2023年6月15日木曜日

249. VERSA Beamのポール折損 ②

VERSA Beam(KA1-404Lite)のグラスファイバーポール(以下、ポール)が折損した原因等について纏めておく。

ブームから取り外したAEU(Ra)や部材を見ると、焼け焦げや変形が随所に見られる。特にエレメントに直接触れる「ガイドパイプ」の焼損は激しく、炭化が進んでいる状態。




AEU(Ra)をメーカーに送り、想定される原因等について問い合わせ、1週間ほどで内部の写真とともに点検結果の報告を受けた。
メーカーによると、焦げたエレメントの位置から推測して7MHzでの送信時に高いSWR値で高電力の負荷がかかり、スパークしたのであろうとの事。

高いSWR値(2.0以上)のまま送信した場合、パワーメータ(KP1)のプロテクト機能により瞬時に送信ラインを遮断する構成にしているが、上記以外にスパークを誘発する要因がないことから
、例えばKP1の電源を入れ忘れた状態で7MHzに切り替え、その直後に誤って最大出力(400W程度)で送信したのかも知れない。※これも現実的には考え難いが..

上記を踏まえ、本事象の流れを整理すると以下のとおり;
昨年9月頃に7MHzで送信した際、高SWR値で高電力(400W程度)がかかる状況となり、最初のスパークが発生。
スパークは「ガイドパイプ」内のエレメント(7MHz位置)と「ポールサポート」を固定している六角ボルト(M6)間で起きたと考えられ、その結果「ガイドパイプ」の筒部分が焼け焦げた。
スパークしたもののAEU内部の電子回路は損傷しておらず、その後も通常どおりエレメントは伸縮し、SWRは1.2程度に留まっていたため異変に気づくことはなかった。
最初のスパークで焦げた「ガイドパイプ」の一部が炭化(導通化)したことで、その後の送信時(平常のSWR値であっても)に同一箇所で同じようなスパークが発生し「ガイドパイプ」以外にも「パイプラバー」「ポールサポート」そして「グラスファイバーポール」にまで焦げおよび発熱による変形が徐々に広がった。
「ガイドパイプ」の筒部分が焼け焦げて変形したため、エレメントを収納しようとした際、エレメントトップがAEUの定位置まで戻らず、結果、ホームポジションエラーが発生。
その後、更に焼け焦げ(炭化)が進んだことでエレメントトップの動線が再び確保され、結果的にエレメントトップがセンサー位置まで戻ることができ、同エラーは解消した。
その後もスパーク/発熱による変形が繰り返されたことで、最初のスパークから半年以上経って(今年5月)ポールの焦げた部分の強度が弱まったところに強風の影響で負荷がかかり折損した。

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再発防止としては、このモデル(Liteタイプ)の鬼門?である7/10MHzでの運用時、カタログ値の耐圧(600W/SWR1.2以下)を上限とせずに、基本はベアフット(200W以下)とすることが何よりであろう。

今回の折損で約3週間、HF帯(7-28MHz)の運用停止を余儀なくされたが、大きなDXぺディションがなかったことが不幸中の幸いであった。これが2月のBouvetの前に起きていたと思うとぞっとする。

<参考>部材名称








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