2023年3月31日金曜日

242. DX運用日誌(139)-CY0S-

CY0S(Sable Island)DXpeditionの入感&コールした状況を纏めておく。
セーブル島は大西洋上にあるカナダ領の無人島であり、米本土、例えばボストンからの距離は920km程度(東京-旭川間)と以外に近い。しかしながら伝搬的には北極圏を越えるため日本からは難しい地域となるようである。

ペディションの前半はコンディションにも恵まれず僅かに入感する状況が続いたため、感覚的には先月のブーベ島(3Y0J)に劣らず厳しいスタートとなった。

<3/23>
16時頃に外出先からリモートでワッチし10.144MHz/FT8でQRVを確認。WideGraph上には3軸で光点がしっかり見えているがデコードできないシーケンスが多い。

デコードできたタイミングでコール(130W)開始。何故かFalse decodeが頻発し、また激しいパイルアップとも相まってリターンは得られずに終了。

<3/24>
早朝4時半頃からワッチ開始。10.144MHz/FT8でのQRVを確認し05:50に-18dB/2ラインで入感。しかしながらデコードできたのは2回限りであった。

コンディションに影響を与える地磁気指数、A/K値が異常に高く、PSKReprterで各バンドでのQRVは確認するも夜まで全く入感しない。

19時前になって7.057MHZでCQシーケンスを-21dBでデコード。50局以上がコールされているがデコードは続かず、また円滑に捌いている様子も見受けられない。

<3/25>
A/K値は依然として高く、朝6時過ぎに10.144MHzでCQシーケンスをデコードするもその一回限り。

夜は19:23にCQシーケンスを-21dBで入感。デコードしたタイミングで何度かコールするもリターンは得られず。念のため深夜の入感に備えて自動受信&アラート設定したが入感することはなかった。

<3/26>
5時頃から18.096MHzでワッチ開始。既に20局ほどがコールされているがこちらでは入感はない。
6時半前になって-21dBでデコード。MSHVのため先方のDFより低く設定しコール開始。
A/K値は落ち着いており、WideGraph上にもはっきりと光点が見えているが、相変わらずデコードできないシーケンスが多い。

初日と同様、False decodeが何度も発生する中、06:36になってようやく4ラインで入感。その際Falseが含まれていたが「-04」でのリターンと混在しており、次のピリオドで「RR73」を受領した。

その後、ピークで4スロットで入感するなどコンディションは上昇傾向。JA90局以上がコールされているが、相変わらずWideGraphはしっかり見えていても(下図のレベルでは)デコードできないシーケンスが多く、せっかくのリターンに気づかれていない局も多い。入感は1時間以上続いた。

ペディションの折り返し時点で、なんとか1QSOを確保するもCLUBLOGでは”Not In Log”となっており、本日二度目のアップデートでも状況は変わらない..

この特徴的な入感でPirateは考え難いが、PCトラブル等でQSOデータが滅失することも可能性としてはあるため、21時過ぎに強力に(4スロット)入感した際、Twitterで告知されていたF/Hモードで再コールすることに。

コール開始数分でリターンが得られ、Fox側のDFに誘引された次のシーケンスで「RR73」を受領。Dupe QSOになったかも知れないが、さすがにATNOを何かのトラブルで逃すことは避けたくやむを得ないと判断。

翌日、CLUBLOGではFT8ログデータのアップロードの遅延が告知されており、クリティカルな状況ではないようでひとまず安堵。

<3/28>
早朝、一昨日に問い合わせたOQRSマネージャーからメールが来着しており ”Logs have been updated.”の一言。CLUBLOGをチェックすると2QSOの”In Log”を確認した。

5時半頃に21.091MHz/FT8で多くの北米局がコールしており、そのうちにJA局もコールし始めて80局ほどが見える。

出勤時間となりスマートフォンのリモート運用に切り替えてワッチを継続するも入感の兆しがないため断念。
9時頃には24MHz/CWでも入感しているようである。在宅時だとコールできたかも知れず、どうもタイミングが合わない..

帰宅途中の18時過ぎに10.144MHz/FT8をリモートでワッチすると-21dBでCQシーケンスを捉える。コールするも何度かCQシーケンスが続きデコードレベル以下に沈む。

断続的にデコードできたタイミングで1時間ほどコール。いつもどおり途中で何度もFalse decodeが発生。このペディションでは頻繁に現れるので、やはり北極圏伝搬による揺らぎ(反響的な要素)との関係が深いと考える。
その後、一旦、仕切り直しのために送信を停止した2つ後のピリオドで「-15」のリターンを得る。

2スロット且つHint依存ではないためFalseではないと考えるが「RR73」は未受領のままフェードアウト。後刻、CLUBLOGが更新され無事に”In Log”を確認でき、これでようやく2バンド目のWkdとなった。

20時半頃から14.023MHz/CWでのQRVを確認してワッチするも、コールできる強さでは入感しておらず暫くして断念。

<3/29>
7時半頃より21.025MHz/CWで入感。信号はピーク539程度で入感するもQSBとフラッターのせいで非常に聞き取り難い.. CWでは初めてのコールとなったが、パイルアップも激しく8時前にはフェードアウト。14.020MHzでもQRVしているようであるが入感せず。

<3/30>
告知されていたペディション最終日。5時半頃から21.095MHz/FT8でのQRVを確認。6時を過ぎた頃からコールされているJA局が見え始める。

6時半過ぎにようやく-17dBで入感するもデコードできるシーケンスは限定的。6:53に「-20」でリターンを得るもHInt依存であり結果として「RR73」は受領できず。

リモート運用に切り替えて、デコードできたタイミングでコールを継続するも、何度もFalse decodeに捕まる。その度にスマホ画面操作でTx1への変更が必要となり面倒ではあるがdecorderのパラメータを下方修正することもはばかられる。

7:18頃からコンディションが上昇し2スロット/-15dB程度で強力に入感。約30分間は途切れずにデコードできていたがリターンは得られず。
最初のリターンで”In Log”になっていることが要因とも考えらるため、CLUBLOGのアップデートを待つことに。夜になってログが更新され”In Log”を確認できた。

同局のHPにて天候の関係で飛行機が飛ばず日程を少し延期するとの告知。14/24MHzが狙い目であるが、QRVのタイミング合えばチャンスはあるかも知れない。

<3/31>
5時半頃から14.090MHz/FT8をワッチ。WideGraph上ははっきりと見えているが、なかなかデコードには至らない。

05:27にようやく-18dBでデコードしコール開始。10分程で「-21」のリターンがあるも「RR73」は受領できずに再チャレンジ。

6時前にも「-08」をデコードするがSNRが-24dB且つHint依存のためFalse decodeの可能性がある。後刻、アップデートされたCLUBLOGを確認すると残念ながら”Not inLog”であった。

7時過ぎに18.095MHz/CWでQRVを確認。ワッチすると信号はピークでRST529程度で入感しており、何度かコールするもフラッターとQSBによりリターンを判別できるレベル以下に沈んだことから断念。

出勤のためシャックを離れ、帰宅の途に就いた18時頃、PSKReporterをチェックすると7.056MHz/FT8でのQRVを確認。リモートでワッチするとコールされているJA局は見えるがこちらには入感はない。

暫く静観していると18時半頃にいきなりシングルスロットの+4dBで入感。しかし「RR73」は返しておらずどうも怪しい..
帰宅後も挙動不審の入感を確認するもPSKReporterではフラッグが完全に消えておりQRTした様子。
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今回のDXpeditionでは思っていた以上に苦戦を強いられ(主にデコードできないこととFalse decodeの頻発)結果として3バンドでのQSOに留まったが、当初の目標であったATNOは解消できたことは何よりであった。


2023年3月27日月曜日

241. 50MHz DXing 2023(1)

<3/4>
17時過ぎに南西方向にアンテナを向けてワッチしているとイスラエルの4X4DKが-13dBで入感。ダイレクトに向けるとデコードレベル以下に落ちる。

30分後、インド洋の3B9FR、次いで3B8FA,3B8CWが入感。3B9FRのSNRはピークで-5dBと強力でありJA30局ほどがコールされている。

いずれもFT8ではQSO済みなので静観しているとFR0OOをコールされる局が見え始め、18:47に-20dBで入感。直ぐにコールするもデコードはその一回限りであった。

19時過ぎに3B8FRが50.090MHz/CWでQRVしているとの情報を得てワッチするとRST419程度で入感。信号が上昇したタイミングでコールしていると10分後に559でリターンを得た。これが50MHz/CWでの初のアフリカとのQSOとなった。

<3/8>
朝の7時頃からロングパス経由でEUがオープンしたとの事。この日は無線機の電源を落としたまま終日外出しており、残念ながらロングパス伝搬は経験できず。
<3/10>
アンテナを東に向けたまま自動受信していると10時前にJTDXのアラートが発呼し、チリのCE2SQEが-02dBで入感。

QSBが激しくデコードできないシーケンスもあるが、コール開始後、6分ほどでリターンを得ることができた。これが今シーズン初の南米とのQSOとなった。他の南米局は見えず入感は10分程でフェードアウト。

同じ時間帯で1エリアでXE1MEX,TG9AJRをコールされていたがこちらには入感はなかった。

<3/25>
9時半頃から南米がオープン。CE,LUを中心に多い時には同時に10局ほどが入感。特にCE局が多数見えておりSNRも総じて高い。

JA側でも広範に入感しているようであり、土曜午後の時間帯とも相まって、どのCE局もパイルアップになっていることが想像できる。案の上、コールすれどもなかなかリターンが得られない...

未交信のLU局からは順調にリターンがあり、FT4に移ってようやくCE局とQSO。PSKReporterを見ていると狙っているZP局もQRVしているようであるが、こちらには入感せず。

ふと思い立って50.110MHz辺りをワッチし、CW/SSBで聞こえていたLU局をそれぞれQSO。

午後から夕方にかけてはオセアニアがオープン。ノーフォーク島のVK9NTほかVK局とCW/SSBでQSO。20時頃にはタスマニアともQSOができた。

ウイリス島のVK9WXが15時頃に50.323MHzでQRVしていたようであるが、HFでCY0Sに集中しており気づかず。

この日は南米、オセアニアの計13局とQSO。FT8ではなかなか思うようにリターンが得られなかったが、SSB/CWでは、ほぼ1回目のコールで応答があったことが印象深い。

<3/26>
11時ころからKH6が強力に入感。11:15頃にはタヒチ島のFO5QBをコールする1/2/7エリア局を確認。
暫くするとエクアドルのHC2FGほか3局をコールされている1/2エリア局が多数現れる。

アンテナを70~120度で廻して伝搬のポイントを探るもデコードできず。120度にしたまま暫くワッチしていると11:29にHC2FGを-20dBでデコード。これが初めてのエクアドル入感となった。コールするもデコードできたのは2回のみでありそのままフェードアウト。

12時前にはソロモン諸島のH44MSをコールされている局を確認するも入感はなし。

12:48になってFO5QBが-19dBで入感。タイミング悪く外出と重なりリモートでコールするも激しいパイルアップと何度もFalse decodeにつかまり、結局、1時間ほど安定して入感していたにも係わらずQSOには至らず。

一度、Hint依存ながらホンモノとも思えるリターンシーケンスがデコードできていたことから、念のため翻訳ソフトを用いて拙いフランス語で問い合わせると、直ぐに長文のメッセージが来着。
期待するも書き出しの ”Désolé pas de QSO sur la bande 6M..”を見て落胆.. 1年ぶり且つ絶好のチャンスを逃したが次回に期待したい。


2023年3月3日金曜日

240. 2月のレビュー

<サマリー>
QSO数は106となり、前年同月(211QSO)の半数、前月(181QSO)からは6割ほどに留まった。複数のDXペディション局を追いかける運用が中心となり、全体の7割(70QSO)がDXペディション局とのQSOとなった。
出来高は、Band NEWが50エンティティ増えて、ATNOは4つ解消しMixedで294エンティティまで伸張。


<バンド/エリア別状況>

DXペディション局のQRVの多い地域に偏りアフリカ、カリブで全体の6割弱を占めた。


<エンティティ別状況>
常駐局(D2UYなど)および期間限定の滞在局(VK9WXなど)を除くと、
この1か月間で規模の異なる15のDXペディション局とQSOしたことになる。
アフリカ、カリブを中心にWkdした主なエンティティは以下のとおり。


<50MHz DXing>
XZ2B(Myanmar)
2/12の16時前にSPOTでQRVを確認。50.090MHz/CWをワッチすると519程度で入感。告知されていた+2KHzでコールしたところ3回目でリターンを得た。
この時期、3Y0Jに集中していたが、思いがけず50MHzでのBand NEWが得られ幸運であった。

●XV9K(Vietnam)
2/14の15時頃に50.313MHz/FT8で入感。MSHVで-4dB/4スロットと強力。時折りCQも出しておりパイルアップにもなっていないため、QRP(0.5W)で届くかどうか試してみたところ一回目のコールで「-15」のリターンを得た。eQSLも受領したのでその旨を記載し発行。


●XU7GNY(Cambodia)
3/1の13時過ぎにTwitter情報でQRVを確認。リモートでワッチすると-9dB/4スロットで強力に入感している。
1エリアだけで20局ほどがコールされているのが見えるが、リターンが返っている(見えない)2~6エリア局を含めると優に50局以上が
コールされていると想定。
リニアは切っており出力は20W程度であったが、国内局との被りを避けられれば届くことは間違いないと考えてコール開始。

同じ時間帯で2,700Hz辺りにパラオのT88UWも出ているので、見える限り慎重にDFを選びコールするもなかなかリターンは得られない.. バンドの下限や700Hz辺りを転々としながらコール開始から30分程でようやく「-09」のリターンを得た。
同局とはこれで3.5~50MHzまでQSOでき、50MHzを含む6つのBand NEWを得た。

●South America/ Indian Ocean
2月中旬頃からDXSCAPEにて南米局入感のSPOTを何度か目にしていたが、2/17の10:50に昨年FT4でQSOしたウルグアイのCX6VMが-16dBで入感。しかしながらデコードは一回限りであった。
その後アルゼンチンのLU5FFが-16dBで入感。SNRはピークで+2dBまで上昇しているが ”QSO B4”のため静観。同局は昨年初めてQSOした南米局のため記念にQSLカードを請求し先日到着した。

同じ時間帯で北米やハワイをコールされているJA局も見えるがこちらでは入感はなかった。

2/19の夕方18時過ぎにPSKReporterを見ていると6エリアでインド洋の3B8CWやFR0OOが入感している様子。アンテナを南西方向に向けてワッチしていると18:23にサウジアラビアの7Z1SJが-24dBで入感。

2月後半から3月にかけて正午頃からKH6,VK,ZLが、また夕方の時間帯からは西日本を中心に3B8,3B9,FRなどのインド洋と中東エリアが散発的に入感している様子。1エリアでもQSOされているようであるが、こちらでは未だ入感はない。3月のコンディション上昇に期待したい。