2024年1月29日月曜日

276. DX運用日誌(147)-TX5S-

今年最初となる大規模DXペディション。クリッパートン島はメキシコの海岸線から約1,000km南西にある太平洋上の無人島(珊瑚礁)であり、JAとの伝搬は比較的良好と考える。

運用期間は当初の予定から短縮されて約1週間となったが、ATNOを含め8つのBand NEWを得ることができた。以下、QSO状況を中心に纏めておく。

<1/20>
運用初日の午後12時過ぎにDXworld.comの告知により18MHzでのQRVを確認。
バンドプランに基づき18.069MHz/CWをワッチするとRST579程度で入感。土曜の午後の時間帯とも相まって、JAから
のパイルアップはすさまじく+2KHz~10KHzを超えてビッシリと埋まっている。

1時間ほどコールするもリターンの気配はないので昼食のため一旦離席
。13時半頃からコール再開するも状況は変わらず長丁場になると予想したが、+8KHzでコールしていると10分程でリターンが得られ、ATNO解消となった。他バンドのアンテナ設営はこれからとの事で、初日は終了。

<1/21>
朝6時過ぎにPSKReporterで18MHz/FT8でQRVを確認。ワッチすると8ラインで強力に入感して
おりコール開始。20分ほどしてDF3,000Hz以上が狙い目との情報を得て3,100HzにQSY。5回目のコールでリターンを得た。

14時に外出から戻るとCLUBLOGのLivestreamが稼働しており、14MHz/SSBと21MHz/FT8でのQRVを確認。これ以降、QRV情報はLivestreamを参照することにした。

先に14MHzをワッチするとピークRS55程度で入感するもパイルが激しいため21MHz/FT8にQSY。信号は強力でピーク6ラインで入感しており、14時半頃からDF3,200HZでコールし、18分ほどでリターンが得られた。

14MHz/SSBに戻りコール開始。主にJAをピックアップしてくれているがパイルアップは+20KHzまで広がっている。1時間ほどコールするも信号がRS51程度に下降したのを機に諦めて本日は終了。

<1/22>
朝の出勤時に24MHz/FT8のQRVを想定し、ベアフットでのセッティングを行い電車内からリモートでワッチ。思惑どおり6時半頃に入感を確認しコール開始後30分ほどでリターンを得た。

夕方の帰宅時にも7MHz/FT8でのQRVを確認。DF3,150Hzに設定して17時過ぎからコール開始。ピーク8ライン/-7dBで入感するも、JAに返しているリポートはSNR-15dB以下も多く、F/Hモードの”3アウト”となっているケースも散見される。

自宅に着いて290W程度にQROしてコール再開。JA以外にもEU/北米局もピックアップしており大規模なパイルアップとなっていると想定。
この時間帯、国内局はスキップしておりWide Graph上で空きDFが上手く選択できないため、とりあえず2,200~2,400Hz辺りを移動しながらコールしていると、コール開始から2時間15分経ってようやくリターンを得た。

その後、直ぐに10MHz/CWをワッチするとQSBがあるもののRST529程度で入感。+8KHzでコールする局にリターンを返したのを確認し、その近辺でコール開始したところ1分ほどでリターンが得られた。

<1/23>
朝8時頃から28MHz/SSBで入感。+10KHz辺りでコールする局をピックアップしている。
長い周期で深いQSBがあり、ピークRS57で入感するも沈む時は41程度までダウン。9時前から信号が上昇したタイミングでコールし1時間ほどでリターンを得た。

11時頃から21MHzと18MHzのSSBでのQRVを確認。両バンドとも北米局メインでたまにJAをピックアップしている様子。
18MHzで信号が上昇し始めRS53程度となったところを見計らってコールを開始し12時過ぎにリターンを得た。

13時前に14MHz/FT8でのQRVを確認。ピークで10ライン/-9dBで入感するも30分ほどしてフェードアウトし始めてデコードも散発的となるが
、40分ほどコールしてリターンを得た。”RR73”は未受領となったがLivestreamで確認できた。

14時過ぎから10MHZ/FT8のQRVを確認。ピーク8ラインで入感しておりコールするも15時頃にCWにQSYした様子。
17時半過ぎに再びFT8に現れ、4スロット/-5dBで入感。コール再開後、夕食を挟んで19時にリターンが得られた。

<1/24>
午前中の28MHz/FT8狙いでセットアップして出勤。9時頃にワッチすると運よくCQシーケンスを捉え直ぐにコール。10ライン/-2dBでピックアップし始めて3回目のコールでリターンを得た。

帰宅後、18時前から3.5MHz/CWのQRVを確認しワッチするも殆ど聞こえない。18:16からは3.565MHz/FT8でQRV確認するもデコードは数回のみ。暫くしてデコードできたタイミングでコールするもパイルは激しさを増し、21時頃には100局ほどが見える。
Falsedecodeも散発し、ピックアップは北米局に偏ってきたので諦めかけたが、22時頃よりコンスタントにデコードできるようになりコール再開。22:12に+00のリターンを得た。
その後、先方のグレーラインの時刻ではピーク6ライン/-18dBで入感していた。

<1/25>
朝9時頃より14/24MHzのCWでのQRVを確認するも両者とも微弱。24MHzは10時前になってピークRST559程度まで上昇し、+7.6KHzで5回ほどコールしてリターンを得た。
14MHzは多くのJA局がコールされているが、殆ど北米局のみ相手にしているため静観。

午後1時半頃に14MHz/SSBで入感。+10KHzでピックアップしており、信号が上昇したタイミングを狙ってでコールしたところ一回でリターンを得た。

<1/26>
朝7時半頃より28MHz/CWをワッチ。ピークRST539程度で入感。北米、JAの大きなパイルになっている。8時半頃にはRST599程度まで上昇。北米中心のピックアップからJAの比率が高くなり始めたが、EU指定を始めたので14MHz/SSBに移動。

14MHz/SSBはピークでもRS51程度のため静観し、暫くして28MHz/CWに戻ると既にQRTしている。

19時頃から7MHz/CWで入感。QSBが激しくピークRST579程度まで上昇するも一時的。北米/JAのパイルが激しく2時間ほどコールするも21時半頃にQRT。

その後22時頃からQRVが再開されRST599+まで上昇するも北米局中心のリターンが続き23時過ぎに再びQRT。1.9~10MHzのQRVはストップし14MHz以上のハイバンドに移った様子。

7/28MHzのCWは昨日に続き、強力に入感し始めたタイミングでEU指定かQRTするため取れる気がしない..

DXworld.comでの告知によりQRV期間は短縮されて撤収は日本時間の日曜日に開始するとの事。

<1/27>
昨日同様、朝7時半頃より、28MHz/CWをワッチするとピークRST539程度で入感。
コール開始し8時を過ぎる頃にはRST599+程度に上昇。しかしながらJAのパイルが激しくリターンは得られない。スタンバイせずに呼び倒し(自局へのリターン以外はコールし続ける)局もおり、混沌とした状況のまま9時頃にQRT。

その後、21MHz/SSBをワッチするとRS41程度で入感。暫くワッチしているとRS53程度まで上昇し、先にJA局へのリターンがあった+7.5KHzでコール開始。3回ほどでリターンを得た。
今回、SSBが(入感さえすれば)最も効率よくQSOできている気がする。

10時前から14MHz/CWをワッチするとRST529程度で入感しており主に北米局を捌いている様子。次第に信号が上昇しRST599程度に。しかしながらパイルアップは激しくなり、指定無視も多く(結果、先方が何度もコールを打ち返すので)遅々としてQSOが進まない.. そのうちオンフレでCQを出すBY局やDQRMが出没するなど混沌とする状況で13時前にはQRTした様子。

昼食後、14時前からワッチすると再びRST599で入感。できる気はあまりしないが、とりあえずコール開始すると数分後にリターンを得た。通算で3時間はコールしていたことになる。

17時前に3.5MHz/CWをワッチするとRST519程度で入感。激しいパイルのためリターンの可能性は低いと判断して静観。

<1/28>
ペディション最終日。6時半頃にLivestreamをチェックすると21MHz/CWのみの運用となっている。ワッチするとRST519程度で入感。コール開始するも7時前にQRXを告知し10MHz/CWにQSYした様子。

8時過ぎから10/24/28MHzでのQRVを確認。28MHz/FT8からCWへのQSYを待っていたが、9時過ぎに28MHzのQRVが停止。
午後からは10/21/24MHzでのQRVが断続的に続き、21MHz/CWを狙って待ち構えるもQRVはない様子。

19時半頃に7MHz/CWのQRVを確認しワッチするも、コールする局を含め入感はない。暫くそのままワッチしていると19:45にCQingがRST519で入感。+2.5KHzでコールを開始するとQRMの中、JA1A*Rを確認。フルコールを送信して待機するがHL局がCQを出し始め不明のまま他局に移ってしまう.. しかしながらLivestreamでIn logを確認でき、最終日ぎりぎりでのWkdとなった。
その後、SSBに移るがRS41程度の強度なのでコールすることは控えこれにて終了。その約2時間後に全ての運用を終えた様である。



-----------------------------------------------------

DXペディション終了時点でのCLUBLOGの統計データでは、約11万QSO中、大陸別ではアジア地域の構成比が少し上がり17.8%(2
万QSO)となっている。グリッドロケーター別のQSO数は、人口(HAM)密度が高い関東エリアのPM95がトップであった。



昨年この時期に実施された3Y0JのDXペディションと比較すると(期間も約1週間)、難易度としては易しかったが、信号が強力であるが故にパイルアップも激しく、特にCWでは長時間コールすることが多く苦戦した。とは言え8バンド/17QSOは上出来であろう。


2024年1月2日火曜日

275. 2023年レビュー

<QSO数>
年間のQSO数は1,548となり、2022年(1,601QSO)からは微減。引き続きDXCCのNEWエンティティ(ATNO/ Band NEW)を追いかける運用が中心で、QSO数に大きな変化はなかった。
Mode別では、FT8を中心としたDataが全体の86%と相変わらず大半を占めているが、CWも11%となり2年連続で増加傾向にある。


月毎に昨対比で見ると、2月はブーベ島など特定のDXペディションに集中したことでQSO数は伸びず、5~7月は50MHzのマルチホップESによるヨーロッパ/北米のオープンが不調に終わったことからQSO数は大きく減少した。

一方、年間を通じて多くのDXペディションが実施されたことでQSO数が増大した月も多く、DXペディション局とのQSO数は約640となり、全体の4割強を占めた。


バンド別に見ると、50MHzのQSO数が昨年より25%ほど減少したものの、依然として全体の1/4を占める状況。エリア別ではオセアニアが最も多く全体の37%となった。これはDXペディションが集中したことと50MHzのTEP伝搬が良好であったことからVK,ZLのQSO数が増加したことに依る。


<DXCC>
Mixedで300エンティティ、Challengeで2,000エンティティ(Wkd)の大台に乗せることができた。
6年足らずでここまで伸張したのは、やはりFT8に依るところが大きい。

また、予想以上に多くのDXペディション局がQRVしてくれたことで、ATNOは14エンティティ解消し、Band NEWは323エンティティを積み上げることができた。

年間でのDXCCは、同一局/バンドのDupe QSOを避けても毎年250エンティティ前後のWkdを維持している。


2023年のATNOは以下のとおり;


<3.5MHz>
2021年5月のQRV開始から100エンティティに達するまでに2年半を要したが、ようやく108エンティティ(Wkd)まで伸張した。
Band NEWは主に朝のグレーラインを狙ってのWkdが多く、全体の半数以上を占めた。QSO数も僅か152局に留まっているが、これらは総じて入感局数が少ない上、FT8では-20dBより低いSNRでは殆どリターンが得られなかったことによる。


<50MHz>
一昨年から続き夏季シーズンのマルチホップEsによるヨーロッパ・北米方面が優れず、特に北米については13QSOと低迷し、一昨年の82QSO、3年前の163QSOから大きく下回った。

一方で、季節を問わず午後の時間帯でのTEPによるアジア・オセアニア方面は好調であり、F2伝搬による南米も春・秋にオープンする日が多く、それぞれQSO数を伸ばすことができた。

Band NEWは、アジア・オセアニアでのDXペディションを中心に少しづつ伸ばし、10月になって夜半の時間帯でロングパスによるカリブが入感。6エンティティとのQSOに成功したことで130エンティティ(Wkd)まで伸張した。

2023年のBand NEWは以下のとおり;

今年も引き続きHFではATNOの解消とBand NEWの積み上げに注力し、50MHzでは新たにVUCC Award を目指してNew Gridを追いかけることでアクティビティを維持したい。