで見つけた金属ケース(蓋付き)を用いた。

コネクタは予想したよりも内径が小さく、ケーブル(外径9mm)がコネクタ内部まで通らず、またハンダ付けには難儀したものの何とかコンパクトに仕上げることができた。


2023年8月26日土曜日

256. ローテーターのPCコントロール

FT8のリモート運用でこれまでネックとなっていたローテーターのリモート操作に関して、ローテーターPCインターフェイス(頒布キット)を用いてPC制御によるリモート操作をできるようにした。

<インジケーターの置換>
2018年のタワー建柱時に購入・設置したローテーターセット(RC5A-3)は、そのインジケーター部(コントローラー)にリモート端子がない仕様のため、メーカーに送って改造してもらうかリモート端子付きのインジケーター(RC5A-3P)を購入する必要がある。
メーカーに見積依頼したところ納期までに10日ほどかかり、その間はアンテナを廻せないことや、工費が思った以上に高額であったことから、新たにインジケーターを購入し、従来のものは故障時の予備とすることにした。


<PCインターフェイス>
ネットにて「ローテーターコントローラー」を検索すると、完成基板の頒布とパーツから組み立てるキット頒布の2つが見つかり、後者は2023ハムフェアでも入手できるため、こちらを選択し事前予約の上、8/19に会場で受け取った。
キットはプリント基板、パーツ、5PinDINコネクタと各種アプリケーション/説明書が入ったCD等を含めて5Kと安価。

動作原理はどのコントローラーも同じであると考えるが、ローテーター側から位置情報を示すDC出力、RC5A-3Pの場合は、1番ピンから0.0V(CCW-180度)~3.2V(CW+180度)の電圧変化をA/Dコンバーターでデジタル変換し、アプリケーションの地図上にプロット。アンテナを向ける方位を決めて地図をクリックすると、A/Dコンバーターを介してその位置情報までCCW(左回転)またはCW(右回転)端子を接地しローテーターを廻す仕組み。

<組み立て>
久し振りのキット製作のため、半田ごての先端が最も細いタイプの純正品(TQ-77RT-SB)に交換。基板のはんだ付けは、トランジスタ(3個)の線間ピッチがかなり狭く注意を要したが、丁寧な説明書が添付されており、難なく組み立て作業を終えた。

一方、インジケーターのリモート端子のピンポジションを左右反対に誤認したことで、期初設定で規定の電圧が測定できず、気づくまでに時間を要してしまった。

ケースは、ハムフェアで見た実機のケースより少し大きめの「YM-120」を購入。USB Type-Bを差し込む四角穴のケース加工は金属やすりをかけて仕上げたが、それなりの出来栄え。 ケースに入れて配線し完成したものは以下のとおり。


インジケーターのリモート端子(J1)は6Pin DINのため6芯ケーブルを用意し
たが、使用するのはGNDを含めて4芯のみ。ピンポジションを備忘のため記録しておく。


<設定・調整>
説明書に従い、基板の位置情報信号出力(電圧)を調整。その後、アンテナ方位と電圧の関係を示すパラメータ(ADコンバ
ーター値)を4つの方位で測定しデータ登録。設定値は以下のとおり。

なお、現在アンテナの向きはインジケーターが0度値でほぼ磁北を向いており、真北方向に+7.3度補正する必要があるが、台風シーズンが終わってからの作業とする。

<使用感>
アプリケーションの設定画面で地図を3種類から選択できるほか、jpegファイルで簡単にカスタマイズできる。試しにQTHを中心とした関東エリアと日本全国の地図を作り設定してみた。50MHzで国内向けにビームを向ける時は便利に使える。

従来のインジケーターでの操作と比べ、PC上で(マウスで)簡単にエンティティの方位を合わせられることや、世界地図(正距方位図)も少しカスタマイズして見易くなったため、リモート運用に限らず普段使いとして用いることにした。

ステータスLED(緑)が通電時は点滅し続けるので、電源スイッチに置換しても良いかもしれない。


2023年6月18日日曜日

250. サブ機導入・ベランダアンテナ設置

無線設備の冗長化に向けてサブ機を導入。それに合わせてベランダにアンテナを設置した。

<サブ機の導入>
これまで無線設備としてはTS990一台で運用してきたが、購入から8年が経ち故障発生に備えて(DXペディション中の不測の事態に対処するため)サブ機を用意しておくことにした。

機種選定にあたっては、単に予備用とするのは勿体ないので、144MHz/FT8で近隣アジアを狙うことと、リニアアンプ(IC-PW1)を繋ぐ前提として、ICOMかKENWOODで検討したが、両者とも現行モデルでは候補機がないことから(ここ数年、発売を待っていたが)YAESUのFT991AMとしてネット通販で購入。

FT8運用で接続するPCはTS990と共有するため、操作で混乱しないようソフトウエアはWSJT-Xを使用して使い分けすることとし、JT-Linker経由で共有するTurbo HAMLOGにログデータを送る設定。

<アンテナの選定>
144/430MHzはタワー中腹のアームバーに設置したグランドプレーン(GP-5)に繋ぐが、HF~50MHzについては、既存のアンテナシステムから切り替える構成とせずに、モニター用途として2階のベランダに新設することにした。

アンテナの選定については、隣の敷地にはみ出さない形状と大きさ、台風時に撤収できること、そしてなるべく多くのバンドに対応(同調)していることとし、COMET社のUHV-9にカウンタポイズを取り付ける構成とした。セット品としてHAM通販大手で購入し併せてアンテナ基台(コネクタ付き)をamazonで調達。

<アンテナ設置・調整>
組み立てそのものは数十分で終わったが、各バンドのエレメント長の調整に時間を要した。
ステンレス製のエレメントは、予備品が付属してあるものの切断が必要となる調整が難しく(切りすぎると戻せない)、針金で代用してアンテナを定位置に上げてアンテナアナライザーでSWRを測定し調整を繰り返す手順で、これを各バンドで実施。

エレメントの調整に先立って、カウンターポイズ(5m×5本)をアンテナ基台から垂直に降ろして、ベランダに無造作に放置。長さをもう少し伸ばしても良いかも知れない。

各バンドともディップ点はピンポイントとなるため、全てFT8の標準周波数で調整。3.5MHzは、数ミリでも大きく変動するために追い込みきれず、ステンレス製エレメントを少し切りすぎたためディップ点が高めとなったが、実際に送信する機会はないであろうと考えて一旦終了。

50MHzは無調整でも使用可との説明があったが、HFの調整後に測定すると全帯域を通じて5を下回らない..ここから調整を行うと既に調整した他のバンドに影響する可能性があるのでそのままとした。
SWR値は以下のとおり;
  3.573MHz:6.0(3.610MHz:1.0)
  7.074MHz:1.1
14.074MHz:1.0
18.100MHz:1.7(18.000MHz:1.0)
21.074MHz:1.5
28.074MHz:1.7
50.313MHz:5.6 無調整
144.47MHz:1.4 無調整
432.17MHZ:1.1 無調整

給電点は地上高5mであり家屋からも近いため、7~28MHzのSWR値も落としきれないと思ったが使える範囲には治まった。


<運用所感>
設置後、14MHzで伝搬の良い時間帯にFT8をワッチしてみると、北米(東海岸)、カリブ、EU、中東が入感している。28MHzでは南米、50MHzでは、XV,DUもデコードできた。

メイン設備と同時受信して比較すると当然ながら入感局数は少なく総じてSNRは低いが、中にはマイナス一桁台を示す局もおり、全長2メートルの
短縮ホイップにカウンターポイズを付けただけで、これほどデコードできるとは思わなかった。

Newエンティティを追いかけず、単にFT8でDX QSOを愉しむことに特化するならば、この設備構成でも十分であることが判った。

2023年6月15日木曜日

249. VERSA Beamのポール折損 ②

VERSA Beam(KA1-404Lite)のグラスファイバーポール(以下、ポール)が折損した原因等について纏めておく。

ブームから取り外したAEU(Ra)や部材を見ると、焼け焦げや変形が随所に見られる。特にエレメントに直接触れる「ガイドパイプ」の焼損は激しく、炭化が進んでいる状態。




AEU(Ra)をメーカーに送り、想定される原因等について問い合わせ、1週間ほどで内部の写真とともに点検結果の報告を受けた。
メーカーによると、焦げたエレメントの位置から推測して7MHzでの送信時に高いSWR値で高電力の負荷がかかり、スパークしたのであろうとの事。

高いSWR値(2.0以上)のまま送信した場合、パワーメータ(KP1)のプロテクト機能により瞬時に送信ラインを遮断する構成にしているが、上記以外にスパークを誘発する要因がないことから
、例えばKP1の電源を入れ忘れた状態で7MHzに切り替え、その直後に誤って最大出力(400W程度)で送信したのかも知れない。※これも現実的には考え難いが..

上記を踏まえ、本事象の流れを整理すると以下のとおり;
昨年9月頃に7MHzで送信した際、高SWR値で高電力(400W程度)がかかる状況となり、最初のスパークが発生。
スパークは「ガイドパイプ」内のエレメント(7MHz位置)と「ポールサポート」を固定している六角ボルト(M6)間で起きたと考えられ、その結果「ガイドパイプ」の筒部分が焼け焦げた。
スパークしたもののAEU内部の電子回路は損傷しておらず、その後も通常どおりエレメントは伸縮し、SWRは1.2程度に留まっていたため異変に気づくことはなかった。
最初のスパークで焦げた「ガイドパイプ」の一部が炭化(導通化)したことで、その後の送信時(平常のSWR値であっても)に同一箇所で同じようなスパークが発生し「ガイドパイプ」以外にも「パイプラバー」「ポールサポート」そして「グラスファイバーポール」にまで焦げおよび発熱による変形が徐々に広がった。
「ガイドパイプ」の筒部分が焼け焦げて変形したため、エレメントを収納しようとした際、エレメントトップがAEUの定位置まで戻らず、結果、ホームポジションエラーが発生。
その後、更に焼け焦げ(炭化)が進んだことでエレメントトップの動線が再び確保され、結果的にエレメントトップがセンサー位置まで戻ることができ、同エラーは解消した。
その後もスパーク/発熱による変形が繰り返されたことで、最初のスパークから半年以上経って(今年5月)ポールの焦げた部分の強度が弱まったところに強風の影響で負荷がかかり折損した。

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再発防止としては、このモデル(Liteタイプ)の鬼門?である7/10MHzでの運用時、カタログ値の耐圧(600W/SWR1.2以下)を上限とせずに、基本はベアフット(200W以下)とすることが何よりであろう。

今回の折損で約3週間、HF帯(7-28MHz)の運用停止を余儀なくされたが、大きなDXぺディションがなかったことが不幸中の幸いであった。これが2月のBouvetの前に起きていたと思うとぞっとする。

<参考>部材名称








2023年6月14日水曜日

248. VERSA Beamのポール折損 ①

2021年4月に設置したVERSA Beam(KA1-404Lite)について、今回、ラジエーター左側のグラスファイバーポール(以下、ポール)が根本から折れるトラブルが発生。以下、経緯について纏めておく。


<2022年9月末>
AEU(Ra)のエレメントをホームポジションに巻き戻した際、KA1コントローラーの表示が「_234」となり、ステップモーターが空回りした後で停止(タイムアウト)する事象が発生。

メーカーに問い合わせたところ、エレメント伸縮時に何等かの影響でエレメントの先端部分が湾曲しAEU(Ra)のホームポジションセンサー位置まで戻らなくなったか、センサー回路の不具合が考えられるとの見解。

前回の不具合発生時と同様、ケーブル治具を送付してもらいケーブル断線等の可能性を探るも問題はない様子。

普段の運用には影響はないので、工事業者には都合の良い時に(近隣で工事があるついでに)点検していただくよう依頼。その後、同事象は散発的に発生したが、年が明けた頃には安定したため、特段、気にかけることもなくなった。
※結果論ではあるが、この時点でAEU(Ra)を点検し一部の部品を交換していれば、
ポールが折れる事態までには至らなかった..

<4/14>
何気にアンテナを見上げた際、ラジエータ左側の
ポールがビーム方向に僅かに曲がっていることに気づく。
例えば大きな鳥が飛来してポールに長く留まった場合、荷重が下方向に加わって歪曲するのであれば理解できるが、前方への曲がりは原因不明のため、工事業者にメールで連絡し先の不具合を含め点検を再要請。

<5/6>
朝から強風が吹いており、エレベーターでアンテナを降下させるかどうか思案していると、外からカンカンと何かを叩く音がする。
庭に出てみるとラジエータ左側のポールが折れて垂れ下がり、風で煽られてタワーに当たっている事が判明。

直ぐにエレベーターでアンテナを降下させ、強風の中、タワー中腹まで登って折れたポールを取り除いた。

ポールが折れた位置は、AEUとポールを固定する2か所の「ポールサポート」の中間部分であり、ここに外部から力が加わることは構造的にあり得ない。

当初、AEU側の「ポールサポート」のボルトが緩んだか、ヒビ割れが生じたことでポールの先端が抜けてしまい、もう片方の「ポールサポート」がテコとなって強風の力が加わり折れたのではないか-と推察したが、折れたポー
ルの断面を見ると、その一部が焦げており、単に物理的な力が加わったことが原因ではないことが判った。



メーカーおよび工事業者に連絡を取り状況を伝えたが、折損が起きた原因はAEU(Ra)を取り外して検分しないと判らないことから、ポールの交換品とAEU(Ra)の置換も想定し関連部材を送付するようメーカーに依頼。

数日後、メーカーから部材が到着し、後は工事業者と日程を決める段取りとして、暫く待機することにした。



<5/29>
5月末に工事業者から連絡があり、工事日は週明けの5/29で調整。当日は台風2号接近の影響で前線が停滞しており朝から雨の中での作業となった。

作業は効率的に時間をかけずに終わらせるため(タワー上での点検等は行わない)、ブームベース上のラジエータ部分を全交換することとし1時間ほどで終了した。


想定される原因等は別頁②に記載

2023年5月5日金曜日

246. 4月のレビュー

<サマリー>
QSO数は183となり、前年同月(142QSO)、前月(118QSO)よりも上回った。またDXペディション局とのQSO(72QSO)が全体の4割を占めた。
参考指標としている年間DXCCは4ヶ月で200エンティティを超過。昨年よりも早いペースとなった。


<エリア/バンド別状況>
エリア別ではオセアニアがDXペディション局が複数QRVしていること(9局とQSO)また50MHzでVK,ZLのオープンが続いたことからQSO数全体の6割となり、バンド別では50MHzが全体の1/4を占めた。


<エンティティ別状況>

DXペディション局を中心に未交信バンドの空きスロットを埋めることに注力した結果、Band NEWを32エンティティ伸ばし、先月(28エンティティ)を上回った。Wkdした主なエンティティは以下のとおり。


<アンテナのリニューアルから2年>
2021年の4月末にアンテナ変更工事を行ってから2年が経過。1年目は何度かトラブル(ケーブル断線等)に見舞われたが、この一年間では大きなものはない。唯一、AEU(Ra)のエレメントを巻き取った際(Home Position)コントローラーのディスプレイ表示が「_234」となる現象が散発し、現在は治まっている。

メーカーによると、内部センサーの動作不良若しくはエレメント先端部分が何らかの理由で折れ曲がって、ホームポジション位置にあるセンサーまで到達していないかも知れないとの事。

その他、強風の影響かラジエーターの左側のグラスファイバーポールがビーム方向に少し曲がってきている。

いずれも普段の運用には影響はないことから、工事業者の点検を気長に待っている状況。

運用面では、KA-1 Liteタイプの特徴かも知れないが、一旦、VSWRを1.1にセットしても翌日には変動しており、1.5を上回っているケースもあるため、Manual操作によるエレメント長の微調整が欠かせない。

またAEU(Ra)内部回路の焼損が起きないよう入力レベル(送信出力)には気を使っている。FT8ではバンドを問わず、送信は500Wを上限としているが、長時間コールする(せざるを得ない)状況では実質的には300W程度に絞ることが多くなった。※このレベルの出力差は結果に影響しないことが経験則として分かった

受信性能(特にFT8でのデコード)については、7MHzは短縮率が増え(70%→50%)、地上高も3m低くなったことから、機能的に劣ったことは否めない。※NEWエンティティ局の出始めを捉えて数コールでWkdするような経験はなくなった..

14MHzについても先のフルサイズ3エレと比較するとフロントゲインのカタログ値こそ同等だが、過去において他のJA局がコールされているDX局がデコードできないケースはあまりなかったが、今のアンテナでは結構見えないことが多い..

とはいえ、住宅地の環境でアンテナが隣地にはみ出すことがなく、7~28MHzの7バンドでDXを追いかけるには、故障リスク等があるにせよ他の選択肢は今のところ見つからない。


2022年4月9日土曜日

197. 50MHzアンテナの補修

50MHzの8エレ八木(CL6DXZ-5)のラジエータが少し変形していることが判明。特性への影響はなさそうであったがSWRディップ点の調整を含め補修工事を行った。

<経緯>
昨年のVERSA Beamトラブル以後アンテナに問題がないか目視チェックを行う機会が増え、年明けにも何気にアンテナを見上げていたところ、CL6DXZ-5のラジエータの片側がビーム方向に歪んでいるのを確認。
例えば鳥がエレメントに止まったとして、その重さで垂直(下)方向に曲がるのであれは合点がいくが、水平方向に歪むのは何とも解せない.. メーカーに問い合わせると、強風の影響ではないかとの事だがちょっと違う気がする。

アンテナアナライザーでSWR値を測定すると、50.5MHz付近のディップ点で1.2になっており、設置当初の1.0からは少し悪化している。この歪みが原因かどうか定かではないが(他の変化要素としては、6月にアンテナ直下のコモンモードフィルタを接触不良により取り外したこと)見栄えもあまり良くないので工事業者に連絡し、特に急がないので近くに来る機会があれば寄っていただくよう依頼。

変形している箇所はラジエータのUパイプであり、この部材(税別1,700円)だけを取り寄せることは可能だが、1年前に置換したCL6DXのラジエータと同じものであるため、交換が必要であればこれを用いることにした。

<工事概要>
4/6の16時半頃に工事業者から電話があり、ちょうど在宅(勤務)であったため、その日のうちに来ていただき工事を実施。その際にSWRのディップ点が200KHzほど下がるようUパイプのエレメント長の調整を行った。※取扱説明書によると±10mmで約250KHzディップ点が変動

作業はアンテナをエレベーターで下げた状態でアンテナマストから外し、タワーに沿って垂直に立ててロープで固定。その後、タワー中段でラジエータエレメントの補修を行う段取り。
歪んでいる側のUパイプを固定しているネジ(EC1)を緩めると、Uパイプを差し込んでいたラジエータのアルミパイプから抜け出す力が加わりUパイプを全て引き抜くと、ほぼ原型どおりに戻った。
結果的に片方のUパイプがラジエータのアルミパイプに強く押し込まれて変形したようであるが、この力が加わった原因は不明。1年前の設置当時に撮影した写真では真っ直ぐになっており、何かが起きたのは確かではあるが..
結局、Uパイプはそのまま差し戻して使うこととしエレメントを+10mm伸ばして固定。アンテナを元に戻し2時間程で作業終了。

<SWR測定値>
SWRのディップ点は50.3MHz辺りにまでシフトしたが、最良点でも1.2を下回ることはなかった。取扱説明書記載の特性曲線と少し差異はあるが、運用周波数範囲(50.1-50.5MHz)は1.2でカバーできており、フロントゲイン/FB比にも特段の影響はないと考える。
ちなみにアンテナアナライザーで広域(49MHz-54MHz)に亘りSWR値を測定すると、51.6MHz辺りでピーク(4.0)に達した後、再び下降に転じて53.0MHzで再度ディップ点(1.0)を迎える特性を示している



2022年3月18日金曜日

193. KP1の導入

アンテナとリニアアンプの保護目的で工人舎のデジタルパワーメーター KP1 を導入。概要を纏めておく。

<背景>
昨年秋のVERSA Beamのトラブル(=コントローラケーブルの一部断線によりAEU内のリレー回路が動作せず 7/10MHzでSWR値が無限大)以降、送信時はリニアアンプの内蔵チューナーはスルーにして、リニアアンプのSWRメーターでアンテナ〜リニア間のSWR値を監視しているが、1月下旬の降雪時、エレメントに付着した雪の影響で7MHzのディップ点が200KHzほど下がり、7.074MHzでのSWR値が無限大となっていた。
その際、もしFT8のリモート運用をしていたら、気づかずにAEU(Ra)の内部回路を焼損するリスクがあった。
また過去にコモンモードフィルターのコネクタ接触不良によりリニアアンプのSWRメーターが異常値を示したことから、アンテナ固有のSWR値を常に確認できる状態が望ましく、更にKA1コントローラーでアンテナのSWR値を調整する際、小さいアナログメーターではディップ点を探るのが不便であった。

上記のはいずれもKP1の機能で解消できることが判り導入を決めた。
アンテナのSWR値が何らかの理由で悪化した場合、リニアアンプを自動停止することができる。結果、バンド切り替え時のエレメント伸縮中に誤って送信した場合のプロテクションにもなる。
リニアアンプから見てフィルター類を通過した後に本機を繋ぐことで、アンテナ固有(同軸ケーブルを含む近似値)のSWR値を測定できる。
SWR値は小数点以下3桁のデジタルで表示されるので、エレメント伸縮によるディップ点が探り易い。

<構成・配線>
KP1を追加した全体の構成・配線は下図のとおり。


本体の背面パネルにあるRCA端子
<TX GND>をTS990のACCソケットの#4(MKE端子)に繋ぎ、もう一方の<RELAY IN>はこの#4とFTCを経由し接続していたIC-PW1のACCソケットの#3(SEND端子)に繋ぐ。
通常、本体内部で接続されているこのラインが、任意に設定したSWRの閾値(例 2.0)を超過した際にオープンとなる仕組み。この場合、エキサイターが送信状態にあってもリニアアンプがスタンバイ(スルー)状態となり、結果、アンテナに供給される電力はエキサイターの出力(最大25W程度)に留まる。
ケーブルは各ACCソケットからではなく、FTC側のDsub(15P)コネクタから分岐することにした。

<動作確認>
SWRプロテクトの閾値を2.0に設定し、送信状態のままKA1コントローラーでエレメントを伸縮しSWR値を変化させいくと、下図のとおり閾値を超えるとプロテクトランプが点火してリニアアンプがスタンバイ状態となった。
KP1は上記の特長以外にもRFピックアップ部分と本体を分離できることや大型クロスメーターにより視野性が高いことなどユーザーの使い勝手に工夫がみられる。できれば50MHzまで測定したいところだが、HFでのハイパワー運用をコンセプトに開発された製品であろう。
筐体は思っていた以上に大きく、TS990の上に配置してみたが少々バランスが悪い.. 部屋にはなるべく無線機材は置かずシンプルなレイアウトを心がけているが、KP1の設置でまた一歩『シャック』に近づいた。なお、世界的な半導体部品不足の影響か、発注から納品までに1ヶ月ほどかかった。