2026年4月25日土曜日

324. AI解析の差異について

フェライトコアのノイズ抑制効果を生成AI を使って検証した際、 AI によって分析結果が異った。ノイズを定量化する際の基準となるパラメーターであったため、 その差異がどこから生じたのかを整理しておく。

■差異発生箇所

TS-990のメインディスプレイ(FFT表示/7インチ/800×480)のグリッド縦1マスあたりのピクセル数


AI①:40 px (1px = 0.25dB)
AI②:30 px (1px = 0.33dB)


1マス=10dB(10dB/div)であるため、1ピクセル当たりのノイズ量を算出する際の基礎値となる。

■AI①の回答

「この画像の垂直解像度は 480px である。GUI設計の一般的な定石に基づけば、表示エリアはキリの良い 400px 程度に設定されるのが通例であり、それに合わせてグリッドも 40px 間隔(10分割) または 20px 間隔(20分割)で配置されるのが最も合理的。」

「画像全体のレイアウトから推測しても、目盛り幅が 40px であると考えるのが統計的に最も妥当である。」

■AI②の回答

「提示された画像データの垂直軸を解析した結果、グリッドの配置には明確な幾何学的規則性が確認できる。」

「具体的には、y座標 100px 地点に第1グリッド、y座標 130px 地点に第2グリッドが位置しており、その座標差は正確に 30px である。この 30px の間隔は画面内の全グリッドにおいて一貫しており、画像の解像度(800×480)に対する相対的な位置関係とも完全に整合する。」

「したがって、1マスに相当する値は統計的な推測に頼るまでもなく、物理的に 30px であると確定できる。」

■AIの特性

AI①:推測ベースの判断(LLMの特性)


膨大なテキストデータを基盤とする LLM(大規模言語モデル)であり、画像を厳密な数値として処理するプロセスが不得手。そのため、全体の解像度や過去の学習パターンから「このサイズなら目盛りは 40px 程度が妥当だろう」といった統計的推測を優先したと考えられる。

実際には計測できずとも、指示に応えるために“測ったような体裁”を整えてしまう傾向がある。一方で、こうした特性は、曖昧な情報からでも即座に大まかな見立てを提示できるという強みの裏返しでもある。

AI②:視覚ベースの判断(マルチモーダルの強み)

画像の形状や比率を比較的正確に読み取ることができるマルチモーダルAIモデル。画像の形状・密度・規則性を直接読み取り、グリッド線の間隔やパターンを構造的に把握する能力を持つ。
厳密な座標計測を行うわけではないが、画面上の相対的な位置関係を正しく捉える点で、推測ベースのAI①とは本質的に異なる。この特性により、FFT表示のような規則構造を含む画像では、実際の画面表示に整合する値を返しやすい。

■差異原因の深堀り

両者の主張をそれぞれにフィードバックし、反証を求めるやり取り(議論)を数回繰り返した結果、 AI①も最終的に「1 マス=30 px」であることを認めた。さらに別の AI に全てのやり取りを検証させて整合性を確認。
注:画面の実寸(14.9×8.9cm)から求めたピクセルピッチと TS‑990 の画像データ(800×480px)は計算上一致する。

この検証過程を踏まえ、正解は視覚的に読み取ったAI②の回答(30px)と断定できる。そしてAI①の誤回答は単なる計算ミスというよりAIの構造的な違いに起因している。改めて
整理すると以下のようになる。

AI①は 言語モデルとしての「推論能力」を基盤にしており、 画像を数値データとして扱わず文脈や過去のパターンから “もっともらしく見える答え”を組み立てる(推測する)言わば
「文系AI」

AI②は 画像を映像的に扱える画像解析エンジンを備えており、 ピクセル位置や座標差といった物理量を直接扱うことができる。 そのため、視覚に基づく判断を積み上げた言わば「理系AI」
 同じデータ解析を指示したことで、両者の個性がより明確になった。

■AI活用のポイント

今回の検証で明らかになったのは、生成AIは同じ画像を見ても、その内部構造によって “見え方” や “考え方” もまったく異なるという事実である。

検索・言語モデルは、曖昧な状況でも素早く結論を提示できるが、長さや座標といった「物理的な数値」の扱いには「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」が混じりやすい。

対して画像解析に長けたモデルは、測定において圧倒的な信頼度を誇るが、情報の取捨選択や文脈の解釈には別の知能が必要となる。

AIそれぞれの特性を理解し、状況に応じて「どの知能」を使うか。その選択の重要性を、今回の実験は改めて示してくれた。


2026年4月23日木曜日

323. フェライトコアの効果検証とノイズ対策の再構築

現在、HF帯~50MHzのアンテナ系にはコモンモードフィルター(CMF)を挿入し、補完的にフェライトコア(FC)を数ヶ所にクランプしている。しかしFCについては、必ずしも明確な根拠に基づく設置とは言えず、よく揶揄される“おまじない” の域を超えていない可能性もある。

そこで、FCの効果を定量化するためにAIを活用し、フロアノイズ低減(SNR向上)を目的とした環境の再構築を行った。








■CMF/FC の役割整理


①コモンモード抑制

CMFは特定帯域(HF帯など)で高いインピーダンスを得るよう設計された専用フィルターであり、アンテナ系に乗るコモンモード電流を大きく抑える。

FCは広帯域で緩やかに効く素子で、複数個を直列にすることでインピーダンスを積み上げられる。CMFで取り切れない残留コモンモードを追加で抑える役割を担う。

②ノイズ抑制(SNR向上)

CMFはアンテナ(同軸外皮)に付着したノイズを入口で遮断する一次対策であり、SNRに対して大きな効果を持つ。設置はアンテナ直下が最適だが、タワー上での障害切り分けが煩雑になるため、現在は屋内側のみで使用している。

FCはCMFでは遮断しきれない「別経路のノイズ」、すなわち長尺の制御線に途中で付着するノイズ、シャック内の電子機器からケーブルを介して放射されるノイズなど、アンテナ(主線)とは異なる経路で入り込むノイズに対して広帯域で効果を発揮する。

■FCの設置計画

現在のCMF設置状況を踏まえ、最適なFCの設置場所と数量をAIとの対話により決定。
設置計画は以下のとおり。

これまで特に対策を講じていない多芯・長尺の制御線(Versa用コントロールケーブル、ローテーターケーブル)は周囲のノイズを取り
込み易いため同軸ケーブル同様、ケーブル取り込み口に集中配置した。

ケーブル取り込み口の直下で5本のケーブルにFCをクランプすることは物理的に困難であり、また並列にした場合、FC同士が磁気的に接触し効果が薄れるため、直列配置にしつつ最短でも互いの距離を3cm以上(コア1個分相当)離すよう設置。デスク裏の壁面が少し雑然となるが止む無しとした。

次にシャック内で無線機に繋がるLAN、USBケーブルもPC側/TS-990側双方の端子にFCを取り付け、更にノイズを発生させるモニター2台に繋がるHDMI、ACラインにもFCを追加した。

■観測方法・概要

ノイズの定量測定にはスペアナが必要であるが所有していないため、TS-990のバンドスコープ(FFT表示)を簡易測定器として活用。

TS-990 の FFT はノイズレベルを絶対値(dBm)として表示しないものの、縦軸が 10 dB/div の固定スケールで描かれるため、フロアノイズの相対的な高さを読み取ることができる。

ただし肉眼では微小な差異を判別できないため、 FCあり/なしの各状態で FFT 画像を撮影し、
AI に読み込ませて高さの差分から dB差(効果)を推定することにした。


■観測条件・プロセス


測定の再現性を担保するため、以下の条件を固定。

・周波数:3.520MHz(家庭内/近隣ノイズの影響を受けやすい最もシビアなバンド)
・TS-990設定:AGC Off / P.AMP On / NB・NR Off / Filter 2.4kHz
・SCP設定:Grid 10dB / Span 20kHz / Averaging 2 / REF LEVEL固定

FCはあらかじめ決めた順序で “引き算方式” により取り外し、10分以内に全ステップを完了させることで伝搬変動の影響を最小化した。

観測プロセス(5ステップ)は以下のとおり;


■観測結果・効果


①分析基準


解析にあたり、以下の3つの基準を設定。

・固定スケールの確認(10dB=30px)

TS-990のFFT表示は 10dB/div の固定スケール。画像解析により「縦1マス=30px」が一定であることを確認。これが定量比較の前提となる。

・換算レートの算定(1px=0.33dB)

 10dBを30pxで割り、1px ≒ 0.33dB と換算。ピクセルの最小単位は整数(1px)だが、繰り返し測定した結果を平均することで、小数点以下の微細な変化も反映させた。

・ノイズ重心の定義

ノイズ波形は常に上下に揺れるため、波形の上側平均と下側平均の中点を「ノイズ重心」と定義。複数箇所のサンプリングと2枚の画像による平均化を行い、ノイズの「塊(かたまり)」としての動きを把握した。

② 観測結果

画像分析(注)の結果、各対策によるフロアノイズの抑制量を観測した。

注:グリッド変化値(px)はAIによる視覚的分析に基づく。Python等による定量的な画像解析は行っていない。

この観測結果からはでは、全ての対策によるノイズ削減効果は 5dB となり、無線機に届くフロアノイズを電力比で 約1/3(約32%) まで抑え込んでいる計算になる。

入力信号レベルが一定の条件下での測定であるため、このノイズ低減分はそのまま SNR の向上に寄与している筈だが、実運用でどの程度体感できるかは今後の確認となる。

■総括


今回の検証では、FC を用いた「多経路対策」の効果が明確になった。特に未対策だった制御線への FC 追加は、ノイズ床の低下が肉眼でも確認でき、同軸・制御線・周辺機器といった複数の侵入経路に対して段階的に対策を積み上げることの有効性が示された。

これにより「CMF で大元を遮断し、FC で周辺経路を封じる」という多層的なノイズ対策の方針が、実際の運用環境でも有効であることを再確認できた。

また、AI を用いた画像解析により、従来は感覚的だった FC の効果を視覚的に比較できた点も収穫である。ただし AI は得意・不得意があり、時に“もっともらしい誤答(ハルシネーション)”を返すこともあるため、一つのモデルに依存せず、複数の AI を使い分けて結果を照合することが解析の信頼性を高めるうえで重要となる。

<後記> 2026/5


今回、マルチモーダル AI による FFT 画像のピクセル差分からノイズ削減効果を推測したが、 後日、Python を用いて画像解析したところ、算定した数値は当初より小さい値となった。

この背景には、AI は見た目のノイズ床の高さを広く捉えて変化を評価するのに対し、 Python はノイズ分布の重心位置のみを数値化するため、変化が小さく算出されやすい。このように評価指標が異なるため、同じ画像でも結果が一致しない結果となった。

いずれにせよ、FFT 画像だけでノイズ低減量を定量的に求める方法には限界があり、反対に実際のノイズ減衰量が画像に十分反映されない場合も考えられる。実際に肉眼でノイズ床の低下は確認できるものの、 数ピクセル単位の変化量から算出した数値は、あくまで参考値として扱うのが妥当だろう。


2026年4月19日日曜日

322. タワーアース工事

先般、1.9MHz帯アンテナを検討する中で、タワーの接地について改めて調べたところ、周囲への落雷による誘導雷のリスクが無視できないことが分かった。そこで安心して運用を続けるためにタワーのアース工事を行うことにした。

■ 周囲環境と落雷リスク

自宅は第一種低層住宅地で周囲に高い建物はないが、タワーより高い構造物として以下がある。
東方向 90m:野球場のネットを支えるコンクリートポール群
西方向 130m:高圧線鉄塔
南方向 400m:地上高60m超の高圧線鉄塔

タワー自体の高さは15m(マストを含めると18m)なので直撃雷の可能性は低いと考えていた。しかし、周囲の鉄塔などに落雷した際、静電誘導や電磁誘導による誘導雷および接地電位上昇のリスクは否めない。

タワー建設から8年間、近隣で落雷被害の話は聞かなかったため深く考えていなかったが、通勤で利用する駅舎(2階)から見ると、タワーが周囲より頭一つ抜けて見える。この状況を踏まえ、リスク低減と安心のためにアース工事を行うことにした。

■ 業者選定と工事方針

以前、ハイパワー変更工事の際に200V配線とアース工事をお願いした電気工事店(ご隠居)に連絡。その日のうちに現地調査に来ていただき、以下の方針で進めることにした。

・被雷対策としての保護接地のため、接地抵抗はA種接地相当(10Ω程度)を目標とする
・アース棒(1,500mm)を連結して「深打ち」することで低い抵抗値を確保する
・タワーの3本柱それぞれにアース線を繋ぎ、どの柱に雷が落ちても大地へ逃がせるようにする

3日後「今から工事しますが・・」との連絡が入り、急遽、立ち会いながら(手伝いながら)作業を進めた。

■ 作業工程

①掘削

タワー東側の柱から約1.2m離れた地点を70cmほど掘り下げる。

②配管ルートの確保

掘削地点までの経路を掘る(深さ30cm程度)。そこにPF管に通したアース線(22sq)を配線。

③アース棒の深打ち

連結式アース棒(Φ14×1,500mm)を電動ハンマで順次打ち込んでいく。
電動ハンマー

④接地抵抗の測定

アース棒を打ち込む毎に抵抗値を確認。
接地抵抗

⑤タワーとの接続

タワー基部(東側柱)のボルトにアース線端子を装着し、他の2本の柱とリンク接続して終了工事時間は2時間強であった。
タワーアース

■ 接地抵抗の推移

アース棒を1本打ち込んだ段階(先端深さ2.2m)での測定値は 21.0Ω。 その後、測定しながら4本まで深打ちした結果は以下のとおり。
接地抵抗
最終的にタワー本体から測定した接地抵抗は3.9Ωとなった。
この値から逆算(並列合成抵抗の計算)すると、タワー単体の接地抵抗は 約12.8Ω。もともと地中の湿り気や土質が良く(軟弱地盤であるが)、タワー基礎の鉄筋がしっかりと大地と結合していることが証明された。

今回、接地抵抗として「3.9Ω」という極めて低い値を得られたことで、Low Band運用における高周波的な安定も期待できるため、タワーそのものを輻射体とするシャントフィード等の検討もしたい。


2026年4月14日火曜日

321. 1.9MHz帯アンテナの設置

DXingに復帰して 8年目。伸び悩むDXCC Challenge の打開策として1.9MHz帯へのQRVを試みるためにアンテナを設置した。

■アンテナ選定

1.9MHz帯のアンテナはその固有長から住宅地での設置はハードルが高い。候補としてはタワートップに短縮型ハーフスローパーを設置する方法があるが、タワー建設時にアース棒を基礎に埋設・接続しておらず、この状態ではタワー単体で静電容量による「疑似アース」として多少は効くものの、実用的なRFアースとしては期待できない。

また、給電点インピーダンスが低くSWRの整合が取りにくくなることが想定され、疑似アースが弱いことと相まって同軸ケーブルの外皮(網線)がアース代わりとなりコモンモード電流が発生しインターフェアの原因となる可能性がある。

そのためハーフスローパーと比べ高仰角(DX不向き)で大地の影響を受けやすくなるが、設置・調整が簡単な短縮型ダイポール(Inv-Vee)を試すことにした。

商品としては第一電波工業から1.9MHz/7MHzの2バンド対応アンテナ「W719」が2021年に発売されており、ローディングコイルを介してワイヤーエレメントがそれぞれ15メートルなので、途中でベントする(折り曲げる)前提で設置することができる。これをネットで注文した。

部材は以下のとおり。バラン(BU-50A)が同梱されており、耐入力は1.2kW(PEP)。FT8では250W以下で使用するよう注意書きがあるが、1.9MHz帯の最大出力(免許)は200Wなので許容範囲内に収まる。但しアンテナがしっかりと整合していることが前提であるが・・
W719
ローディングコイルはずっしりと重い(346g)
W719

■アンテナ設置

タワートップには3.5MHz用のInv-Veeを上げており、ここに共存させると互いへの干渉が気になる。気軽に試すことを優先し2階ベランダからマストを伸ばして地上高7m弱の位置にバランを設置。そこから南北方向にワイヤーエレメントを張り、北側は5m、南側は8m辺りで90度にベントさせる計画とした。

ベント構造は効率低下を招くものの、限られた敷地で実用的な長さを確保でき、3.5MHzでもそれなりに楽しめているので(143エンティティとQSO)今回も期待したいところ。

北側のワイヤーエレメントを中継/固定するため、敷地の角2ヶ所に新たにアンテナマストを設置(高さは3m)。南周りには80mのワイヤーエレメントに使用しているアンテナマストと共用した。

W719を一旦マニュアル値どおりに設置してSWRを測定。7MHzはフルサイズのダイポールとして動作しており、ヒゲ長を調整し7.074MHzで1.6程度に落ち着いた。帯域幅も割と広くDX局も入感しているのでサブアンテナとしても使えそうである。

肝心の1.9MHz帯では、その近辺はおろかアンテナアナライザーの計測範囲(下限1.71MHz~)ではディップ点を見いだすことができなかった。

アンテナが地面に近いため、地面との静電容量(浮遊容量)が増加し、エレメントが物理長以上に“電気的に長く”見えている。その結果、ディップ点はアンテナアナライザーで測定できない1.7MHz以下にあると考えられる。

■アンテナ調整

①バラン無しでアンテナ単体の共振点を確認
推測に頼っていきなりワイヤーエレメントをカットするのは無謀なので、まずバランを外してアンテナ固有の共振点を探ることにした。結果、1.802MHz付近でディップしていることが判明し、そこからエレメント長の調整に入った。

3.5MHzのInv-Veeを設置した際、左右のワイヤーエレメントのカット幅とSWRの推移を見ながら感覚的に作業してしまい、後からワイヤーを継ぎ足す羽目になった反省がある。最終的に左右のエレメント長の正確な値が判らなくなってしまった..

今回はこの反省を踏まえてAI(Copilot)にアンテナの設置環境、現在の共振周波数、SWR値、リアクタンス(R)/インピーダンス(X)、目指す周波数(1.840MHz)を伝えエレメント調整幅、調整方法を求めた。

AIによるアドバイスをベースに作業を進めることで、余計な思い込みに左右されず論理的に進めることができる。また、いきなり計算上の数値までカットすることを求められることはなく慎重なアプローチを提案してくれる。

何度も測定値をAIにフィードバックしながら調整した結果、1.840MHz近辺でディップを得ることができた。しかしながらSWR値は5.7と高く、このままでは実用には適さない。

②バラン装着後に再測定・調整
ここからはバランを取り付けて実運用に向けた調整を行う。バラン装着後、ディップ点は再び計測範囲外となったが、下限周波数(1.71MHz)付近でカーブが見えていたため、慎重にワイヤーエレメントを切り詰めていくと、1.72MHzにディップ点が現れ、SWRは1.7となった。

この現象は(AIの解説によると)バランの無い状態では同軸ケーブルの外皮(網線)がアンテナ(放射体)として一体化し動作していた可能性があり、アンテナエレメント調整後にバランを付けることでアンテナ固有の共振点が見え、且つ同軸ケーブルの外皮を流れるコモンモード電流が遮断され同軸ケーブルは本来の伝送路となり、アンテナ固有のSWR値が現れてきたらしい。

③ 1.840MHzへの追い込み
あとはこれまでの工程を繰り返すだけだが、ワイヤーエレメントの上げ下げ(ロープ牽引)と調整、そしてAIとの対話を繰り返すうちに気づけば夜の19時になっていた。それでも最終的に1.840MHz付近でSWR1.5まで追い込むことができた。

ローディンコイルの端子からエレメント先端までは双方382cm(ヒゲ7cm含む)となり、規定の460cmから78cmカットした計算となる。

SWRの測定結果は次のとおり。予想どおり帯域幅は狭く「1.840MHz/FT8専用アンテナ」という趣きである。1.820MHzあたりのCWならばアンテナチューナーで対応できるが、1.90MHz以上はSWRが非常に高く強制的にチューナーで整合させてもバラン自体に負荷がかかり、ほとんどが熱として消費されてしまうため実用的な運用は難しい。



■インターフェア対策

アンテナの地上高が低く家屋が近いため、コモンモードの発生は極力抑えたいところ。幸い給電点から無線機までの同軸長は10m程度であり、対処ポイントは絞られる。

まずバランの直下にコモンモードフィルター(CMF2000)を挿入。これは自宅保管していたものを活用。屋内対策はアンテナチューナーの後にフェアライトコア(ZCAT2032-0930)を8個装着した。
W719
これ以上の対策は思い浮かばず、AIに確認しても送信側としては充分との見解。あとは実際に運用し、インターフェアが出た場合はその機器側で対策を講じるしか無さそうである。

1.9MHz帯の運用では、コモンモードに限らずインターフェアを完全に防ぐことは難しい。特に住宅地では、隣家の方が安価な(シールドが弱い)AMラジオを聞いている場合など、強電界で抑圧される可能性が高く、他バンド以上に注意が必要である。