2026年4月25日土曜日

324. AI解析の差異について

フェライトコアのノイズ抑制効果をAI を使って検証した際、 AI によって分析結果が異なる事象が発生した。

ノイズを定量化する際の基準となるパラメーターであったため、 その差異がどこから生じたのかを整理しておく。

■差異発生箇所

TS-990のメインディスプレイ(FFT表示/7インチ/800×480)のグリッド縦1マスあたりのピクセル数


AI①:40 px (1px = 0.25dB)
AI②:30 px (1px = 0.33dB)


1マス=10dB(10dB/div)であるため、1ピクセル当たりのノイズ量を算出する際の基礎値となる。

■AI①の回答

「この画像の垂直解像度は 480px である。GUI設計の一般的な定石に基づけば、表示エリアはキリの良い 400px 程度に設定されるのが通例であり、それに合わせてグリッドも 40px 間隔(10分割) または 20px 間隔(20分割)で配置されるのが最も合理的。」

「画像全体のレイアウトから推測しても、目盛り幅が 40px であると考えるのが統計的に最も妥当である。」

■AI②の回答

「提示された画像データの垂直軸をピクセル単位で解析した結果、グリッドの配置には明確な幾何学的規則性が確認できる。」

「具体的には、y座標 100px 地点に第1グリッド、y座標 130px 地点に第2グリッドが位置しており、その座標差は正確に 30px である。この 30px の間隔は画面内の全グリッドにおいて一貫しており、画像の解像度(800×480)に対する相対的な位置関係とも完全に整合する。」

「したがって、1マスに相当する値は統計的な推測に頼るまでもなく、物理的に 30px であると確定できる。」

■AIの特性

AI①:推測ベースの判断(LLMの特性)


膨大なテキストデータを基盤とする LLM(大規模言語モデル)であり、画像を厳密な数値として処理するプロセスが不得手。そのため、全体の解像度や過去の学習パターンから「このサイズなら目盛りは 40px 程度が妥当だろう」といった統計的推測を優先したと考えられる。

実際には計測できずとも、指示に応えるために“測ったような体裁”を整えてしまう傾向がある。一方で、こうした特性は、曖昧な情報からでも即座に大まかな見立てを提示できるという強みの裏返しでもある。

AI②:実測ベースの判断(マルチモーダルの強み)

画像を「座標を持つ数値データ」として認識できるマルチモーダルAIモデル。グリッド線の位置をピクセル単位で正確に捉え、その距離(座標差)から 10dB に相当する値を物理的に算出する。 つまり、過去のパターンから“推測”する AI①に対し、AI②は目の前の情報を直接読み取る“実測”ベースの判断が可能となる。

■差異原因の深堀り

両者の主張をそれぞれにフィードバックし、反証を求めるやり取り(議論)を数回繰り返した結果、 AI①も最終的に「1 マス=30 px」であることを認めた。さらに別の AI に全てのやり取りを検証させて整合性を確認。
注:画面の実寸(14.9×8.9cm)から求めたピクセルピッチと TS‑990 の画像データ(800×480px)は計算上一致する。

この検証過程を踏まえ、正解は実測に基づくAI②の回答(30px)と断定できる。そしてAI①の誤回答は単なる計算ミスというよりAIの構造的な違いに起因している。改めて
整理すると以下のようになる。

AI①は 言語モデルとしての「推論能力」を基盤にしており、 画像を数値データとして扱わず文脈や過去のパターンから “もっともらしく見える答え”を組み立てる(推測する)言わば
「文系AI」

AI②は 画像を数値的に扱える画像解析エンジンを備えており、 ピクセル位置や座標差といった物理量を直接扱うことができる。 そのため、実測に基づく判断を積み上げた言わば「理系AI」
 同じデータ解析を指示したことで、両者の個性がより明確になった。

■AI活用のポイント

今回の検証で明らかになったのは、 AIは同じ画像を見ても、その内部構造によって “見え方” や “考え方” もまったく異なるという事実である。

検索・言語モデルは、曖昧な状況でも素早く結論を提示できるが、長さや座標といった「物理的な数値」の扱いには「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」が混じりやすい。

対して画像解析に長けたモデルは、測定において圧倒的な信頼度を誇るが、情報の取捨選択や文脈の解釈には別の知能が必要となる。

AIそれぞれの特性を理解し、状況に応じて「どの知能」を使うか。その選択の重要性を、今回の実験は改めて示してくれた。


2026年4月23日木曜日

323. フェライトコアの効果検証とノイズ対策の再構築

現在、HF帯~50MHzのアンテナ系にはコモンモードフィルター(CMF)を挿入し、補完的にフェライトコア(FC)を数ヶ所にクランプしている。しかしFCについては、必ずしも明確な根拠に基づく設置とは言えず、よく揶揄される“おまじない” の域を超えていない可能性もある。

そこで、FCの効果を定量化するためにAIを活用し、フロアノイズ低減(SNR向上)を目的とした環境の再構築を行った。








■CMF/FC の役割整理


①コモンモード抑制

CMFは特定帯域(HF帯など)で高いインピーダンスを得るよう設計された専用フィルターであり、アンテナ系に乗るコモンモード電流を大きく抑える。

FCは広帯域で緩やかに効く素子で、複数個を直列にすることでインピーダンスを積み上げられる。CMFで取り切れない残留コモンモードを追加で抑える役割を担う。

②ノイズ抑制(SNR向上)

CMFはアンテナ(同軸外皮)に付着したノイズを入口で遮断する一次対策であり、SNRに対して大きな効果を持つ。設置はアンテナ直下が最適だが、タワー上での障害切り分けが煩雑になるため、現在は屋内側のみで使用している。

FCはCMFでは遮断しきれない「別経路のノイズ」、すなわち長尺の制御線に途中で付着するノイズ、シャック内の電子機器からケーブルを介して放射されるノイズなど、アンテナ(主線)とは異なる経路で入り込むノイズに対して広帯域で効果を発揮する。

■FCの設置計画

現在のCMF設置状況を踏まえ、最適なFCの設置場所と数量をAIとの対話により決定。
設置計画は以下のとおり。

これまで特に対策を講じていない多芯・長尺の制御線(Versa用コントロールケーブル、ローテーターケーブル)は周囲のノイズを取り
込み易いため同軸ケーブル同様、ケーブル取り込み口に集中配置した。

ケーブル取り込み口の直下で5本のケーブルにFCをクランプすることは物理的に困難であり、また並列にした場合、FC同士が磁気的に接触し効果が薄れるため、直列配置にしつつ最短でも互いの距離を3cm以上(コア1個分相当)離すよう設置。デスク裏の壁面が少し雑然となるが止む無しとした。

次にシャック内で無線機に繋がるLAN、USBケーブルもPC側/TS-990側双方の端子にFCを取り付け、更にノイズを発生させるモニター2台に繋がるHDMI、ACラインにもFCを追加した。

■観測方法・概要

ノイズの定量測定にはスペアナが必要であるが所有していないため、TS-990のバンドスコープ(FFT表示)を簡易測定器として活用。

TS-990 の FFT はノイズレベルを絶対値(dBm)として表示しないものの、縦軸が 10 dB/div の固定スケールで描かれるため、フロアノイズの相対的な高さを読み取ることができる。

ただし肉眼では微小な差異を判別できないため、 FCあり/なしの各状態で FFT 画像を撮影し、
AI に読み込ませて高さの差分から dB差(効果)を算出することにした。


■観測条件・プロセス


測定の再現性を担保するため、以下の条件を固定。

・周波数:3.520MHz(家庭内/近隣ノイズの影響を受けやすい最もシビアなバンド)
・TS-990設定:AGC Off / P.AMP On / NB・NR Off / Filter 2.4kHz
・SCP設定:Grid 10dB / Span 20kHz / Averaging 2 / REF LEVEL固定

FCはあらかじめ決めた順序で “引き算方式” により取り外し、10分以内に全ステップを完了させることで伝搬変動の影響を最小化した。

観測プロセス(5ステップ)は以下のとおり;


■観測結果・効果


①解析基準(AIによる定量化手法)


解析にあたり、以下の3つの基準を設定。

・固定スケールの確認(10dB=30px)

TS-990のFFT表示は 10dB/div の固定スケール。画像解析により「縦1マス=30px」が一定であることを確認。これが定量比較の前提となる。

・換算レートの算定(1px=0.33dB)

 10dBを30pxで割り、1px ≒ 0.33dB と換算。ピクセルの最小単位は整数(1px)だが、繰り返し測定した結果を平均することで、小数点以下の微細な変化も反映させた。

・ノイズ重心の定義

ノイズ波形は常に上下に揺れるため、波形の上側平均と下側平均の中点を「ノイズ重心」と定義。複数箇所のサンプリングと2枚の画像による平均化を行い、ノイズの「塊(かたまり)」としての動きを把握した。

② 解析結果

画像解析の結果、各対策によるフロアノイズの抑制量が明確になった。

同軸ケーブルFCで 0.7dB、制御線(2本)FCで 1.3dB、そして周辺機器FCで 1.0dB の低減を確認。FC全体の累積効果は 3.0dB。さらに主線のCMFによる 2.0dB を加えると、トータルで 5.0dB に達した。無線機に届くフロアノイズを電力比で 約1/3(約32%) まで抑え込んでいた計算になる。
※各経路は独立性が高いため、抑制量は単純加算で評価

入力信号レベルが一定の条件下での測定であるため、このノイズ低減分はそのまま SNR の向上に寄与しているはずだが、実運用でどの程度体感できるかは今後の確認となる。

■総括

今回の検証では、FCによる「多経路対策」の累積効果が明確になった。特に未対策だった制御線へのFC追加が 1.3dB の低減を示した点は大きい。同軸・制御線・周辺機器と侵入経路ごとに対策を積み上げた結果、合計 3.0dB(電力比で約半減)の改善を確認でき、「CMFで大元を遮断し、FCで周辺経路を封じる」という計画の有効性を再確認した。

また、AIを用いた画像解析により、従来は感覚的だったFCの効果を数値として可視化できた点も収穫である。ただしAIは万能ではなく、画像解析・論理整理など得意分野が異なるうえ、時に“もっともらしい誤答”(ハルシネーション)を返すこともある。したがって 一つのAIに依存せず、複数モデルを使い分けて結果を照合することが、解析の信頼性を高めるうえで重要となる。

2026年4月19日日曜日

322. タワーアース工事

先般、1.9MHz帯アンテナを検討する中で、タワーの接地について改めて調べたところ、周囲への落雷による誘導雷のリスクが無視できないことが分かった。そこで安心して運用を続けるためにタワーのアース工事を行うことにした。

■ 周囲環境と落雷リスク

自宅は第一種低層住宅地で周囲に高い建物はないが、タワーより高い構造物として以下がある。
東方向 90m:野球場のネットを支えるコンクリートポール群
西方向 130m:高圧線鉄塔
南方向 400m:地上高60m超の高圧線鉄塔

タワー自体の高さは15m(マストを含めると18m)なので直撃雷の可能性は低いと考えていた。しかし、周囲の鉄塔などに落雷した際、静電誘導や電磁誘導による誘導雷および接地電位上昇のリスクは否めない。

タワー建設から8年間、近隣で落雷被害の話は聞かなかったため深く考えていなかったが、通勤で利用する駅舎(2階)から見ると、タワーが周囲より頭一つ抜けて見える。この状況を踏まえ、リスク低減と安心のためにアース工事を行うことにした。

■ 業者選定と工事方針

以前、ハイパワー変更工事の際に200V配線とアース工事をお願いした電気工事店(ご隠居)に連絡。その日のうちに現地調査に来ていただき、以下の方針で進めることにした。

・被雷対策としての保護接地のため、接地抵抗はA種接地相当(10Ω程度)を目標とする
・アース棒(1,500mm)を連結して「深打ち」することで低い抵抗値を確保する
・タワーの3本柱それぞれにアース線を繋ぎ、どの柱に雷が落ちても大地へ逃がせるようにする

3日後「今から工事しますが・・」との連絡が入り、急遽、立ち会いながら(手伝いながら)作業を進めた。

■ 作業工程

①掘削

タワー東側の柱から約1.2m離れた地点を70cmほど掘り下げる。

②配管ルートの確保

掘削地点までの経路を掘る(深さ30cm程度)。そこにPF管に通したアース線(22sq)を配線。

③アース棒の深打ち

連結式アース棒(Φ14×1,500mm)を電動ハンマで順次打ち込んでいく。

④接地抵抗の測定

アース棒を打ち込む毎に抵抗値を確認。

⑤タワーとの接続

タワー基部(東側柱)のボルトにアース線端子を装着し、他の2本の柱とリンク接続して終了工事時間は2時間強であった。

■ 接地抵抗の推移

アース棒を1本打ち込んだ段階(先端深さ2.2m)での測定値は 21.0Ω。 その後、測定しながら4本まで深打ちした結果は以下のとおり。

最終的にタワー本体から測定した接地抵抗は3.9Ωとなった。
この値から逆算(並列合成抵抗の計算)すると、タワー単体の接地抵抗は 約12.8Ω。もともと地中の湿り気や土質が良く(軟弱地盤であるが)、タワー基礎の鉄筋がしっかりと大地と結合していることが証明された。

今回、接地抵抗として「3.9Ω」という極めて低い値を得られたことで、Low Band運用における高周波的な安定も期待できるため、タワーそのものを輻射体とするシャントフィード等の検討もしたい。


2026年4月14日火曜日

321. 1.9MHz帯アンテナの設置

DXingに復帰して 8年目。伸び悩むDXCC Challenge の打開策として1.9MHz帯へのQRVを試みるためにアンテナを設置した。

■アンテナ選定

1.9MHz帯のアンテナはその固有長から住宅地での設置はハードルが高い。候補としてはタワートップに短縮型ハーフスローパーを設置する方法があるが、タワー建設時にアース棒を基礎に埋設・接続しておらず、この状態ではタワー単体で静電容量による「疑似アース」として多少は効くものの、実用的なRFアースとしては期待できない。

また、給電点インピーダンスが低くSWRの整合が取りにくくなることが想定され、疑似アースが弱いことと相まって同軸ケーブルの外皮(網線)がアース代わりとなりコモンモード電流が発生しインターフェアの原因となる可能性がある。

そのためハーフスローパーと比べ高仰角(DX不向き)で大地の影響を受けやすくなるが、設置・調整が簡単な短縮型ダイポール(Inv-Vee)を試すことにした。

商品としては第一電波工業から1.9MHz/7MHzの2バンド対応アンテナ「W719」が2021年に発売されており、ローディングコイルを介してワイヤーエレメントがそれぞれ15メートルなので、途中でベントする(折り曲げる)前提で設置することができる。これをネットで注文した。

部材は以下のとおり。バラン(BU-50A)が同梱されており、耐入力は1.2kW(PEP)。FT8では250W以下で使用するよう注意書きがあるが、1.9MHz帯の最大出力(免許)は200Wなので許容範囲内に収まる。但しアンテナがしっかりと整合していることが前提であるが・・

ローディングコイルはずっしりと重い(346g)


■アンテナ設置

タワートップには3.5MHz用のInv-Veeを上げており、ここに共存させると互いへの干渉が気になる。気軽に試すことを優先し2階ベランダからマストを伸ばして地上高7m弱の位置にバランを設置。そこから南北方向にワイヤーエレメントを張り、北側は5m、南側は8m辺りで90度にベントさせる計画とした。

ベント構造は効率低下を招くものの、限られた敷地で実用的な長さを確保でき、3.5MHzでもそれなりに楽しめているので(143エンティティとQSO)今回も期待したいところ。

北側のワイヤーエレメントを中継/固定するため、敷地の角2ヶ所に新たにアンテナマストを設置(高さは3m)。南周りには80mのワイヤーエレメントに使用しているアンテナマストと共用した。

W719を一旦マニュアル値どおりに設置してSWRを測定。7MHzはフルサイズのダイポールとして動作しており、ヒゲ長を調整し7.074MHzで1.6程度に落ち着いた。帯域幅も割と広くDX局も入感しているのでサブアンテナとしても使えそうである。

肝心の1.9MHz帯では、その近辺はおろかアンテナアナライザーの計測範囲(下限1.71MHz~)ではディップ点を見いだすことができなかった。

アンテナが地面に近いため、地面との静電容量(浮遊容量)が増加し、エレメントが物理長以上に“電気的に長く”見えている。その結果、ディップ点はアンテナアナライザーで測定できない1.7MHz以下にあると考えられる。

■アンテナ調整

①バラン無しでアンテナ単体の共振点を確認
推測に頼っていきなりワイヤーエレメントをカットするのは無謀なので、まずバランを外してアンテナ固有の共振点を探ることにした。結果、1.802MHz付近でディップしていることが判明し、そこからエレメント長の調整に入った。

3.5MHzのInv-Veeを設置した際、左右のワイヤーエレメントのカット幅とSWRの推移を見ながら感覚的に作業してしまい、後からワイヤーを継ぎ足す羽目になった反省がある。最終的に左右のエレメント長の正確な値が判らなくなってしまった..

今回はこの反省を踏まえてAI(Copilot)にアンテナの設置環境、現在の共振周波数、SWR値、リアクタンス(R)/インピーダンス(X)、目指す周波数(1.840MHz)を伝えエレメント調整幅、調整方法を求めた。

AIによるアドバイスをベースに作業を進めることで、余計な思い込みに左右されず論理的に進めることができる。また、いきなり計算上の数値までカットすることを求められることはなく慎重なアプローチを提案してくれる。

何度も測定値をAIにフィードバックしながら調整した結果、1.840MHz近辺でディップを得ることができた。しかしながらSWR値は5.7と高く、このままでは実用には適さない。

②バラン装着後に再測定・調整
ここからはバランを取り付けて実運用に向けた調整を行う。バラン装着後、ディップ点は再び計測範囲外となったが、下限周波数(1.71MHz)付近でカーブが見えていたため、慎重にワイヤーエレメントを切り詰めていくと、1.72MHzにディップ点が現れ、SWRは1.7となった。

この現象は(AIの解説によると)バランの無い状態では同軸ケーブルの外皮(網線)がアンテナ(放射体)として一体化し動作していた可能性があり、アンテナエレメント調整後にバランを付けることでアンテナ固有の共振点が見え、且つ同軸ケーブルの外皮を流れるコモンモード電流が遮断され同軸ケーブルは本来の伝送路となり、アンテナ固有のSWR値が現れてきたらしい。

③ 1.840MHzへの追い込み
あとはこれまでの工程を繰り返すだけだが、ワイヤーエレメントの上げ下げ(ロープ牽引)と調整、そしてAIとの対話を繰り返すうちに気づけば夜の19時になっていた。それでも最終的に1.840MHz付近でSWR1.5まで追い込むことができた。

ローディンコイルの端子からエレメント先端までは双方382cm(ヒゲ7cm含む)となり、規定の460cmから78cmカットした計算となる。

SWRの測定結果は次のとおり。予想どおり帯域幅は狭く「1.840MHz/FT8専用アンテナ」という趣きである。1.820MHzあたりのCWならばアンテナチューナーで対応できるが、1.90MHz以上はSWRが非常に高く強制的にチューナーで整合させてもバラン自体に負荷がかかり、ほとんどが熱として消費されてしまうため実用的な運用は難しい。



■インターフェア対策

アンテナの地上高が低く家屋が近いため、コモンモードの発生は極力抑えたいところ。幸い給電点から無線機までの同軸長は10m程度であり、対処ポイントは絞られる。

まずバランの直下にコモンモードフィルター(CMF2000)を挿入。これは自宅保管していたものを活用。屋内対策はアンテナチューナーの後にフェアライトコア(ZCAT2032-0930)を8個装着した。

これ以上の対策は思い浮かばず、AIに確認しても送信側としては充分との見解。あとは実際に運用し、インターフェアが出た場合はその機器側で対策を講じるしか無さそうである。

1.9MHz帯の運用では、コモンモードに限らずインターフェアを完全に防ぐことは難しい。特に住宅地では、隣家の方が安価な(シールドが弱い)AMラジオを聞いている場合など、強電界で抑圧される可能性が高く、他バンド以上に注意が必要である。

2026年3月22日日曜日

320. WSJT-X(v3.1.0)のインストール

FT8運用時のソフトウエアであるWSJT-Xについては、Super F/H Modeを使う時に限り使用してきたが、少し古いバージョンであったことから最新版をインストールしJTDXと併用することにした。

■概要

今回インストールするバージョンは ”WSJT-X v3.1.0 improved PLUS edition"。WSJT-XおよびImproved版の開発者であるUwe Risse氏(DG2YCB)が公開しているもの。

WSJT-Xは既にデコード性能が大幅に改善されてJTDXと比べても遜色がない-とのネット情報が多数見受けられるが、新たにFDR(False Decodes Reduction)機能が搭載されており期待が高まる。

このimproved版では、これまでに慣れ親しんだJTDXに近いGUIも用意されており、更にはFT2 Modeを試すこともできる。

■セッティング

●ダウンロード
WSJT-X Improved のサイトからwidescreen版をダウンロードしインストール。

●言語変更
インストールした際、使用言語はWindowsと連動することから日本語で表示されるが、DG2YCBご本人が解説しているyoutube動画や同サイト内のDiscussionなどを参照するために英語表記に変更。
手順は以下のとおりWSJT-Xフォルダのショートカットにあるプロパティのリンク先に追記(--language=en)してOKボタンを押下。

●パラメータ設定
これまでにWSJT-Xで設定していた一部のパラメータはそのまま踏襲されているが、改めてデコードに係る設定を全て最大となるように各パラメータを選択。

スレッド数はマルチスレッドながらこの最新バージョンでもJTDXの半分、最大12スレッドに留まっている。

気になる”Reduce false decodes”(FDR機能)については、感度を下げることなくFalse Decode数を大幅に削減できるらしいが「一部の特殊なメッセージフォーマットに対してのみ信頼度レベルを引き上げる」(It only increases the required confidence level for some unusual message formats.)とあり、JTDXで散発しているFalse Decode(=SNRが低く近接QRMがある際に発生し易いリターンシーケンス) に効果があるかは実運用で試してみないと判らない。


■JTDXとの比較

●画面構成・配色
右側のRx Frequncy ウインドウで周波数等の操作パネル表示が下段になったが、視線の移動でそれほど違和感はない。

配色はJTDX同様にシンプルに設定するもリターン時など自局のコールサインが表示される際にフォント色または背景色が全て変わってしまうのが難点。また”QSO B4”を配色で区別する方法が見当たらず暫く調整に時間を要する。
-JTDX-

-WSJT-X-

●使い勝手
JTDXではBand Activity ウインドウにLag値が表示され、デコードした各スレッドにはHint decoder 区分(*/●/○)とリターン時にはその表示の上にポップアップ()で告知する機能があるが、WSJT-Xでこれらの機能が無いのは(特に後者は)やはり使い辛い.. 

一方、バンドセレクトボタンが用意されており、左クリックで標準周波数、右クリックでDXペディション周波数をダイレクトに選択できるのは便利。また操作パネルにある”H"ボタンを押下しF/H の状態から右クリックでSuperF/Hに設定できる。

●デコード性能
使い始めて間もないため優劣については何とも言えないが、3.567MHzでDXペディション局のCY0S(Sable Islands)をコールされているJA局(50局ほど)のデコード数を比較する限り特に変化はなかった。※CY0Sはいずれもデコードできず

暫くはJTDXとの比較においてどの程度違いがあるのか(ないのか)試すことにする。


2026年3月20日金曜日

319. DX運用日誌(157)-3Y0K-

3年ぶりとなる3Y0/B(Bouvet Island)でのDXペディション。前回同様、日々の運用メモを残していたので纏めておく。

■概要

3Y0KのWeb siteおよび公式facebookによるとチームはLA7GIA,KO8SCAなど著名なDX Peditioner を中心にサポートメンバーを加え20名を超す体制。無線機材(十数台の無線機/リニア等)と物資を砕氷船からヘリコプターによる空輸で行い、離れた2つの拠点を設置し同時に6バンドでQRVするとの大がかりな計画。

QRVは日本時間で3/1 夜半からスタートしQRTは3/18-20頃の予定であったが、天候との兼ね合いで3/14には撤収するとのアナウンスがあった。それでも2週間のQRVで2.5万局と10万QSOを達成するなど前回の3Y0J(1週間で1.8万QSO)とは桁違いのDXペディションとなった。

当初、レガシーモードに集中するとの告知があり、再びCWを中心とした熾烈なパイルアップを覚悟していたが、FT8でのQRVがメインとなりCLUBLOGのStatisticsを見ると全QSO数の6割以上をFT8が占めている。

大陸別QSO数ではアジアが全体の20%で同時期に行われたDXペディション、カリブ(KP5/NP3VI)やアフリカ(J51A)と比べその構成比は倍以上となっている。ちなみにグリッドロケーター別で世界で最もQSO数が多かったのはPM95(東京/神奈川以西)の4,000QSOで群を抜いている。

ブーベ島は南アフリカと南極大陸の中間(亜南極)に位置し日本との距離は約1.6万km。伝搬的には比較的良好なようであり、どのバンドでもQSBは激しかったものの信号のピーク時はCWでRST579、FT8では6スロット(12ライン)で入感することもあった。先方が500~1kWに八木アンテナという構成も強力な信号が届いた要因であろう。

Xなどの書き込みを見ているとベランダ設置のモービルホイップでwkdされた方もいるようで多くの局にATNOを提
供してくれたようである。

■QSOサマリー

3年前の3Y0Jでは2バンド(18/21MHz)2モード(CW/FT8)の3QSOに留まったので、少しでもBand Newを増やしておきたいところ。今回、QRV期間が3週間との告知で余裕があったため、基本は確実にFT8でBand New を追いかけることに専念し、CW/SSBはタイミングがあえばコールするというスタンスで臨んだ。

果は8バンドで11QSOとなり、Band Newを6つ増やすことができた。QSOの履歴は以下のとおり。

バンド別では14~24MHzが比較的easyであったように感じる。7/10MHzそして28MHzは1時間以上コールしてもリターンが得られない局面もあり、特に10MHzはFT8/CWともに最後まで激しいパイルアップであった。最後の3.5MHzのwkdは幸運以外に他ならない。

モード別の特徴としては、FT8はマルチスロット運用且つ激しいQSBと相まって、短時間のうちに現れて直ぐにデコードレベル以下に沈むパター
ンが多かった印象。また、WSJT-XのF/H機能である”Three strikes, you're out” いわゆる「三振ルール」が緩和されたこと(5回までOK)で何度も助けられた。

CWは総じてパイルアップが激しくDQRMもあるため参戦を控えたり、コールしても集中できずに断念する局面が多かった。SSBは特に意識してワッチしなかったことでQSOを逃したのは残念であった。

■運用日誌

●3/3 Tue
20時半頃にHamspotで14.090MHz/FT8のQRVを確認しワッチすると-20dBで初デコード。コール開始するもデコードは散発的なので暫くして静観することに。

22時前には信号は上昇しており最大で6ストリーム/11ラインとオセアニアのDXペディション並みの強さで入感。

コールを再開し暫くしてリターンを得たが「RR73」が返らずにTX Freq(DF)を変えながら4回目の「R-18」でようやく受領。いわゆる「三振」は起きなかったのでMSHV運用と考えたが、どうやらWSJT-Xの新バージョンではF/Hモードの機能改修がされていたようである。


●3/4 Wed
帰宅後、20時頃から24.910MHz/FT8をワッチするとWide Graph上に光点は見えるもデコードできない。ネット情報でQRVを確認した18.072MHz/CWを聞きに行き、暫くして24MHzに戻ると最大6ラインで入感。QSB
は激しいがコール開始後、程なくしてリターンを得られた。

JTDX上で”Antarctica”の表示をそのままにしていたが、やはり味気ないので city datファイルを最新版に更新。

その後、再び18.072MHz/CWに戻るとピークでRST579程度で入感するもQSBで沈むと419程度となる。信号が上昇したタイミングでコールし続けて23:20にリターンを得た。

●3/5 Thu
朝の時間帯は10.110MHz/CWでのQRV確認するも信号が弱いため静観。
7MHzでのFT8運用はなかった様子。

15時頃から7.090MHz/FT8でQRVを確認するも入感せず。30分程してコンディションが上昇し入感するも妨害行為が始まりデコード不可となりフェードアウト。

16:30頃から28.090MHz/FT8でQRVを確認。そのまま静観していると17:17頃に4ライン/-19dBで入感。QSBが激しいがピークで4ライン/-8dBまで上昇。18時頃に見えなくなるが18:30頃から再び上昇。19時頃まで断続的にコールするもフェードアウト。

28MHzを諦めて21.090MHz/FT8に移ると8ライン/-14dBで入感しており3コール目でリターンを得た。Hound側のDFとして3,200Hz程度も拾っており、3,000Hz辺りでコールしたのが奏功したのかも知れない。

その後18.090MHz/FT8をワッチするも信号は弱いため、入浴と食事を済ませ20時前からワッチ再開。4ライン/-18dB程度で入感しておりコール開始。7分ほどでリターンを得られたが「RR73」
は未受領となった。

21時頃から21.025MHz/CWをワッチするもRST419~529程度のため途中から静観。

●3/6 Fri
5時前に起床し7.090MHz/FT8をワッチすると4ライン/-14dBで入感。主にEU局をピックアップしており、DFを3,150Hzに設定しコール開始。先方のDFは800~920Hzと高い設定で1,000Hzを超過しているスロットもある。

ピークで8ラインまで見えるが、EU/JAの激しいパイルアップでリターンが得られない。時折り送信を中断しWide Graphを確認しながらDFを変えようとするも、バンド中がほぼ連なった状態であり何とか空きを見つけコールを開始し途中で確認すると被っている状態..

この状況ではあまり頻繁にDFを変えることは得策ではないと考え2,700Hz辺りに固定してコールを継続。

6:45頃になるとフェードアウト気味になりデコードできないシーケンスも増え7時前にはSSB局の被りも出てきたので終了。結局2時間近くコールするもQSOに至らず。

その後、10.131MHzをワッチすると30局ほどのJAがコールされているが、こちらには入感せず。

午後から10.131MHz/FT8で北米局がコールしているのをワッチしていると14:40に-20dBで入感。直ぐにコール開始するも引き続き北米もピックアップしておりクラスターにも情報が上がったことから激しいパイルになっている様子。ピークで4ライン/-10dB程度。

1時間ほど3,150Hz辺りでコールするもリターンがないため2,633HzにQSY。コール3回目でリターンを得るも次のシーケンスで「RR73」が返らず手動でDFを623Hzに変更したがデコードが途切れる。なんとか5回目のリターンシーケンスでようやく「RR73」を受領。今回も「三振」ルールがないことに助けられた。

QSO後に暫く様子を見ているとWide Graphを3,500Hzまで広げているせいかJA局だけで120局ほどがコールされているのが見える。コール開始後、1時間ほどでリターンを得られたのは幸運だったのかもしれない。

その後、15:55に7.090MHz/FT8をワッチすると2スロット/-12dBで入感。コール開始するも5分ほどでQRTした様子。

17時過ぎから28.010MHz/CWでQRVを確認。ピークでRST579程度まで上昇するも激しいパイルアップ(+20KHzまで広がっている..)で太刀打ちできず。30分程で諦めて入浴・食事。20時を過ぎても529程度で入感しているがEUもピックアップしておりコール開始するもリターンの気配がないので断念。

●3/7 Sat
5時前に起床し7.090MHz/FT8をワッチ。5時半頃に2ライン/-12dBで入感。3コール目でリターンを得たが、よく見ると先方はodd側(15/45)で送信しており、そうなると告知しているWSJT-XのF/Hモードではない筈。DTも-1.0とズレており、時折りCQを連発するなど挙動が怪しくpirateの可能性も捨てきれない。3.5MHzを少しワッチした後で戻ると見えなくなっていた。Livestreamがあれば真偽が直ぐに判ってよいのであるが..

その後、6:22に-16dBで再入感。今度はeven側(00/30)で送信しており、DTは+0.9なので先ほどとは別の局に見える。多くのEU局にもリターンをしており再チャレンジすることに。出始めのせいかそれほどパイルにはなっていないようで8回目のコールでリターンが得られ、3回目の「R-17」で「RR73」を受領した。
※翌日のログ更新で両者ともrealであることが判明

20時頃から28.090MHzでQRVを確認。JA20局ほどがコールされているもこちらには入感はない。JA側もリターンシーケンスを返しておらずHamspotではEU局のデコードが目立つ。

20:42になって5ライン/-19dBで入感。コール開始するもデコードは安定せず、リターンは引き続きEU局が多い。21時近くになってWide Graph上も4スロットがはっきり見えて7ライン/-12dBで入感。QSBが激しく次のシーケンスはデコードできないケースが散見。リターンはJAとEU半々というところ。21時過ぎがピークで、その後、デコードできないシーケンスが増えて21:08のCQシーケンスが最後となった。

●3/8 Sun
残す28MHzに集中すべく17時頃から28.090MHzをワッチ。Hamspotを見るとEU局がデコードしておりQRVしているようだが、こちらには見えない。次第にJA局もコールし始めて多い時で20局ほどがコールされている。

19時半頃にはSSBに移ったようで、そのまま静観していると20:04にCQシーケンスが-20dBで入感。コール開始すると直後にFalse Decodeにひっかかかる。信号は上昇し6ライン/-16dBで入感するもQSBが激しくデコードは続かない。Wide Graphには光点が3ライン薄く見えているのでコールを続けるもそのうち見えなくなる。その後、21:22に-23dB、21:42に-13dBでCQシーケンスをデコードするも後が続かないため終了。

●3/9 Mon
28MHzの二日目。17:10に28.030MHz/CWで入感。QSBが激しく当初は弱かったがピークでRST579程度まで上昇。パイルは+15KHz辺りまで広がりカオス状態のためリターン得られる気配はしない...先方も1回でコールを取りきれず何度もコール打ち返しておりQSOレートが低い。ここはFT8に出てきてほしいところであるが。

2時間ほど経ってQRXした様子のためFT8のワッチに切り替える。待ち構えていると19:40にCQシーケンスを-6dBで捉えてコール。次のシーケンスでは3分割しシングルスロットのみデコードするもリターンは得られなかった。その後、JA/EUのパイルが始まるがデコードできない状況が続く。

10分ほどコールするも光点も消えて終了。クラスターでSSBのスポットが上がっており、頻繁にQSYしているようである。

20:15頃にクラスター情報で21.030MHz/CWをワッチ。ピークRST539で入感。コールするも10分ほどでSSBに移るとのアナウンス。今夜はどうもタイミングが合わない..

20:45にクラスター情報で21.260MHz/SSBをワッチ。カスカスなのでコールせずに静観しつつ終了。

●3/10 Tue
28MHzのトライ三日目。16時頃から28.010~030MHz/CWと28.090MHz/FT8をデュアルでワッチ。

17時過ぎに28.090MHz/FT8で20局ほどのJA局がコールされているのが見えるがこちらでは入感はない。静観していると17:17にいきなり5ライン/-15dBで入感。コール開始後、信号は急上昇し始めてピークで11ライン/-10まで見える。今回は流石にEasyかと思いきやQSBが激しく直ぐに落ち込んで5分程度でデコードレベル以下に下がる。

18時を過ぎた頃にはWide Graphから光点も消えたため28.010~030MHz/CWをワッチしていると21.010MHzで微かな信号に気づき+2KHzでJA局がコールされているのを確認。

信号が上昇するのを待って18:20からコール開始。未だ大きなパイルにはなっていないせいか3分程でリターンを得た。その後、信号はRST579程度に上昇。ようやく28MHzをwkdでき7MHz~28MHzまでを埋めることができた。来週からは暫くシャック不在となるので事前にwkdできて安堵。

入浴と夕食を済ませて20時頃から28.090MHzをワッチすると19:42にCQシーケンスを-20dBでデコードしており、早速コール開始。デコードは散発的でFalse Decodeも何度かくらったが、20:12頃から6ラインで見え始め3分後にリターンを得た。DFを変えずに「R-15」を4回目送信で「RR73」を受領。その後は強力且つ安定して入感。

その後、24.892Mhz/CWをワッチ。RST539程度で入感しておりコール開始。途中何分かQRXがあり、復帰した後、数分でリターンを得た。最初JA1AFAでコピーしていたので、フルコールを打ち返すもその途中で何故か599を返してくる。改めてフルコールを返すと ”JA1AFR TU”で終了。

●3/11 Wed
朝5時半頃から3.567MHzをワッチしていると5:47に-19dBで入感。ピークで4ライン/-18dBまで上昇。4分割すると見えないシーケンスが多く6時半頃にフェードアウト。

●3/12 Thu
朝5時から3.567MHz/FT8で待ち構えていると5:32にCQシーケンスを-11dBでデコード。コール開始するも直ぐにマルチスロットになりデコードレベル以下に沈むシーケンスが増える。

コール開始後、4分ほど経ってリターン。しかしながらSNRは-26dBでありFalse Deocdeの疑いが濃厚。先方のDF(500Hz/560Hz)がレーダーノイズと被さっているせいか、その後もFalse Decodeを散発するが、真偽の判断は困難なのでリターンシーケンスを何度か送信することに。

最初の入感から10分程すると2~3ラインで安定して見え始める。QRMチェックのために途中で送信を停めると3,200Hz辺りまでびっしりと光点が現れパイルアップは激しいようだが、その一方でCQingも目立つ。

その後、一旦信号は落ちるが6時半頃にも2ライン/-16dBで入感。しかしながらデコードは続かず、その時点で60局ほどがコールされているため静観。

翌日、ログが更新されてIn logを確認
。後日、M0OXOのLog search & OQRSをチェックすると最初のリターンが本物であったことが判明。

●3/14 Sat
6時過ぎに7.022MHz/CWでQRVを確認。ワッチしていると次第に信号が上昇し始めRST539程度になった頃にコール開始。既にパイルは激しく+15KHzまで広がっており、Jammerも現れたので静観することに。7時過ぎにはRST559程度まで上昇しコール再開するもリターンは得られず7時半頃にはフェードアウト。これが最後のコールとなった。

16時過ぎに10.106MHz/CWでQRVを確認。信号は微弱で近接周波数からの被りが酷く殆ど聞き取れないため静観していると30分程でパイルも止みQRTした様子。

その後、HamspotsやクラスターでQRV情報がアップされないことから現地(朝の9時頃)では本格的な撤去作業が始まったと推察。翌朝になって、公式facebook上で日本時間の23時過ぎにQRTしたとの情報が更新されていた。

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DXCCの最難関エンティティの一つであるブーベ島をオールバンド(80M-10M)でQSOできたことに感謝。チーム全員の無事帰還を願ってやまない。


2026年3月1日日曜日

318. 1/2月のレビュー

<サマリー>
2ヶ月間のQSO数は僅か74に留まり、前年同期(342QSO)対比で2割程度となった。主に2つのDXペディション局を追いかけることに注力し、出来高としてはATNOを1つ解消しBand Newを17スロット積み上げた。


<バンド/エリア別状況>
QSO数が少ないため特段の傾向は見られないが、エリア別では50MHzでのVK,ZL局とのQSOによりオセアニアが27%を占め、DXペディションが行われたアフリカ、カリブがそれに続いた。


<エンティティ別状況>
DXペディション局であるKP5/NP3VIおよびJ51Aとそれぞれ複数バンドでQSOできたことでBand Newを増やすことに繋がった。
主なエンティティは以下のとおり。
●Desecheo Island(KP5/NP3VI)
デセチュオ島はプエルトリコ本島から約19km西にある無人島であり、自然保護区に指定されていることから、今回のDXペディションでは島に人が滞在することなく遠隔操作ユニット(RDUs)を用いたフルリモートオペレーションが行われている。

電源はバッテリー駆動で全て太陽光発電で補われることから、送信出力は必要最低限に抑えられており(数値は公開されていないようである)且つFT8ではMSHVによるマルチスレッド運用のため実効送信出力は数ワット程度に留まっていると推察。そのため運用開始直後は、どのバンドをワッチしてもWide Graphに僅かな光点さえも見い出せない状況であった。

同チームからは予めモード別のQRV&QRT(充電)スケジュールが告知されており、それに従って朝と夜間の時間帯でワッチを続けていると、1/20の夜20時前に3.5MHzで初デコード。そして1/22の同じ時間帯で7MHzで初QSOに成功した。実際のところリターンシーケンスのSNRが-26dBのためFalse decodeなのか判らない状態のまま「R-26」を返し続けているとLivestreamでQSOを確認できたという状況であった。

その後もデコードが困難な状況が暫く続き、2nd QSOは1週間後の21MHz。これもLivestreamに依存したQSOとなった。2月に入っても状況は好転することなくこのままペディション終了かと思いきや、運用期間を3/3まで延長することに加えJA/アジアにフォーカスするとの情報が入り、2/13に3.5/14MHz、2/17には18/24/28MHzで立て続けにWkdでき、結果として3.5~28MHzまで埋めることができた。

今回の運用ではQSOデータがLoTWを含め各種サーバーにリアルタイムでアップロードされており、OQRSせずともATNO解消と8つのBand Newが得られた。


●Guinea-Bessau(J51A)
ドイツチームによるDXペディション。過去、このチームは 3G0YA, PX0FF, VP2VIでの大規模な運用を行っており期待が持てる。西アフリカに位置するギニアビサウ共和国は2021年に行われたJ5HKTのDXペディションでは10~18MHzの3バンドQSOに留まっているため、幾つかスロットを増やしておきたいところ。

初日は2/25朝の14MHz/FT8からスタート。最大6レーン/12ラインながら強力な信号を送ってくる。

これを皮切りに4日目で7~28MHzまで7バンドをWkdし、結果としてBand Newを4つ伸ばすことができた。
先方は5×Radio/Amp構成の同時運用であり、運用開始か
ら7日間で10万QSOに達してる様子。運用期間も3/14迄と長いことから残す3.5MHzを狙っていきたい。



2026年1月2日金曜日

317. 2025年レビュー

■QSO数

年間のQSO数は1,045となり毎年の減少傾向は続いている状況。モード別の構成比も相変わらずData(FT8/4)が大半を占める(全体の93%)結果となった。

月別推移で見ると積極的にQRP運用を行った1月が突出しているが、それ以外は2024年と似た傾向となった。
バンド別では全体の3割を占める50MHzで344QSO,昨対比で6割ほどに留まり、全体のQSO数を下げる結果となった要因はヨーロッパ、北米、南米とのQSO数が減少したことであるが、一方でVK,ZLが”Big Open”する日が何度かありQSO数を伸ばした
HF帯は697QSOとなり、前年の725QSOから微減。DXペディションと銘打ってQRVしていた局とのQSO数は233となりDX QSO全体の3割を占めた。


■DXCC

Mixedで310エンティティとなり1up(ZS8W)に留まった。Challenge(Wkdベース)では2,273スロット(+72)まで伸張したが増加幅(率)は昨年同様、昨対比で半分以下となった。

年間DXCCは233エンティティとなり、昨年(255エンティティ)からは減少。コンテスト等を除き同一バンド/モードで同じ局とはQSOしない前提であっても、少し意識して追いかけると200エンティティまでは早々に到達できた。

■50MHz

2025年はサイクル25のピークから下降期に入った時期であり、春/秋のコンディションは2024年と比較しても優れず。ヨーロッパ、北米ともに入感した日は少なく(入感しても常連局のみ)いわゆる”Big Open” を経験することはなく、カリブ方面のオープンも確認できなかった。唯一、11月にBurundiのDXペディション局と突発的にQSOできたのは幸運であった。

結果は一年間で50エンティティとQSOし(昨年は74エンティティ)Band Newとしてはオセアニアを中心に7エンティティ(昨年は14エンティティ)をWkdできた。

Band New(Wkd
)の推移は以下のとおり;

■トピックス

●アワード
DXCC(Mixed)で310,DXCC(50MHz)で150,VUCC(50MHz)で800の申請を行い、それぞれEndosement Stickerを入手。いずれも次の申請までにはかなりの時間を要すると考える。




●トラブル対応
2025年は当地に接近・通過する台風も少なく、強風に備えてアンテナを下降させたのは1回だけで比較的穏便に過ごすことができた。
IC-PW1については、数年前から時々発生している送信停止時の異音に関してサポートセンターに問い合わせたところ、冷却ファンなどの駆動回路の点検を奨められるも「挙動に変化がないのであれば急ぐ必要はない」との回答であった。30kg近く重量があるので発送の手間を考えるとどうしても躊躇してしまう。

●無線機材・アンテナ
風力計や受信用アンテナ(SA7000)の設置と度々の置換、古い受信機(FRG7)やアンテナチューナー(MFJ986)などを購入。ハムフェアで見かけたBird製のパワーメーターにも触手が伸びたが、シャックの飾りになることが予想できたので購入は控えた。

2025年もアクティビティは高くはなかったが、それなりに”ハム活”は楽しめたと考える。



2025年11月15日土曜日

315. 50MHz DXing 2025(2)

11月に入って南米近辺が頻繁に入感するなど良好なコンディションが続いている。DXの入感・QSO状況について纏めておく。

<11/1>
9時過ぎにワッチするとCEの4局ほどが見え始めるもQSO B4のため静観。常連局のLU5FF,LU7HNが+1dBで強力に入感。その後、TI5KLH,TI2AAをコールされている1エリア局を確認し、アンテナを60度~100度の間で廻しながらワッチするもWide Graph上での光点は確認できず。

9時半頃にHK3KWをコールされている局が見えるがこちらには入感の兆しはない。Xで相互フォローしている同局からJA局が入感している画像のポストで流れてきたのでメッセージを送っておいた。

10時頃にLUの新局が見えてコールするもデコードは続かずに断念。LUの入感は10時半頃まで続いた。

<11/5>
9時半過ぎにDXSCAPEでCE0YHFのQRVを確認。アンテナをダイレクト方向に向けて待機していると09:45に-19dBで初入感。コール開始後、程なくしてリターンを得るもSNRは-26dBであ
り False Decodeの可能性が高く、リアルタイムで更新されているLog Search上も反映されていない。

その後、デコードレベル以下に沈むもWide Graphを見ながら信号が上昇し始めたタイミングでコールを再開したところ 09:57に「-10」のリターンを得た。SNRは-26dBであり「RR73」未受領のため、こちらも False Decodeを疑ったが Log Searchをチェックしたところ”In log”を確認。久しぶりの1Upとなった。


<11/7>
7:40にLU2GPBが-18dBで入感。8時過ぎからは常連局のPY3SOL,CX2SAが入感。その後、ZP9HTLをコールされている1エリア局が見え始め08:16に-17dBで入感。ピークで-5dBまで上昇するも、コール開始後4分程してフェードアウト。
PSKRrepoterによるとCE0YHFも0/7/8エリアで入感していたようである。

9時過ぎからいつものLU5FFが強力に入感。その後LU,PY,CXが見え始め多い時には同一ピリオドで6局ほどが入感。SSBをワッチするとPY3ZYが41~52程度で聞こえるがQSBが激しいためコールは控える。FT8に戻り、9時半過ぎLUとCXの新局を見つけてWkd。

<11/9>
昨日は9時頃にZLがオープンし新局2局とQSO。今朝は8時過ぎからVK7がオープンし4局ほどが入感。新局も見え始めて2局のうち1局とQSO。
 
8時半頃に南米がオープンしCE2SVが-5dBで強力に入感。その後LU3局,CX2局,PYも見え始め、新局のPY3FOXとQSO。常連局のPY3SOLは+5dBで入感しており、SSBにQSYする旨のアナウンスを確認。

9時を過ぎてCW/SSBをワッチするとPY3DUのCQingが579で入感しており、直ぐにコールしてリターンが得られた。その後、PY3SOLが50.125MHzで57で強力に入感。何度かコールして応答を得た。これが初めてのブラジルとのCW/SSBによるQSOとなった。

FT8に戻るとCE0YHFがピーク-3dBで入感しており、1エリアだけでも50局以上がコールされているのが見える。先方は6,7エリア局もピックアップしているので、激しいパイルアップになっていることが伺える。
HK3Wをコールされている局が見えたためアンテナを60度に振るも入感はなし。CE0YHFは10:20頃にフェードアウト。こちらでは1時間ほど入感していたことになる。

12時を過ぎた頃からVK7を中心にZL,VK2~6が断続的に入感し15時頃まで続く。結果、本日は南米を含め13局とQSOできた。

<11/11>
9時半前にCE0YHFが-11dBで入感するもデコードは散発的。コールされている局も見えたが円滑にQSOは進んでいない様子であった。

<11/13>
8時半頃からハワイが数局入感するもQSO B4局なので静観。10分ほどしてCE0YHFが入感しアンテナを向けると-3dBで強力に入感。しかしながらデコードは続かず数分でフェードアウト。

11時過ぎから9V1XX,12時半頃からVK1/2/3/5/7/8が入感。未交信局が合計で5局ほど見えたがQSOは2局に留まった。13:10にHZ1DGが240度方向で-20dBで入感するもデコードは続かず。

13時半前にはカザフスタンやバーレーンのA92AAが-21dBで、9K2GRが3ライン/-8dBで強力に入感。いずれもQSO B4なのでワッチのみ。15時頃からはVUがオープンし新局のVU24DXをWkdした。

16時半頃からBurundiのDXペディション局9U1RUを24MHzで追いかけていたが、QSO後に PSKReporter をチェックすると50MHzで同局のフラッグが立っている。
直ぐにワッチすると同局をコールされているJA20局ほどを確認。アンテナをダイレクト方向に補正するといきなり8ライン/-18dBで入感。

MSHVの5ストリームで運用しており、ピーク時は8ライン/-3dBとオセアニアのDXペディション局並みに強くWide Graphを赤く染めているが、QSBが激しく次のピリオドから3回ほどデコードレベル以下に沈む。コール開始から4分、ようやくリターンが得られ無事「RR73」を受領した。
その後、QSBにより一旦見えなくなるも暫くすると急上昇を繰り返す。こちらでの最終デコードは17:17。この時も8ライン/-18dBから次のピリオドでは全くデコードしなくなりそのままフェードアウト。

PSKReporterの履歴を見ると16:45頃よりJA本土に入感していた様子。この時間帯で5Z4やZS局のフラッグが立っているのを見かけたが入感はなし。その後、3エリア以西を中心にEUが広範囲にオープンしている様子であったがこちらでは入感せず。

20時を過ぎてVK7が数局入感し新局とQSO。朝から慌ただしい一日であったが、9U1RUの入感は今サイクルの中でも象徴的な出来事であろう。
アフリカ大陸部とのQSOは5年前のTR8CA以来となった。

<11/14>
8時過ぎからVK2/3がオープンし始めて次第に局数が増えていく。9時頃には同じピリオドで30局以上が入感しておりバンド中が混沌としている。

未QSOの局を見つけてはコールを繰り返すが、次から次に新局が現れる状況。途中、コンディションが下火になるも夕方18時を過ぎても途切れることなく入感は続き、CW/SSBを含め
計49局とQSOできた。50MHzでの1日のDX QSO数としては過去最多かも知れない。


2025年11月3日月曜日

314. 9/10月のレビュー

<サマリー>
2ヶ月間のQSO数は154となり、前年同期(189QSO)の8割程度に留まった。そのうち約半数はDXペディションであり
、出来高としてBand Newを23スロット積み上げた。


<バンド/エリア別状況>
バンド別では特に大差はなく、エリア別ではDXペディションが行われたカリブ、アフリカが上位となった。


<エンティティ別状況>
ATNOはなかったが、DXペディション局の
5K0UA,6O3T,E44OM,FP5KEや長期滞在局のVP2MAAと複数バンドでQSOできたことでBand Newを増やすことに繋がった。
主なエンティティは以下のとおり。参考指標の年間Wkdエンティティは226に伸長した。


<50MHz DXing>
昨年の同時期と比べてF2層伝搬が振るわず、昨年賑わった夜半でのロングパスによるカリブ方面のオープンはなかった。また、小規模ながらロングパスによるEU方面がオープンしたようであるがこちらでは入感に至らず。
インド洋方面は夕方以降の時間帯で散発的にオープンしていたがアフリカ本土までパスは伸びず。10月後半からは徐々にコンディションが上向きになり、エクアドル、ブラジルの新
局ともQSOできているので11月でのビッグオープンに期待したい。