2018年10月22日月曜日

19. 電波障害調査

試験電波発射届を提出後、近隣住宅に対する電波障害調査を実施。
関東総通局からの文書「電波障害調査等の提出について」に添付されてきた様式「電波障害調査依頼書/回答書」では、少し言葉が足りないと考え、文書を一読するだけで趣旨が伝わるよう、様式の記載内容を網羅しつつ丁寧で解り易い表現にした依頼書と回答書に分けて作成した。

「電波障害調査等の提出について」
 

作成した依頼書と回答書
 

 

調査対象は、アンテナを中心に半径30メートル内にある同じブロックの6世帯と道路を挟んだ2世帯および念のために70メートルほど離れた日頃から交流のある1世帯の合計9世帯とし、土日での在宅を見据えて手土産として千円程度の菓子(※あまり高価だと何事かと思われる..)を持参して一軒づつ訪問。趣旨を説明しご協力を仰いだ。

調査対象住宅との位置関係

ご近所には、6月のタワー建設時に案内文書をお配りしているため、アマチュア無線について最初から説明する必要はなく、玄関先でお話をさせていただいた方々(ご主人/奥様)は皆さん趣旨についてご理解いただけた。

試験電波の発射は、免許を受ける全ての周波数(7/14/21/28/50MHz)且つ4方向(東西南北)にビームを向けて実施。1バンド1方向で2〜3分間の送信(Phone/CW)を断続的に行った。

調査結果については、次の土曜日に回答書を取りに伺うことをお伝えしていたが、回答書に記載した自宅ポストへの投函を皆さん選ばれた。

結果として、8世帯から「異常なし」との回答書を受理。しかしながら、普段からあまり近所付き合いをされていない1軒のみ、白紙の回答書が自宅ポストに投函されており、これは、こうした調査には協力したくないーとの意思表示と捉えて、特にこちらからアクションは取ることは控えることにした。

調査に協力いただいた世帯から全て「異常なし」との回答を得たが、これで障害の可能性が全てゼロになったとは思えず、単に調査時にはお気づきにならなかったと考えることにし、改めて十分なインターフェア対策を講じることにする。

また、自宅から最も近い他の無線局(北東方向に290メートル)である小学校の敷地内に設置された市の防災無線スピーカー(子局)に電波障害が発生していないか、毎日1700時の一斉放送に合わせて試験電波を発射し、スピーカーから雑音や混信がないか実際に聴取する調査を行い、特に問題がないことを確認。

ちなみに変更申請時に提出した「他の無線局の設置状況を示す図面」を作成する際に調査した半径1Km圏内に設置された無線局は全部で11局あり、そのうち携帯電話基地局が6局、防災無線スピーカーが4局、鉄道無線局が1局であった。これらは全て目視により(探して)確認した。






2018年10月21日日曜日

18. AC200V電源およびアース工事

リニアアンプの購入に合わせて、AC200V(単相3線式)電源の引き込み工事とアース工事を実施。
一階の洗面所の壁面に設置している配電盤までは、既にエアコン室外機用にAC200Vを2回路引いており、ここを起点に二階のシャックまで新たに配線を追加、もしくは既存回路を流用して電圧を変更する案について、住宅メーカー経由で住宅建設時に電気工事を行った業者に相談(見積依頼)。

結果、既存の配管路(φ25mmのCD管)に新たな電線を通すことは物理的に困難であることや既存のAC100V回路をAC200Vに変更した場合、シャックと同じ経路で繋がっている他の部屋やコンセントを共有している他の家電製品が使えなくなるため不可であるとの回答。
代替案として、住宅の西側・南側の外壁に3箇所の屋外コンセントを引いており、この回路のいづれかを200Vに変更して、外側から壁に沿ってシャックのある北側まで回しこむことも考えたが、距離がありすぎることや見た目も良くないことから
断念。
結果として、シャックの直下に設置しているマルチエアコン室外機のコンセントボックスから分岐することとし、同じ配管を用いて、無線機専用の保安用アースを短い距離で取ることとした。

配電盤右下の「室外機200V」スイッチが北側壁面に設置したマルチエアコン室外機の専用回路であり、ここから分岐する。「屋外専用コンセント」スイッチがOFFになっている2回路は、これまで一度も使用していない西側壁面に設置した室外コンセント。住宅建設時、何のためにここに配線したのか、今となっては思い出せない..
 

電気工事の実施について、住宅メーカー、ホームセンターおよびネットで検索した近くの電気工事店からそれぞれ見積りを取り、最も早く工事いただける近所の電気工事店に依頼したが、工事日の4日ほど前に連絡があり、ご主人の体調不良により急遽キャンセルとなった。
急ぎネットで他の近隣工事店を調べて架電し相談したところ、その日のうちに下見に来ていただき翌週の工事となった。近所の工事店は、個人事業主の方が多く、そのためかフットワークが軽く且つ間接コストが無い分
、安くついた。

コンセントボックスの交換による分岐(右が工事後)
 

工事後の外壁の様子。窓枠や雨樋が白色なので違和感はあまりない。
 

保安用アースは、地面から外壁に沿って垂直に約3.5メートル立ち上げて、そこから水平に屋内に貫通させ専用のアースコンセントに接続。アースコンセントからリニアアンプまでの配線は1メートル弱。アース棒は、1メートルのものを3本打つことで、設置抵抗を可能な限り低く抑えることにした。
アース棒の打ち込み場所(点線内)
 

造成地の軟弱地盤且つ北側の湿った地質のため、アース棒は難なく打ち込むことが出来た。施工いただいたのは工事店の会長さん(名刺の肩書き)。代は息子さんに譲ったとのこと。手際の良さと丁寧な仕事ぶりに感服した。
 

接地抵抗の計測は、電気工事店から持参いただいた「自動式配電試験器」を用いて自宅の外周を取り囲むように10メートル位の間隔で2箇所に電極を埋め、それをアース棒に接続して計測。
1本目で約100オーム。1メートルほど離れた2本目で65オーム、更に50cmほど離して3本目を打って、50オームを少し下回った。300V以下の低圧用電力の基準である「D種接地」が100オーム以下であることからこれで十分であると考える。
会長さん曰く、個人からの電気工事依頼で、接地抵抗を低く出すことを求められたのは初めてとの事。
 

50オームの接地抵抗を確認
 

以下は、屋内側のコンセント。200V差込口の下にあるアース線差込口は、上部の200Vアース線(緑色)に接続されている構造であり、中で切り離すことは困難。※当初、別系統で絶縁されていると思い込んでいた。

左側の無線機用のアース専用コンセントは独立させており、200Vのアース線には接続していない。
 



2018年10月7日日曜日

17. ハイパワー変更許可通知書の受領


9月8日に補正後の変更申請を行い、9月28日に電子申請システムでステータスを確認したところ「審査終了」となっていた。申請者にはメールで通知されないようである..

週明けに総通局に電話連絡して、変更許可通知書等を受領するために返信封筒を同封して送るより、直接、取りに伺う方が早いので、その旨を打診し10月2日に訪省した。

受領した文書は、以下のとおり;
・無線局指定変更・変更許可通知書
・今後の手続きに関する連絡文書
・試験電波発射届(雛形)
・電波障害調査書等の提出について
・アマチュア局検査申込書(様式1)
・アマチュア局検査事前点検表(様式2)
・電波障害調査依頼書/回答書(様式3)



なお、連絡文書に記載されていた「工事完了届」の様式は添付されておらず、任意の様式で作成すべしーとのことであった。

「試験電波発射届」をその日のうちに作成。電波発射日時を10月6日から変更検査の日までとして、翌日に郵送した。

なお、国による点検(臨検という)の場合「工事完了届」の受領から二ヶ月はかかるとの事。理由は要員不足。※これまでに10回ほどこのセリフを聞いているが..

特に免許を急ぐ訳ではなく、事業者による登録点検は費用がかさむことから、臨検の予定で進める。



16. ハイパワー変更申請の補正対応


8月9日に無線局の変更届を電子申請システムで提出し、8月31日に補正依頼のメールが来着。電子申請システム上のステータスが「審査中」から「補正依頼中」に変更されていた。

同システムの「通知書照会」から指摘を受けた内容を確認すると、軽微な補正が二点(送信機系統図の一部修正等)の他に、主な指摘として「電波防御指針に基づく電界強度確認表」において、アンテナの俯角減衰量を多く計上しているので、俯角0度と30度〜60度あたりの三角関数で確認するようにとの文言であった。

俯角減衰量は、アンテナメーカーから取り寄せた各アンテナの垂直面指向特性図とアンテナの地上高と隣接道路との距離(ほぼ0メートル)で算出した俯角に基づき算定、すなわち同確認表の注3の記述に従って計算しているため、補正の指摘を受ける趣旨がよく解らず、総通局にメールで問い合わせた。

一週間ほど経って、担当官から電話で連絡があり「俯角が85-90度(ほぼアンテナ直下)を前提とした場合、結果として大きく減衰量を計上することになる。実態として30度〜60度あたりの俯角で電界強度の基準値をクリアしているならば、住宅密集地の全方向に対して問題はないであろう」との趣旨であった。また0度、要するにアンテナの水平方向に対して、最小安全距離内に反射物(3階建家屋など)は無いか確認して欲しいとの。

全ての方向に住宅が建っている訳でもなく、具体例を示して算定した方が解り易い(理屈が通る)と考え、アンテナから最も近い西側住宅の二階(地上高4.5m)と、次に近い南側道路を挟んだ南西側住宅を対象として、それぞれの実測距離に基づき俯角を計算して減衰量を算定した。

その結果、28MHzでは空中線利得の高さに比べて、俯角減衰量が少なく、1kWでは基準値を超えてしまうことが判明した。

善後策の選択肢として、電波型式をA1A、J3Eに限定することで平均電力率を0.5としてクリアすることもできたが、そもそも28MHzでの運用はあまり意識しておらず、アンテナが28MHz対応であるため(せっかくなので)申請した背景や、むしろRTTYやFMを用いる可能性が考えられるため、500Wでの申請に変更した。
なお、同一送信系統で異なる送信出力で免許を受けるためには、リニアアンプのALC調整では不可とのこと。そのため、代替案として、エキサイター側でバンド毎に最大出力を設定(制限)する機能があるので、この機能を用いた運用を厳格に守るとの誓約書を提出することで如何か−と打診し了解を得た。

結果、再計算した電界強度確認表4通、南西側住宅との位置関係を示す平面図、西側住宅との位置関係を示す立面図、28MHz/500W運用にかかる誓約書および今回の補正依頼に係る対応を纏めたword文書(※俯角0度では全方向の最小安全距離内に障害物は無いことを明記)を提出した。電子申請書を除き、通算21枚の添付資料を送ることとなった。

電界強度確認表の一例:
垂直面指向特性図の一例:


余談として、担当官との会話の中で、俯角減衰量の算定に関して、どの程度の正確性を求めるのかーという話になり、算定根拠となる垂直面指向特性図は、その製品自体の特性を示したものではなく、アンテナメーカーが提示した自社の代表的な八木アンテナのビームパターンを用いていることや(ブーム長や短縮型であることは考慮しない)、そもそも空中線利得もメーカーのカタログ値であることから、商業的に幾分「かさ上げ」した数値になっていることは否めないこと、従って、もし、補正により見直した結果、基準値がクリアできない場合は、MMANAなどのアンテナ設計ソフトウエアでの再算定を行うことを伝えた。
担当官からは明確な否定は無かったものの、できれば一般に公開されているメーカーの数値を用いてほしいとの仰せであった。実際の数値との差分、要するに免許した際に確認した電界強度よりも低い分は、行政としての「のりしろ」(量的余地)と捉えたい考えであると推察。