2021年2月13日土曜日

142. アンテナ変更計画

昨年より既設アンテナの見直しについて検討を行ってきた。工事は少し先になるが概要について纏めておく。

<目的>
①50MHzの強化
アンテナ性能を高めることでFT8のデコード率・SNRの改善を目指す。コンディション次第ではあるが、マルチホップEsによるDXシーズンでのBand NEWを増やす一助としたい。
②HFマルチバンド化
現在、HF帯でQRVできる7/14/21MHzだけでは、NEWエンティティのWkdが既に頭打ちの状態。マルチバンド化でチャンスを少しでも広げ、またこれからはサイクル25の上昇期でもあり、ハイバンドのアクティビティが高まることを想定し3.5-28MHzでの運用を可能にする。

<アンテナ選定条件>
・いずれのアンテナも全方向において自宅敷地内に収まる回転半径とする。
50MHzアンテナは、今よりもフロントゲインを高めるとともに耐入力をFT8の連続送信を考慮して高い仕様とする。
・HFアンテナは、50MHzアンテナの大型化を優先するため、タワーへの負荷に鑑み既存のものから小型化することもやむ無しとする。但し14MHz以上では一定のフロントゲインのあるものを選択する。
・インターフェア防止とノイズ低減に向けアンテナ直下でコモンモードフィルターを挿入する。

<候補アンテナ>
①50MHz
以下により CL6DXZ (クリエイトデザイン)とした。当初、ノイズに強いとの評判のLFA (Loop Fed Array)八木を検討したが、7エレ以上の製品は個人輸入となりメーカーがコロナ禍による "Delivery Delay" をアナウンスしていたこともあり断念。

・既存アンテナシリーズからのグレードアップのため、ブーム長、ゲイン等の違いから効果比較が容易であること
・シングル八木でこれ以上ブームを長いものにするとビームがシャープになり過ぎて、使い難くくなることが想定されること
・多くの局が使用されている汎用品であり、部材のメンテナンスや将来的にスタック化も検討できること
・ハイパワー仕様はPEP5kWのため、FT8の耐圧はその1/4と見込んでも(※同社による算定)1.3kWとなり、800W程度の連続送信にも耐えること

②7-28MHz
3年前のタワー建設の際にも検討したKA1-404Lite(工人舎)とした。
メリットとして回転半径が6メ
ートル以内に収まり、7-50MHzのオールバンドをSWR:1.1で運用できる一方、機械構造と電気回路を併せ持つことから、故障リスクは否めない。(※Versaシリーズに限らず巻尺式アンテナの修理依頼は多いと工事業者から聞いているまた、アンテナとしては組み立て費用を含め結構な金額になるが、上記要件を満たすには結果的に一択となった。

同シリーズの403S Liteは、7/10MHzが2エレとして動作しゲインが見込まれるため、当初このモデルを検討したが、メーカーによると3エレ(奇数エレメント)の場合、エレベーターユニットでの設置はアンテナ下降時にタワー本体と干渉するので設置が厳しいとのこと。

現行の3エレのように普通の八木アンテナであれば、中心位置を少しずらしてもさほど影響はないが、ブーム上に重いAEU(Adjustable Element Unit)が3個搭載されるため、重心位置がずれるとエレベータユニットに負荷がかかり事故の危険性が高まる。

同様の理由で4エレモデルもオプションの50MHzパッシブエレメントは(装着しないが)タワー本体と干渉することが判った。

14MHzでは、既存のフルサイズ3エレから短縮率70%の4エレとなる。ブーム長およびカタログ値のフロントゲインは僅かに上回るが(※メーカーが異なるので単純比較は困難)、実質的にはスペックダウンと考える。

7MHzは、マストトップ(18mH)に上げた短縮率70%のRDPから、3メートル下がった短縮率50%のRDPとなるため、FT8のデコード率にも影響することが考えられる。
また耐圧がFT8では600W以下に制限されるため、現在、バンドを問わず1kW送信は控えているものの(※FT8では500W以上では大差が無いことを実感しており、また近隣へのインターフェア発生を懸念するため)より慎重な運用が求められる。

この環境で、昨年WkdできたKG4,PJ5,VP5,VP8Oのような "サプライズ" が果たして訪れるかどうか.. とは言え、未だ運用したことのない10MHz,18MHzなど新たな局面に期待したい。

③3.5MHz
インバーテッドV ダイポールを別途設置する予定。既存アンテナ3基を2基にする事で、残り1系統の同軸ケーブルを活用してアンテナ置換工事の際にタワートップにバランを設置しておき、後ほどローディングコイルとワイヤーを取り付ける段取り。

アンテナ全体の新旧対比は以下のとおり;


<タワーへの搭載>
タワーに搭載するアンテナが3基から2基となるため受風面積は軽減する一方、総重量は51kg(アンテナマストM3 を含めると70kg超)とな
り、既存3基分の総重量27kgと比較して大幅に増える。

このため下段のKA1-404Lite(40kg)は、マストベアリングの位置(最頂部)から50cm程度に留める必要がある。アンテナマストの高い位置にセットした場合、この重量ゆえ、強風時に煽られてエレベーターユニットが外れることがあるらしい..
タワー搭載イメージは下図のとおり。
 
昨年9月頃から工事業者に見積依頼を始め工事時期は今年3月末から4月で調整中。計画着手から工事まで半年以上かかる見込みであるが、DXを追いかける中で、あれこれと構想を練ることも "ハム活"の醍醐味となっている。
タワー建設から3年の間で2度目となる変更(※結果として6基のアンテナを試すことになる)は些か性急な気もするが、実運用を踏まえたカット&トライであると割り切る事にした。



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