2018年11月5日月曜日

22. ハイパワー変更申請の落成検査・免許状交付

登録点検事業者による変更検査(落成検査)を受審。
当初、国による検査を受ける予定で、検査内容等に関して関東総通局にメールで問い合わせた際、臨検の場合は、近隣住宅(一軒)で電波障害調査を行いたいので、事前に調整してほしいとの事であった。
検査官が、年末年始の平日にご近所のご家庭(リビング)に上がって、電波障害の調査を行っているシーンを想像すると、普段から円満な近所付き合いができていても、さすがにこれは回避したいと考えて登録点検事業者による検査(総通局では「書面検査」と表現)に変更した。

登録点検事業者は、総務省のホームページ上のリストに多く掲載されているが、それぞれの企業のホームページを見ても実際にこの調査を生業にしているかどうかはよく判らず、その中で明確にアマチュア局の200W超の変更検査を行うことを謳っている個人経営の事業者を見つけてメールで見積りを依頼。

結果、国による検査と比べて費用は3〜4万円ほど割高になるが、上記、如何ともし難い理由と土日に検査が受けられることおよび免許状の交付が2ヶ月ほど早まるので、その対価として割り切ることにした。
点検事業者と何度かメールでやり取りし、
以下の資料を事前に送付した;
・委任状
・無線局指定変更・変更許可通知書*
・工事設計書及び事項書 ※電子申請書を印刷したもの
・送信機系統図*
・無線従事者免許証*
・理由書(50MHz/1kw)*
・誓約書(28MHz/500W)*
・アマチュア局検査事前点検表
・電波障害調査依頼書*
・電波障害調査回答書(8軒)*
・障害調査宅との位置関係を示す図*
・電波障害調査報告書(行政防災無線局用)*
・電波防護指針に基づく基準値に適合している事の証明書
 →電界強度確認表(3通)*
・その他総合通信局からの連絡、指示等の文書
 →空中線の道路越境に係る確認書*

(*は写し)
最後の作成資料となった「アマチュア局検査事前点検表」
 

検査日を10月27日(土)に決めて、当日、0930時頃に車で来宅。直ぐに検査が開始された。検査工程と内容は以下のとおり;
・庭から変更申請書に記載した空中線を目視確認し撮影
・シャックににて検査機材を設営
 ※こちらで用意したものは同軸ケーブル(5D-2V/MP-MP/3m)のみ。
・事前提出した書類の原本確認を含め一通りの書面審査
・送信機系統図に沿って、エキサイター・リニアアンプのシリアル番号等とコモンモードフィルター 等の電波障害対策状況を確認し撮影
・持参されたダミーロードを用い、申請した全ての周波数帯(7/14/21/28/50MHz)において、送信電力を測定(CWモードのみ)
・アンテナに接続して、実際の交信を行い(7MHz/SSB)、シャック内のTVを用いてインターフェアが出ていないことを目視確認

なお、今回申請した送信機の構成(TS990+ICPW1)では、スプリアス測定は行わない旨、関東総通局から連絡があり、事業者検査の際も対象外であったが、念のため電力測定に用いられたスペクトラム・アナライザー(U3751)で7MHzのスプリアス(第2-4高調波)を測定した。
 

結果、特段の不備・指摘はなく、約1時間程度で検査は終了。
その日のうちに、点検事業者から関東総通局に電子申請により「変更工事完了届」を提出していただき、週明けに関東総通局に直接出向いて、以下の書類を提出した。
・電波障害調査依頼書
・電波障害調査回答書(8軒)の原本
・障害調査対象住宅との位置関係
・電波障害調査報告書(行政防災無線局用)
・返信用封筒(角形3号)

電波障害調査表/回答書の様式を一部変えたことで、何か指摘を受けるかもしれないと憂慮したが、11月2日に点検事業者から関東総通局に審査状況を確認していただき、本日付けで免許されたとの連絡があり、後日、「無線局検査結果通知書」と「無線局免許状」が送付されてきた。

 

 

8月9日の電子申請から約3ヶ月でハイパワー免許を受けることができた。途中、補正依頼がなければ2ヶ月足らずで免許された計算になる。
免許を受けるまでに提出資料が30種以上に及んだこと、電波防御指針の基準値クリアに苦心したことおよびご近所への電波障害調査での気苦労も
、振り返れば貴重な体験となった。

1kWでの1st QSOは、14MHzのCWでのZ23MD。ZimbabweのDXペディションであった。


2018年11月4日日曜日

21. 電源ラインのインターフェア対策強化

リニアアンプの設置に伴い、大進無線製のコモンモードフィルター とTDK製のフェアライトコアを用いて、電源ラインのインターフェア対策を強化。送信側での対策を纏めると以下のとおり;

<エキサイター>
・機器側の電源コードの付け根にフェライトコア(ZCAT2032-0930)を8個クランプ
・アース端子にコモンモードチョーク(DCE-3)を挿入してリニアアンプのアース端子に接続
・AC100Vコンセント側にコモンモードフィルター( DCK-SRH)を挿入

<リニアアンプ>
・機器側の電源コードの付け根に付属品の大型フェライトコア2個を装着
・アース端子にコモンモードチョーク(DCE-3)を挿入し、先に工事した壁面のアース端子(端子から地面までの距離約4メートル)に接続
・AC200Vコンセント側にコモンモードフィルター (KIT-DCK-61W )とコモンモードチョーク(DCE-3)および200Vコンセント(WK3811)を多孔パネルに配置・結線して壁面に架設(下図)

 

<その他機器>
テーブルタップのAC100Vコンセント側にフェライトコア(ZCAT3035-1330)を3個を用いて2ターンした自作のチョークを挿入。

以下はデスクの下に設置したリニアアンプの背面。黒の筒状のもの2本が付属品のフェライトコア。クランプ式ではなく、AC200Vのプラグを結線する前に電源ケーブルに通してから結束バンドで落ちないように留める構造。
ちなみに左上のアンテナコネクタ(4番)に繋いでいるのはコモンモードフィルター(DCF-RF-QEA)。これを介して今年のハムフェアで購入した1.5kWダミーロード(MFJ264)に接続。※フィルターの耐圧は500Wだが、連続送信時間が数十秒のため許容。

 

コンセント周りの状況 
 

コモンモードチョークを挿入する位置をRF電流計(CQ20)を用いてコモンモード電流値が下がるポイントを探っていくと、リニアアンプのアース端子直下よりもアースコンセント側に付けた方が低い数値が出た。
ただし最も低い値を示したのは、リニア側から見てチョーク通過後ではなく、チョークの手前となったため、そもそもチョークの効果が無いのかと考え一旦取り外してアース線のみで接続すると大きなコモンモード電流が流れるため、低減効果があることは確認できた。この辺りは理屈ではなく実際に試してみるしかないようである。

2018年11月2日金曜日

20. インターホンの障害対策

7MHzと14MHzでの送信時、自宅のインターホン(パナソニック製/VL-SWN350KL)のモニター映像に電波障害が出ることが判明。
インターホンのインターフェアは、呼び出しチャイムが勝手に鳴り出す誤動作だけだと思っていたため、現象が発生しないので気に留めていなかったが、ふと思い立ち、試しにモニターをオンにして送信したところ、多数の横筋が入って画面が乱れるアナログTV時代のTVIと同じような障害が発生していた。
この障害はアンテナが北方向ビームで最大となり、東方向(90度)に廻すと、気づかない程度にまで落ち着くことや、送信出力が200W程度では、実用に耐えるレベルであるが、1kWで試験電波を発射した際は、映像がかすむほど乱れることが判明した。

平常時


1kW送信時


自宅ではあるがインターフェアを認知した以上、何とか止める手立てを講じるべく、また、ご近所で同じ障害が起きた時に備え、先ずはメーカーに相談した場合にどのような対策が講じられるのかを知っておくことにした。

メーカーのサービスセンター(パナソニックコンシューママーケティング社)に電話連絡し、状況を伝えて修理担当者の来訪をお願いした。
当日、実施された対策は、予想したとおり親機(本体側)から子機(カメラ側)に接続する端子にチョークコイル(ST-101)を接続することであり、残念ながら目に見える改善は図れなかった。次に障害の起点箇所を切り分けるため、門柱から子機を取り外して、部屋の中で親機と短いケーブルで接続したところ、障害発生は見られなかったことから、障害発生要因は、機器本体や電源ラインからの回り込みではなく、子機との接続に用いているケーブル(十数メートル)に起因することが判明。

結果、修理担当者からは、製品自体の瑕疵ではなく設置環境の問題である-との見解が示され(異論はあるが..)、その上で、このままST-101を取り付けた場合、1万円の作業費が発生するがどうするか−と聞かれ、当然、お断りして「修理中止」として作業完了。その場で、出張料・技術料として約4,000円を精算してお引き取りいただいた。ST-101(2,000円相当)も買い取ることはなく、お持ち帰りいただいた。

勉強代としては少し高くついたが、メーカー側の対応と障害起因箇所が特定できたので、後は、どの程度強力なチョークコイルを入れ且つ配線を見直すかを考えることとし、先ずは、富士無線で取り寄せた大進無線製のインターホン用チョークコイルDCF-50TEL-2Cを親機(本体)のケーブル端子に接続した。結果は、ST-101よりも効果はあるものの、障害解消と言うには、程遠いレベルであった。

 

 

配線の経路については、親機を設置したリビングの壁面内から玄関脇に設置した配線ボックスまで4芯ケーブルを引いており(宅内での経路や距離は不明)、そのうち2本の芯線を配線ボックス内でインターホン用のケーブル(ACコードの類)にジョイントして、そこから8メートルほど地中に埋設したCD管を通じて門柱(枕木)に設置した子機に接続している。

試しに宅内から配線ボックスまで引いたケーブルに子機を直接、繋いで試したところ、1kW送信でも殆ど判らないレベルまで障害が低減していることが確認できた。
結果、しっかりと対策を講じる必要があるのは配線ボックスから地中を経由して子機まで伸びている配線部分であり、ここはCD管自体が経年劣化で所々で亀裂があり雨水が浸入していることから、少し時間をかけて対処を練る予定でいたが、電気工事店の会長さんにAC200V工事の際にインターホンの電波障害の話をしていたため、工事の翌週に雑音耐性のあるシールドケーブル(FCPEV)をわざわざ持って来ていただいたので、CD管の亀裂を自己融着テープ、アクリルスプレーで塞いでシールドケーブルを再配線した。

結果、モニターに映る映像は、宅内配線に直接繋いだ時と変わらず、軽微なレベルに収まった。

 

 

これ以上の対策としては、親機を取り付けている壁面内でチョークコイルを多重化したり、屋内配線全てをシールドケーブルに取り替えることであるが、両者とも施工がちょっと厄介なので、とりあえずの対策はここまでとした。

なお、これまでに費やしたインターホンの障害対策費に上記の施工費用を加えれば、ワイヤレス式のモニターインターホン(多分、インターフェアとは無縁だと考える..)が買えることを後から気づいた。