2023年8月26日土曜日

256. ローテーターのPCコントロール

FT8のリモート運用でこれまでネックとなっていたローテーターのリモート操作に関して、ローテーターPCインターフェイス(頒布キット)を用いてPC制御によるリモート操作をできるようにした。

<インジケーターの置換>
2018年のタワー建柱時に購入・設置したローテーターセット(RC5A-3)は、そのインジケーター部(コントローラー)にリモート端子がない仕様のため、メーカーに送って改造してもらうかリモート端子付きのインジケーター(RC5A-3P)を購入する必要がある。
メーカーに見積依頼したところ納期までに10日ほどかかり、その間はアンテナを廻せないことや、工費が思った以上に高額であったことから、新たにインジケーターを購入し、従来のものは故障時の予備とすることにした。


<PCインターフェイス>
ネットにて「ローテーターコントローラー」を検索すると、完成基板の頒布とパーツから組み立てるキット頒布の2つが見つかり、後者は2023ハムフェアでも入手できるため、こちらを選択し事前予約の上、8/19に会場で受け取った。
キットはプリント基板、パーツ、5PinDINコネクタと各種アプリケーション/説明書が入ったCD等を含めて5Kと安価。

動作原理はどのコントローラーも同じであると考えるが、ローテーター側から位置情報を示すDC出力、RC5A-3Pの場合は、1番ピンから0.0V(CCW-180度)~3.2V(CW+180度)の電圧変化をA/Dコンバーターでデジタル変換し、アプリケーションの地図上にプロット。アンテナを向ける方位を決めて地図をクリックすると、A/Dコンバーターを介してその位置情報までCCW(左回転)またはCW(右回転)端子を接地しローテーターを廻す仕組み。

<組み立て>
久し振りのキット製作のため、半田ごての先端が最も細いタイプの純正品(TQ-77RT-SB)に交換。基板のはんだ付けは、トランジスタ(3個)の線間ピッチがかなり狭く注意を要したが、丁寧な説明書が添付されており、難なく組み立て作業を終えた。

一方、インジケーターのリモート端子のピンポジションを左右反対に誤認したことで、期初設定で規定の電圧が測定できず、気づくまでに時間を要してしまった。

ケースは、ハムフェアで見た実機のケースより少し大きめの「YM-120」を購入。USB Type-Bを差し込む四角穴のケース加工は金属やすりをかけて仕上げたが、それなりの出来栄え。 ケースに入れて配線し完成したものは以下のとおり。


インジケーターのリモート端子(J1)は6Pin DINのため6芯ケーブルを用意し
たが、使用するのはGNDを含めて4芯のみ。ピンポジションを備忘のため記録しておく。


<設定・調整>
説明書に従い、基板の位置情報信号出力(電圧)を調整。その後、アンテナ方位と電圧の関係を示すパラメータ(ADコンバ
ーター値)を4つの方位で測定しデータ登録。設定値は以下のとおり。

なお、現在アンテナの向きはインジケーターが0度値でほぼ磁北を向いており、真北方向に+7.3度補正する必要があるが、台風シーズンが終わってからの作業とする。

<使用感>
アプリケーションの設定画面で地図を3種類から選択できるほか、jpegファイルで簡単にカスタマイズできる。試しにQTHを中心とした関東エリアと日本全国の地図を作り設定してみた。50MHzで国内向けにビームを向ける時は便利に使える。

従来のインジケーターでの操作と比べ、PC上で(マウスで)簡単にエンティティの方位を合わせられることや、世界地図(正距方位図)も少しカスタマイズして見易くなったため、リモート運用に限らず普段使いとして用いることにした。

ステータスLED(緑)が通電時は点滅し続けるので、電源スイッチに置換しても良いかもしれない。


2023年8月19日土曜日

255. Online DXCC Award 申請

これまでDXCC Awardの申請はLoTWから行ってきたが、LoTW未対応のためQSLカードを受領しているエンティティが溜まってきたことから、8月のハムフェア会場でフィールドチェックを受けるべく、ARRLのOnline DXCC システムでデータ登録と申請を行った。以下、手順について備忘のため纏めておく。

❶ARRLのホームページより予め登録したアカウント(コールサイン)でログイン。



❷ログイン確認後、“On The Air” タブを選択しサイドメニューから“Award”をクリック。


❸表示ページのサイドメニューから“DXCC”をクリックし、続いて“Online DXCC Application”をクリック。


❹“ARRL DXCC online application system”をクリック。


❺Online DXCC システム画面に遷移。このURLからも直接ログインできる仕様のようである。先ず“Enter QSLs”タブを選択。

❻ページの下段にあるデータ入力欄に進む。


❼申請するエンティティのQSLカードを一枚づつ参照しながらQSOデータを入力し“Save”をクリックすると、下段のQSLリストに情報が反映される。
途中で作業を中断しても(システム画面を閉じても)入力データは保持される仕様。


❽全てのデータを入力し(今回は35QSO)登録内容のチェックを終えたら、画面下段の“Restore Default sort Order”をクリック。入力した順番にソートされる。


❾Online DXCCのメインメニューに戻るので “Submit Application”タブを選択。


❿該当するラジオボタン2か所にチェックを入れて、氏名等の情報を入力し※、下段にある“Continue”をクリック。
※氏名・住所・メールアドレス欄はアカウント登録時の情報から自動反映している


“Check All Records”にチェックを入れて、下段にある“Continue”をクリック。


⓬Payment Optionで“New”を選択し、クレジットカード情報を入力後 “Continue”をクリック。


⓭申請内容を再確認し “Continue”をクリック。


⓮QSLリストを再確認し “Submit Application”をクリック。これで申請登録が完了。
 (これ以降はデータ変更不可)


⓯最終画面が表示されて6つのプロセスが完了したことが判る。
⓰左下の“View Application”をクリックすると別のウインドウが開き“DXCC Award Application”と”DXCC Record Sheet”
が表示される。


⓱画面を印刷して一枚目に氏名、コールサイン、日付を記入(自筆)。
フィールドチェックを受ける場合は、この2枚の用紙とQSLカードをフィールドチェッカーに手渡して、申請内容とQSLカードの情報を照合していただく。
照合後、フィールドチェッカーが申請書にサインしJARLよりARRLに申請書を郵送し手続きは完了。


⓲“Application History”タグから申請状況を確認。ARRLに到着後“Pending”が日付に上書きされる。



2023年8月13日日曜日

254. 50MHz 夏のDXシーズン振り返り

8月中旬となり、マルチホップEsによるヨーロッパ、北米の入感はなく、オセアニアと近隣アジアは入感しているものの、いわゆる夏のDXシーズンは終わった感がある。過去との比較観点で5月月初から8月2週目までの期間でQSO状況を振り返っておく。

<サマリー>
Wkdできたエンティティは41となり、昨年(53エンティティ)を下回った。また、QSO数は87局で昨年(274QSO)、一昨年(414QSO)を大きく下回る結果となった。

原因としてはマルチホップEsによるヨーロッパ、北米のオープン頻度が少なく、入感地域が限定的であったこと(広範囲に亘るオープンは少なかった)、総じてオープンしている時間が短かったことが挙げられる。

また小規模・短時間ながら入感することはあっても ”QSO B4”の常連局ばかりで静観していることが多く、例年と比べてワッチする時間(リモート運用含め)が少なかったこともQSO数が伸びなかった要因と考える。


<エリア別状況>
ヨーロッパの初QSOは5/30のルーマニア。6月は僅か8QSOに留まり、7月に入って7/11に今シーズンで最大のオープンがあり15QSO。7/23にはイギリス方面が多数入感し、ここでマン島(MD0CCE)をWkdできたことが今期一番の収穫であった。シーズン終盤は、8/6にノルウェイ3局とQSOでき、8/10のポーランドが最後となった。

アフリカは6/4にカナリア諸島の2局とQSO。6/28にはレユニオンのFR4OOをWkdしてBand NEWを一つ伸ばした。

アジアでは、5月と6月にキリギスタンの2局とQSOし、7/28に南鳥島がWkdできてBand NEWは2Upとなった。一方、インド洋のラクシャディープ諸島のペディション(VU7W)、モルディブの2局は入感するも逃している。

北米は今期アメリカ本土とアラスカのみ。カナダ、メキシコは入感するも”QSO B4”局のためコールは控えた。QSO数は13局に留まり、昨年同期の1/6、一昨年比較で1/10以下となった。唯一、テネシー州をWkdできてWASを一つ伸ばせた(残り4州)のは幸運であった。

一方、オセアニアはエンティティ数、QSO数ともに昨年を僅かに上回った。5/4のスプラトリー諸島のペディション(DX0NE)でBand NEWも一つ伸ばしている。

結果、Band NEWは以下の5エンティティとなり、昨年(8エンティティ)よりも下回ったが、このコンディション下では善戦したと考える。
カリブ(キューバ、他)、中南米(コスタリカ、コロンビア、他)は、他のJA局がコールされている時にワッチする機会が何度かあったが、こちらには入感はなかった。9月以降、F2層伝搬に期待したい。

2023年8月3日木曜日

253. DX運用日誌(143)-1A0C-

マルタ騎士団(The Sovereign Military Order of Malta)でのDXペディション。ローマ中心部からのQRVであり期間は7/27~8/2の一週間。
4年前(2019年7月)のQRVでは14MHz/CWでATNOを狙うもコールできる強さでは入感せず惜しくも逃している。このことがFT8運用を始めるきっかけの一つとなった。

<7/27>
運用初日は21時頃より18.096MHz/FT8でQRVを確認。多い時で20局ほどがコールされているのが見えるが、こちらでは入感はない。
F/Hのマルチスロット運用のため信号は弱く、なかなかデコードできない状況。

日付が替わって深夜1時半過ぎにようやく-20dBで入感するもデコードは散発的。Wide Graphを見ながら信号が上昇したタイミングでコールしていると2時前に4ライン/-17dBで入感し「-10」のリターンを得た。
しかしながら次のシーケンス以降、デコードレベル以下に沈み「RR73」は未受領。

3分後に再び4ラインで入感し再チャレンジするもやはりデコードは安定せず、02:17にCQシーケンスが3回ほど続いて(シングルスロットではSNRは-15dB程度)そのままQRTした様子。
翌日、HPで公開されているオンラインログの初更新で”In Log”を確認。ようやくATNO解消となった。

<7/28>
朝の7時前に14.024MHz/CWでRST:419程度で入感。10分程コールするもフェードアウト。
15時過ぎに21MHz/CWをワッチするとRST:529程度で入感。コール開始6分ほどでリターンを得られ、Band/Mode NEWを得た。

22時頃より18.084MHz/CWをワッチ。僅かに入感するも明確にリターンが判るレベルではないため静観。23時頃からQSBがあるもののピークRST:529程度で入感し始めコール開始。10分ほどでリターンを得た。

同じ時間帯で14.079MHz/FT8で入感。23時半を過ぎた頃より4ラインで安定して見え始めるが、FT8でのQRV開始直後のせいかE
Uへのリターンが大半を占めており、停波して静観。
深夜1時前になってJAをピックアップし始めたのを機にコールを再開するも1:16にQRTした様子。

<7/29>
6時前に起床し14.090MHz/FT8をワッチすると既に多くのJA局がコールされている。一旦、見えなくなり、20分程して14.079MHzにQSYしていることを確認。
FT4の被りがありデコードも散発的であったが、コール開始20分ほどで「+02」のリターンシーケンスをデコード。しかしながらSNRは-24dBであり、その後浮上せずに終了。後刻、オンラインログで確認したがNot in logであった..

<7/30>

深夜2時半前からワッチ開始。SNSの情報では昨日この時間帯に24MHz/FT8で強力に入感していたようであり、それを狙ったがQRVは確認できない。
替わりに21MHz/FT8で強力に入感しておりコール開始6分ほどでリターンを得られた。

その後、14MHz/SSBをワッチするとQSBがあるもののピークRS:53程度で入感。"Only JA"を連呼してくれており、3時ジャストにコールバックを得た。14MHzはこれまでCW,FT8を逃してきたが、おもいがけずSSBでのWkdとなっ
た。

その後24.902MHz/CWのQRVを確認しワッチするもコールできる強さではない。暫くFT8へのQSYを待つも入感はないので就寝。

<7/31>
深夜2時よりワッチ開始。PSKreporterを見ていると24/28MHzともにFT8でQRVはしているようだが入感はない。14.024MHz/CWをワッチするとQSBがあるもピークRST:559程度で入感。激しいパイルアップではあったが10分ほどでリターンを得た。

ここまでCWでは3バンドとも比較的スムーズにWkdできている。高速CWでパイルアップをさばくオペレーションは聞いていて心地よい。

朝6時半頃より10.131MHz/FT8をワッチすると6ライン/-11dBで強力に入感。出遅れ感は否めず、コール開始するも7分ほどで見えなくなりQRT(QSY)した様子。

<8/1>
深夜のハイバンドを狙うために0時より1時間ほどワッチするも24/28MHzでの入感はない。早朝5時より再び10MHz/FT8をワッチするも入感はなく、そのまま出勤。

21時頃から24.920MHz/FT8でコールされているJA局が見え始め22時には30局ほどに増えるもこちらではデコードできない。そのうちコールされている局が次第に減って、このまま終息かと思いきや22:40に-18dBで入感。
直ぐにコールするも再びデコードレベル以下に沈む。断続的にコールしていると6分後にいきなり-19dB/6ラインで入感。「-07」のリターンを得たがデコードは続かず「RR73」未受領。
その後デコードできたタイミングで再チャレンジしていると”LOG/IN”のメッセージを送っていただいた。試しにオンラインログをチェックすると数分前に更新されておりQSOを確認できた。

<8/2>
日を跨いで深夜1時過ぎから14.090MHz/FT8をワッチすると10局ほどがコールされており暫くして-18dBで入感。デコードできたタイミングでコールしていると40分ほどして4ライン/-16dBでリターンがあり無事に「RR73」を受領。当初苦労した14MHzで3モードでのQSOが叶った。

6時前より10.131MHz/FT8をワッチするも入感はなくCWでQRVしている様子。FT8リモート運用を準備して出勤するも結局、QRVは確認できず、最終日を終えた。

結果は8QSO/14~24MHzの4バント/3モードであった。

朝の10MHzは数少ないチャンスを逃したが、他のバンドは連日深夜まで粘った甲斐があった。今回も決してEasyではない状況でATNO解消とBand NEWを4つ伸ばすことができたのは上出来と言える。